前話:念願の物
「なっ、なっ、なんでこうなったんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」
透き通る様な水色の長髪。深海を思わせる深い青色の瞳。いつものところにアレがなく、かわりに胸がDカップ、いや、Eカップ以上あった。そして、ふりふりのスカートにマント。その姿は男のそれではなく、まるで、否。誰がどうみようと女だった。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー本当は男なのに。
時は5時間前に遡る。
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「ふわぁ〜あ」
おれ、蜜ヶ矢 空【みつがや くう】は眠かった。何故かというと、昨日発売の『The real world・of・online 』通称ザ,オブを買うためにPCに朝の五時になるまでの約6時間張っていたからだ。ギア本体は結構なお値段なのだが、親のコネを使って格安で手に入れていた。じゃあザ,オブだってコネを使えよと思う諸君に言おうじゃないか。ハッキリ言わせてもらうと(?)ザ,オブは外国にある日本の企業が開発したものなので、取り寄せるのが面倒臭いらしいのだ。それぐらいどうにかこうにかなるだろうと説得したが、両親はめんどいことをさせるなの一点張りだった。最後の方は無視されていた…。酷いよ…もうちょい息子を可愛がれよ。まぁ、黒髪黒目の180センチの息子なんて可愛いじゃあ無いよな。そんな訳で無事ザ,オブを俺は手に入れたのだった。学校に行くのが6時半ぐらいなのでそのあとは寝る気もさらさらなく、攻略wikiで色々調べていた。
「おいおい、家に帰ったらソッコー寝るとか無しだからな?帰ったらやるんだろ?ザ,オブ」
そう言ってきたのは加藤十【かとう とあ】だった。十は私立名小澤学園に入学して初めて知り合った、中学初の友人だ。明るく、よくクラスの中心にいて、俺とは全く逆な立ち位置だ。
「ねるわけねーだろ。だって待ちに待ったザ,オブだぜ?俺の睡眠時間を無くしてまで買ったんだからな。1番にログインしてやる。」
「はあぁ〜。そのゲーマーっぷりには感心だぜ」
そう言っている十だってザ,オブを買うために徹夜すると言っていたはずだ。十はザ,オブを買えたのだろうか。
「なぁ、十。お前だってザ,オブを買う為に徹夜してたんじゃなかったか?」
「…あ〜。途中で寝ちゃって起きたら完売だったんだよ〜…。あ、それよりっ!輪廻が買ったらしいぞ。ザ,オブ」
⁇なんか今変な間が開いたような…?それに十目をそらすし…。それより、輪廻がザ,オブを買ったという情報は聞き捨てならない‼︎輪廻とは巡音 輪廻【めぐりね りんね】のことで、彼女は男女共に人気のあるクラスのマドンナだ。そんな彼女がザ,オブを買うなら…
「絶対輪廻と会ってカッコイイとこ見せてやる」
「おぉー!頑張れよ〜」
そもそも何故こいつはそんなレア情報をしっているのか?…怪しい。十が信用出来ないっ!
「…おい、その情報何処でしった?」
その言葉のオプションに睨みをつけてやった。
「ひぃ‼︎そ、それは女子達と話しているのをたまたま聞いて…」
「ほう…。それならよし」
「お前、ストーカーみたいだな…」
「なんか言ったか?(睨み)」
「な、何にも言ってませんっ‼︎」
うん、俺、聞かなかったよ。ストーカーミタイダナンテハナシキイテナイモンッ‼︎それはそうと…。
「そろそろ帰ってザ,オブやってくるよ」
「おー。感想聞かせろよ〜」
「またな」
後ろでまたなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!と馬鹿でかい声が聞こえた気がしたが気のせいに決まっている。うん。キノセイ。
そんなこんなで家に着いたらうちのぺんちゃん(自動遠距離用宅配便)がザ,オブを置いていってくれるところだった。えらいぞ、ぺんちゃん。下手したら十より頭が良いかもしれない。届いたばかりのザ,オブを手に取り、玄関のドアを開ける
「ただいまー」
「おかえり〜!おにーちゃん待ってたよ〜‼︎」
ドアを開けると同時に妹の蜜ヶ矢 鈴【みつがや すず】が抱きついてきた。…地味に痛い。
「ちょっ‼︎鈴っ!痛いから!マジで痛い痛い痛い痛い痛いっ‼︎」
訴えるとすぐに離してくれた。物分りが良い子で助かるよ、お兄ちゃん。
「あ、ごっめ〜んおにーちゃん!もしかしておにーちゃんが持ってるのってザ,オブ?」
俺は少々びっくりした。鈴はどちらかというとアウトドア派で、ゲームよりも野球。本よりもランニングな子なのだ。
「鈴がザ,オブ知ってるなんてびっくりだよ」
「もー!おにーちゃんは酷いなぁ!それぐらい知ってるよっ!ニュースでもCMでもTVつければ1日に最低5回は見るよ〜」
「そうかそうか。お、もうこんな時間か。そろそろ俺はザ,オブを初体験して来るよ」
「ラジャー!夕飯になったら呼ぶねー」
いやいや。そもそもギアを装着したらあっちの世界からログアウトしない限りこの世界で呼んでも意味ないんだってば。まぁ、その時になったら気づくだろうと思い、俺は二階の自室へと歩いて行った。だから気付かなかった。鈴が
「ザ,オブ……。私も…!」なんて小さな声に。
自室に着いたらまず、ギアとザ,オブのカセットを色々セットした。あらかじめ説明書を読んでいたのであまり時間はかからなかった。さっすが俺!…まぁまぁ、そんなこんなあり(そんなこんなもなかったが。だってセットするだけだし。)俺はベットに寝っ転がって、ギアを装着した。遂に憧れの異世界に行けるのだ。何の職業にしようかな?フレンドはどのくらいできるだろう?期待に胸を膨らませ、俺はログインする為の言葉を言ったーーーーーー
「フルダイブっ!」
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