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練喚攻

顔が凶悪なダイオークと戦闘訓練してるよ。ものすごく怖いし強そうだけど、ベステルタが難易度を調整(物理)してくれたよ。

 しばらく怪我あり脚ありダイオークと戦った。徐々に慣れていって、普通の脚ありダイオークとも戦えるようになった。やっぱり攻撃が体当たりくらいだとリーチ短いから楽に感じる。少しは成長しているのだろうか。


「次は片腕脚ありで行くわよー」


 あれ、ちょっと飽きてる? まあ仕方ないか。圧倒的にレベルの低い戦いを眺めている訳だし。後でたっぷりお礼しよう。


「プギィェッ! フギッ! プギィィッ!」


 大層お怒りだ。凶悪な顔がさらに歪められめちゃくちゃ怖い。


 ははは。来いよ黒豚。こん棒なんて捨ててかかってこい!


「あっ」


 ぎゅんっ!


 ブォン!



 あ、目、

 の前ダ

 オー、こん

 棒?


「っとと。ダメよケイ。油断したら」


 あれ。今何が。

 確かダイオークがすごい勢いで迫ったあとこん棒が……。


「ダイオークはスキル使う個体もいるのよ。気を付けなさい」


 くるくるとベステルタの指の上でバスケットボールのように、ダイオークの頭が回っていた。

 そして、どうっと頭を失った体が倒れる。


 ……これ完全に死んでたよね? 走馬灯見る間もなかった。


 ベステルタはサッカーボールを遠くに蹴るようにダイオークヘッドを蹴飛ばした。容赦ねえ……。



・しばらくして



「ケイはそろそろ亜人の力を意識的に制御した方がいいわね。このクラスのスキル持ちは厄介よ」


 あー、そう言えば亜人の契約者は亜人の力を少し使えるんだっけ? 使わないと思ってたからすっかり忘れていたよ。


「ま、そんな難しくないはずよ。心の中で力を使いたい亜人を思い浮かべなさい。とりあえず私ね」


 なるほど。思い浮かべるのね。目を閉じる。イメージイメージ。


 ばいんばいん。すらっ。杭打ち。


 口内ケア。犬の散歩。テニス。


 駄目だ煩悩しか浮かばない。これでいいのかな。


「あら、いい感じね」


 いいんかい。これでいいなら世界獲ったるわい。

 あっ、でも身体の奥がぽかぽかしてきた。


「自分の中に暖かい存在を感じる? それがわたしの魔力よ。ふふ。いつもとは逆ね」


 ちょ、ちょっと。ドキドキすること言わないでよ。何かに目覚めたらどうするんだ。


「それを薄く広げて身体に纏うことをイメージするの。なるべく細かい方がいいわ。腕とか脚とか。どこに纏うのか、具体的にね」


 ふむふむ。

 なら言われた通り腕とか脚に纏ってみるか。

 ……おお! なんかすごく熱いぞ。でも力を感じる。不思議な感覚だ。


「腕と脚に纏わせたのね。良くできてるわ。他にも試してみなさい」


 ベステルタは誉めつつ次を促してくれる。教え上手だ。なるほど教師か。盲点だったな。


 いろいろやってみよう。


 頭。胴体。


 うーん、もっと細かく考えよう。


 首、背中、太もも。


 まだまだいける。


 手、指……。


「ケイ、それくらいでいいわよ?」


 目はどうだ……? いける。


 五感を研ぎ澄ませ。


 鼻、舌、耳、肌。


「ちょっと聞いてる?」


 待てよ。身体の外側にこだわる必要はない。

 

 骨はどうだろうか。いける。すごいなこれ。


 内臓……脳……血液……水?


「ケイ!」


「あれ?」


 ふんわり嗅ぎ慣れた匂い。今僕どうなってた?


「今、すごい密度の魔力がケイを中心に渦巻いていたのよ? ちょっと光ってたわ」


 なんだろう……身体がすごく熱い。

 いつもよりベステルタを近くに感じる。

 ベステルタベステルタ。

 なんでだろう。


「言われた通り細かいところまで想像してみたんだ。そしたらどんどん熱くなって」


「……誤算だったわね。まさかここまでいきなり使いこなすなんて。普通の人間なら自分の魔力に耐えきれずにきっと破裂したわね」


 こっわ。なんてもん教えてくれたんだよ。

 でもすごいイメージだった。

 自分の中に落ちていくというか。引っ張られるというか。

 

 ああ、あれだ。超新星爆発だ。巨大な星が自分の重力に耐えきれずに崩壊してブラックホールになるやつ。


 あ……今さらだけど半端じゃない冷や汗が。


「……ふぅ、ベステルタ。止めてくれてありがとう。助かったよ」


「もう少しあのままでも良かったのだけれど、怖くなって止めちゃった。

 ケイならもう少し大雑把でいいかもね。ごめんなさいね」


 ぺろっ! てへっ!

