0話:俺、チートになりました
一瞬俺の視界を白い光が覆った。しかし、次に目を開けた時には黒い空間の中で薄く光る設定画面しかなかった。しばらくして、他に人はいないのか?と思ったのと同時に…
『ようこそ。The real world・of・onlineの世界へ。私は貴方を案内するAIのミサです』
よく出来てるAIだな。と俺は思った。流暢にしゃべるし抑揚もある。人類の科学は進歩してると実感させられるな…。
「よろしくな」
『はい。早速ですがキャラクター名を決めてもらいたいと思います』
言うが早いか設定画面の1番上の四角が点滅する。きっとそこへキャラクター名を打てという事なのだろう。キャラクター名ならもう決まっている。昨日発売するのを待っている間に考える時間は山ほどあったからだ。ポチポチポチッと。
《ミツヤ》
これが俺のキャラクター名だ。あ、決してあの会社のサイダーの名前のパクリではないからなっ‼︎このキャラ名は俺の苗字を省略したやつだ。パクリじゃないもん、オリジナルだもん!…自分でやっといてアレだが…気持ち悪りぃな。
『ミツヤ様ですね。次は職業を決めてもらいたいと思います』
今度は二番目の四角が点滅し、新たな職業資料集という画面が現れた。使えない職業は灰色になっている。
職業かー。昨日沢山なやんでもなかなか決まらなかったものだ。どれにしようか………んん?いやいやいや。俺の見間違えか?えーとえーと。あっ!こういう時のAIミサだよな。聞いてみるが1番だ。
「あの〜。ミサさん。一種類の職業以外全部灰色になってるなんてこんな事ないですよね?バグッすか?」
『っ‼︎‼︎まさかっ!いえ、そんな筈ありません。すみませんがその画面見せて貰えないでしょうか…?』
ミサの驚いたような嬉しいようなこわがっているような表情に感心させられながら俺は首を縦に振った。そしてミサが俺の画面を覗き込んだとたん…
『きやぁぁぁぁぁあ!』
ミサが叫んだ。
え?AIって叫ぶの?確かにこのゲームで使われているAIは従来のものとは全然違うのだが、それでも設定の案内役の人ぐらい理知的で冷静なはずだ。なのにミサは叫んだ。そんな叫ぶような事なのだろうか。
「ミ、ミサ?急に叫んでどうしたんだ…?」
『す、すみません…。私が驚いてばっかで説明しないのでは案内役失格です。なので話しますが、どうか、どうか、驚かないでくださいね?実はこの職業いえ、このカセットは世界で一つしかないんです』
「は?」
言っている意味がわからない。職業は資料集に載ってんだから一つしかなんて有り得ないし、カセットだって普通にネット注文だ。特別な所なんて何一つないではないか。
『えっと、ですね…。このカセットはこのゲームのマスター。GMが作ったカセットなんです。もちろん他のもGMが作っているのですが、このカセットはその様なモノとは違うのです。GMが悪戯心で一個だけ超絶チートなカセットを作り配布する物の中に紛れ込ませたのです。その幻のカセットを手にとったのが貴方、ミツヤ様なのです。もちろんGMはその後部下に散々説教されてました。否、されたとGMに聞きました。その幻のカセットの特典の一つにこのカセットにしか入っていない《白黒魔導師》【はっこくまどうし】があるってわけです。まだまだ特典はありますが言い出すときりが無いのでまずこれだけの説明になってしまいますが』
「………………………………………」
『あ、あのー。聞いてましたかー?ミツヤ様?』
「う、う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ‼︎‼︎‼︎」
今度は俺が叫ぶ番だった。ミサの倍に驚いて。だって、だって、世界に一つしか無いカセットだぜ?色々な特典も気になるし、うまく使えなかったら嫌だし、でも、これは…これは…!
「チート道確定じゃねぇかぁぁぁあ‼︎」
チートはいいけどっ⁉︎すきだけど⁉︎でも此処までのものは望んで無いぜっ⁉︎
『だ、大丈夫ですか?』
「フゥフゥフゥ…。はぁ〜。状況は吞み込めた。でもこれを教えてくれ白黒魔導師ってなんだ?」
『それを説明するのは難しいですね〜。あ、ミツヤ様は白魔導師と黒魔導師を知っていますか?』
?なぜその質問が出てくるのだろうか。白魔導師も黒魔導師も白黒魔導師とは関係無さそうだが…。
「もちろん知ってるけど…。白魔導師が治療、浄化系を得意とするのにたいして、黒魔導師は広範囲への属性魔法攻撃が得意なんだよな。でも、何故今それを聞くんだ?」
『いえ、関係あるのです。白黒魔導師とは、その2つの職業が、合わさった物ですから』
「……それ、チートじゃね?」
チートな事は分かっていたが、そこまでだとは…。白黒魔導師は後方からの仲間と自分の回復などができ、尚且つ広範囲への属性魔法攻撃がじゃんじゃん撃てるのだ。回復も攻撃も出来るなんて…‼︎……あれ?
