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魔法学園の魔装使い  作者: 出雲真
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6

 再び、画面に視線を戻す。


 見逃してしまったので勝敗が決まっていないか心配していたが、画面には、風切が騎士の胴を両断する映像が流れている。


 ん?さっきと同じ映像か?

 と少し考えていると、先ほどとは違い、騎士がすぐに切られて消えたそばから槍を構えて風切に突っ込んでいる。


 どうやらこれは何度も騎士を召喚しているようだ。しかし、それにしても早すぎる。

 本来なら召喚した物などがやられてしまった場合、修復までかなりの時間がかかるはずなのだが、騎士がやられてからほとんどノータイムでアリエッタ先輩は出している。


 アリエッタ先輩は修復が達人の域に達しているように見える。


 しかし、この状況は恐らく、そう見せるように立ち回っているようだ。


 風切先輩が勝てる要素は、そこに気づき、どう対応するかで決まるだろう。



 ーーー



 くっ、このアリエッタとか言う人、同級生の制服着ているのに知らない上に、この召喚魔法は見た事がないですね。


 倒しても倒してもどんどん出てくる騎士なんて、いつかの修行でやった百人斬りをやってる気分です。


 ん?百人斬り?

 あ。そういう事ですか。

 じゃあこうするしかないですね。


 足に魔法で風を纏わせ、刀の切っ先を騎士に向ける。


 今、騎士がいる位置の一直線上に彼女は立っている。


 彼女から私は死角にいるのでここで魔法を使わせていただく。

 私は二つの魔法を発動させる。


 全力で前に飛んで、その威力を風の魔法で補助。刀を前に突き出し、騎士を打ち抜き、そのままアリエッタに接近する。


 刀の進路上に再び騎士が現れるが、そのまま止まらない。いや、止まれない。


 この状況で止まると、どうしても騎士の目の前で一度静止する必要がある。


 それを黙って見過ごすとは思えない。


 それ以前に、止まる必要がない。


 これで終わりだから。


 刀に魔法で強度と切れ味の強化を行い、至近距離では壁にしか見えない盾に突っ込む。

 盾にヒビが入り、そのまま砕け散ると、刀は騎士をも貫き、騎士も消え去る。


 アリエッタは目と鼻の先。


「これで終わりです!」


 刀がアリエッタに迫る。が、


 先ほどの騎士が横に立ち、身体を受け止めている。()()()()()()


「やはりこういう事でしたか。

 最初から騎士は一人じゃ無かったんですね」


 刀は言葉通り、アリエッタの目と鼻の先で止まっている。


「そうです。よく気づきましたね。

 でも気づいたならその無謀な一点突破はやめたほうが良かったですね」


 アリエッタは刀から一歩横にずれる。

 そして、先ほどアリエッタが立ったところに騎士が現れ、槍を私に向ける。


「これは真剣勝負です。恨まないでくださいね」


 アリエッタがそういうと騎士は槍を振り下ろす。


 槍は一直線に頭に突き刺さる。


「これで私の勝ちですね」


 そう言ってアリエッタが肩の力を抜いた瞬間。肩の上に後ろから刀が置かれる。


「いえ、言ったでしょ。これで終わりです」


「なっ、どうして?