 舌を出してお茶目に誤魔化すベステルタ。可愛いから許すけど。


「ちなみにどこまでイメージしたの? 興味あるわ」


 興味深げに尋ねてくる。ちょっと楽しそうだ。それもそうか。自分しか使ってなかった技だもんね。共通の話題を話せるのは楽しいからね。


「うーん、内臓とか。血液まで想像してみたよ」


「……血液? いやでも母さんは身体としか……あっ、そうか。何も外側に拘る必要無いのか……となると……」


「べ、ベステルタ?」


 真剣モードになって考え込んでしまった。


「あっ、ごめんなさい。停滞していた技術に突然光が見えたものだから」


「そっか。お役に立てたようで良かったよ」


 それは責められない。今まで孤独だったもんね。


「じゃあ今日は終わりかな?」


「冗談。夕方までにダイオーク一匹まるっと仕留めるわよ」


 やっぱそうなるか。

 でも、さっきの力使えば大丈夫かな?


「ねえ。あの力の使い方に名前ってあるの?」


「あるわよ。練喚攻って言うの。そうね、母さんから教わったの。ふふ、すごいでしょ?」

 

 レンカンコウ。武術の極みにありそうな響きだな。

 

 それにしても、すごい自慢気だ。こんな表情は初めて見る。まるで親を自慢する子供だ。そういうの無かったから憧れちゃうぜ。


 ……ただ、お母さんについて言及したいけど、なんか躊躇っちゃうんだよね。まだ止めとくか。


「すごいよ。きっと素敵なお母さんだったんだろうね」


「うふふ。うふふふ」


 機嫌がうなぎ登りだ。


「ま、この調子ならデイライトでも冒険者としてやっていけるわよ。ダイオーク単独で仕留められたらそこそこなんじゃない?」


 おお、そういう評価なんだ。

 誰かに必要とされるのは嬉しいからね。冒険者が少し楽しみになってきた。


「そっか。そうなれたら嬉しいな。ところでお腹空かない?」


「ああ、もうそんな時間か。それじゃお昼にしましょうか」


 その後、魔法の鞄にストックしてあった昼御飯を平らげて、夕方まで訓練した。


「プギィィッ!」


 目の前にいるのは完全体ダイオーク。普通のダイオークとも言う。身の丈三メートル近く、真っ黒のおどろおどろしい肌に赤い模様、牙の生えた形相は控えめに言って化け物だ。


「練喚功」


 僕はベステルタの力を身体に張り巡らす。因みにわざと技名を言う必要は無い。言ってみたいでしょ。思った以上に心踊って楽しい。


「プギャッ!」


 命を磨り潰すように振りおろされた一撃が、今ではとても遅く見える。慣れってこわい。


「スッ、と行って、ドン!」


 ベステルタソードがすーっと心臓に吸い込まれ、ダイオークは悲鳴も上げる間もなく地に付した。


 や、やれた……。


「おめでとう、さすがわたしの契約者ね」


 ベステルタは祝福して抱き締めてくる。ふわふわばいんばいん、がっ。ふわばいんがっ。背中に当たるっ。


「今日一日ありがとう。まさかこんなに早く倒せるようになるとは思わなかったよ」


「わたしもまさかここまで早いとは思わなかったわ。練喚功をうまく使えたのが大きいわね」 


 身体にはまだ熱い力が巡っている。これは繁り合いにも応用できそうだ。むふふ。


「それじゃ温泉に寄って家に戻ろうか」


 身体を動かした後にはやっぱりお風呂で汗を流したい。


「いいわね。温泉って便利ねー。病み付きになりそうだわ」


 ぜひなってくれ。


 一応ダイオークの肉は回収した。浄化したら綺麗なピンク色の肉になったので期待できる。


 そのまま温泉湖に直行し汗を流した。その勢いで一戦交えました。温泉最高。


 帰ったら先に戻っていたプテュエラからシュレアはいなかったと報告を受けた。形跡は見付けたんだけど、発見には至らなかったらしい。


 しゅんとしていたので、プテュエラを誘って三人でお互いを探検し合った。そのまま素っ裸で晩御飯を食べる。ニンニクステーキだ。口臭なんか誰も気にしない。あと、そろそろブラッドサーペントの肉を試したいな。


 気力体力共に充電したら、むらむらしてきたのでみんなで仲良く繁った。はー、満ち足りてるなあ。


 明日はプテュエラと訓練かな? 練喚功使って頑張ろう。


ブクマ、評価、いつも読んで下さりありがとうございます。

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