「でも、それだとMP足りなく無いか?」
『はい。ですからMPはその職業になった時点で無限になっています』
ムゲンッテ…。魔導師で無限は反則でしか無いでしょ。どんだけ特典がついてんだよ。もうこの先が見たくもないし聞きたくもない。だって、なんでかわかんないけどなんとなくこわいんだよっ‼︎
「はぁぁ〜。これならまだ普通の方が良かったし。まぁ良いや。次は何を決める?」
『えっと、次はサブスキルを決めていきたいと思います』
スキルかぁ。今度はチートじゃ無ければいいや。今度は3番目の四角が点滅し、サブスキルが選べる新たな画面が出てきた。…?
「えーと、ミサ?なんでランダムのボタンしか押せない様になってんだ?」
『あ〜。それもGMの悪戯心ですね。白黒魔導師の人はランダムしか出来ないんです。』
え〜。昨日あんなにサブスキルについて考えてたのに〜。意味ないじゃ〜ん。
「わかったよ。押せばいいんだろ?押せば。」
俺は半端ヤケクソになってランダムボタンを押した。
そして、チャランッ♪という音と共に出てきたサブスキル決定画面には
《二刀流Lv.1》《詠唱破棄Lv.1》《鷹の目Lv.1》《一撃必中Lv.1》《倍返しLv.1》
だった。二刀流や鷹の目、詠唱破棄は聞いたことがある。…つーかフツーに詠唱破棄ってチートスキルだよな?なんでそんなんがちゃっかり出てるんだよ‼︎しかし、一撃必中と倍返しは聞いたことがない。なのでスキルをタップして詳細を見てみることにした。
《一撃必中》
Lv.1/100
●レベルが高くなると共に相手に一撃を必ず当てることができる様になる
《倍返し》
Lv.1/100
●相手に貰ったダメージをスキルLv×二分の一×相手に貰ったダメージで返すことができる。しかしこの攻撃が当たる確率は少ない。
「……………………」
まてよ?一撃必中はレベルが高くなると相手に一撃が当たる確率が高くなるんだよな。つまり、レベル100になると絶対に攻撃が当たるって事だよな。そして倍返しはレベル100になると相手に貰ったダメージ×50になるって事だ。この2つを組み合わせて使えば…
「チートすぎるだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉおっ‼︎」
『さっきから叫んでばっかですが大丈夫ですか?ミツヤ様。チートは白黒魔導師になった時点で確定なのです。尚、わかっていると思いますが、サブスキル設定枠は5レベル上がることに一個追加されます。その他サブスキル枠チケットなどをつかっても追加できます』
「あぁ…。わかったよ。あと、俺は大丈夫だから…」
実を言うと全然大丈夫じゃない。キャラ設定するだけでこんなに疲れるとは。…そういえば職業スキルはどうなっているだろう
「なぁ、ミサ。職業スキルはどうなってるか見てもいいか?」
『いやぁ〜。そこまでみるとミツヤ様失神してしまいますよ?』
は?失神って言ったかこの子。だったら失神するぐらいの職業スキルを設定すんなよGMっ‼︎と抗議したいのを抑えて、なるべく冷静にミサに言った。
「俺は失神しない。そして真顔で失神してしまいますよ?って言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!俺がマジで失神するみたいだろぉぉおっ!」
最後の方が叫んでいる様に聞こえたのは気のせいだ。ウン。キノセイキノセイ。
『そんなぬ必死にならなくても大丈夫ですよ。では、そろそろキャラクターの外見と服を決めてしまいましょう』
はぁぁ。ついに最終段階に入った。今度は4番目四角が点滅し、新しい外見設定画面が出てきた。しかし…。
「おいミサ…?なんでこれもGMオススメって言うタイトル以外の外見をセット出来ないんだっ⁉︎しかも服は男子のオススメ以外選択できないんだがっ⁉︎」
男子のオススメとか超絶怪しいだろ!
『あぁ〜。それもGMの悪戯心です。ちなみに設定するまでその外見を見る事も出来ません。ちなみに服も着れませんし見れません。つまりミツヤ様はその外見と服を選択するしかないのです』
はぁぁ。またそうきたか…。
「わかったよ!やりぁいいんだろっ‼︎」
今度はヤケクソ全開でボタンを押した。すると俺を光の粒が包みやがて消えていった。…外見と服を変えたらヤケに体に違和感があるのだが…。
『っ‼︎GMこんな事までするなんて…。性転換機能が幻のカセットにだけつけられている事は知らされていましたが美少女にまでなるとは聞いていませんっ!』
「なんだ?ミサ。なんか言ったか?」
『いえっ‼︎なんでもございませんっ!では、The real world・of・onlineの世界をお楽しみください。いってらっしゃいませっ!』
「へっ‼︎ちょ!待て待て待てって!」
そうして追い出され気味に俺はザ,オブの世界へ飛び立ったのだった。
一瞬の浮遊感と不安感と共に
楽しめたでしょうかっ?次は主人公が自分が性転換機能で女の子になった事を知る場面になります!是非次話も見てください。
作者はブクマと感想、評価を待っています!是非してくださいっ!