 あなたは今そこにいるはず...」


 と、アリエッタが振り返るが私はいない。


 そこでアナウンスの声が響く。


『勝者!風切 涼』



 ーーー



「なるほど。実態を持つ分身といったところか」


 俺は今の映像からそう結論付ける。


 影の魔法のかなり上位の方にそんな魔法があったはずだ。確か、『実態分身(シャドウ・アバター)』とかいう魔法だ。


 強い衝撃を与えなければ、発動した本人が解除しない限り消えることはない。

 普通の影の分身と違い、触ることが出来るし、攻撃もちゃんと当たるし、逆に攻撃をされるとダメージを受ける。


 欠点としては、魔力の消費が激しく、一般の人(この学園でいうとCクラスあたり)が使うことはほとんど出来ない。魔力量が多い人でも一体が限度の魔法だ。


 それほどの魔法を使って、無事な訳はなく、風切先輩は勝負がついた今も、(ひざ)に手を当て、肩で息をしている。


 歓声が上がり、ここまで響いて来ている。


 そろそろ俺の番か。


 侵入者は気になるが、ここで出ないとなると、場が混乱するし、約束は守るべきだからな。


 転移装置(テレポート)がある中央の広間まで歓声と拍手を聞きながら歩く。

 広間の入り口には係の仕事を任されているのか、忙しそうに何やら作業をしている生徒達がいる。


『続いて、Fクラス!中嶋 春樹!対するは...Fクラス、黒川 夏希!ここでなんと!最底辺のFクラス同士の対決だ!』


 アリーナの放送から実況をしているのか、女子生徒の声が響き渡っている。


 周りを観客席で囲まれ、観客席よりフィールドは下がっている。

 中央には台座の上に球体が浮かんでいる転移装置(テレポート)がある。


 少しずつ中央に近づいていくにつれ、歓声も増していく。

 向こう側には楽しみでしょうがないといった様子の春樹が笑みを浮かべながら中央に近づく。


『武装の準備はよろしいでしょうか?』


 実況をしている女子生徒が確認のアナウンスを入れ、二人とも反応しないため、問題は無いと判断する。


『それでは転移を開始します。

 場所は先ほどの試合と同じく、闘技場となっています。転移した瞬間からスタートです。カウント三、二、一...では試合始め!』


 アナウンスが途切れ、目の前が真っ白に染まる。一度瞬きをするとそこは先ほど、試合が行われていた闘技場のようなところ。


 ふぅーと一息吐き出して、刀を抜き、刀の切っ先を真っ直ぐに目の前の相手、春樹に向ける。


 春樹も背中に背負っていた自分の身体の三分の二程もある大剣を抜き、腰を落として、正中線上に構える。


 ふぅっ!と息を吐き、大剣を振り上げ、こちらに接近してくる春樹に対し、こちらも前に跳び、刀を大剣に合わせ、鍔迫り合いに持ち込む。


「お前本気出したんだよな?なんで刀で大剣に合わせてくる?手ぇ抜いてるとかだったら怒るぜ?」


「手なんか抜くかよ。よくこの刀見てみろ」


 春樹の視線が自分の大剣に合わせられている刀に向くと納得したように笑みを浮かべ、大剣に更に力を込める。


 俺は最初からこの黒の刀を使っている。

 元の刀と始まる前に入れ替えておいた。

 この刀はどんな事があろうとも折れない。大剣の方が重量があるだろうが、折れない刀を使っているのだ。鍔迫り合いだって負ける気がしない。


 刀と大剣を同時に引き、また衝突させる。

 二人の間には火花が散り、お互いの武器が離れたり、衝突したりを繰り返している。


 次は違う角度から切り込む。こちらの方が軽く、早いはずだが、ことごとく防がれる。


 やはり強い。剣技が凄まじい。正直ここまでとは思っていなかった。


 お互いに一旦下がる。


「ここからは魔法を使わせてもらうぜ」


 そういうと、春樹の大剣の(つば)に魔法陣が現れ、刃に電を纏わせる。


「普通に刀を合わせたらやばそうだな」


「いやいや、ちょーっと失神するぐらいビリビリするだけだって。心配せず打ち合おうぜ!」


 大剣を振り上げ、地を蹴り、接近してくる。

 その一撃をギリギリでかわすが、先ほど春樹が立っていた場所から電撃が飛んできた。

 かなり厳しい。春樹の大剣は囮だったってことだろうが、俺は今、避けたことでかなり体勢を崩している。


 仕方ない。バックステップで春樹から離れることになるが、電撃をかわす。

 しかし、それを簡単に春樹が見逃すわけはなく。

 大剣を空を切るように振ると、電撃がほとばしり、俺を襲う。


 もう完全に避けることは出来ない。

 刀を電撃が飛んでくるコースに割り込ませ、衝撃だけでも抑える。

 が、完全に衝撃を消すことは出来ず、後方に飛ばされて土埃を上げながら地面を転がる。


「まだまだ行くぞ!このくらいでやられない事は分かってるからな」


 そういうと大剣を上に掲げ、その先に魔法陣を生み出す。

 魔法陣はどんどん大きくなり、遂には闘技場全体を覆う。


雷撃の雨(ライトニングレイン)


 魔法が発動し、魔法陣が黄色く光ると、雷撃をフィールド全体に落とす。

 土埃が上がり、地面は抉れ、轟音を上げながらフィールド全体を蹂躙していく。


 土埃がゆっくり晴れていく。

 そこには誰の姿もなく、ただ荒れて、凸凹が広がるのみだ。


「悪いな。今回の勝負は俺が貰ったぜ」


 そういうと、大剣を上に掲げる。


『激闘を制したのは!中嶋ー!春っ、と?

 いや、まだ続いているようだ!」


 とアナウンスの実況の声を聞き、春樹が後ろを振り返り、俺を見る。


「しぶといなー。だが、まだまだやってやるぜ」


「なかなかやるな、春樹。だがな、俺も今回は負けてやるわけにはいかないんだなー」


 お互いに相手をにらみあい、お互いの武器を構え直し、叫ぶ。


「「絶対にお前に勝つ!」」

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