080 色々有った一年と終わらない年の瀬
ターレーによるここまでの主だった事象の確認だけです
「ターレー様、もう今年も終わりになりますね」
私の護衛騎士、テーリーの言葉に私は、静かに頷きます。
「そうですね、今年は、色々とありました」
「……本当に色々ありましたね」
テーリーが疲れた表情になりますが、仕方ないことだと思います。
「新の神の安らぎがの後の学院では、少しでもソーバトの地位を向上しようと頑張った物です」
「見事、最優秀を御取になさった時は、護衛騎士として私も誇らしかったものです」
テーリーが自分の事の様に嬉しそうに言ってくれた。
「その後、領地に戻り、イーラー叔父様と領内の業務の再検証を行ってました」
「あまりお手伝いが出来ず申し訳ございませんでした」
テーリーの謝罪に私は、首を横に振り、目を瞑る。
ここからが一番の山場。
「お父様の行方が判明し、カーレーとサーレーという妹が出来ました」
「あれは、本当に驚きでした」
テーリーの言うとおり、物凄い驚きでした。
お父様が異世界に行っていた事もそうですが、カーレーとサーレーの魔力。
全属性光なんて出鱈目な魔力な上に底なしとさえ思える魔力量には、未だに驚かされます。
「そして、サーレーの提案による魔帯輝移譲。あれが財政改善の大きな一歩でした」
あれが無ければ今の様な金銭的な余裕は、無かったでしょう。
「ナーナンに行かれた事も思い出されます」
テーリーは、そういったが、私としては、その時、同時に行われた大断罪の方が記憶に強い。
「あの頃から前領主派は、旧領主派と呼ばれる事が多くなりましたね」
「それだけ影響力が弱まったという事ですが、それでもまだまだ大きいです」
テーリーの指摘通り、まだ旧領主派は、多く、無視できる勢力では、無い。
「あの後の旗取りの時は、苦労したのを覚えています」
テーリーの言葉に私は、シーワーを思い出します。
「あの時よりイーラー叔父様の配下に入ったシーワー、優秀なのですが、サーレーに傾倒しすぎているのが困り物です」
苦笑するテーリーを見て私が首を傾げます。
「どうかしましたか?」
慌てて表情を戻すテーリー。
「なんでもございません」
私は、強めの視線を向ける。
「ちゃんと言って下さい」
諦めた顔をしてテーリーが口にする。
「その、人を惹き付けるということだと、ターレー様も御二方に負けていませんので」
「そうでしょうか?」
私には、実感が全く無かった。
「そうなのですよ。元々城勤めの者の多くは、ターレー様に強く敬意を持っています」
「嬉しいことなのですが、やはり一番の敬意は、常に領主であるウーラー叔父様に捧げて貰いたいものです」
私の言葉にテーリーが複雑そうな顔をする。
「こればかりは、難しいです」
「人の心を簡単に縛る事は、出来ませんからね」
私もそう口にしてから次の出来事を思い出す。
「そして米の凶作、この時は、本当に大変でした」
「大変だったのは、確かでしたが、結果として税収の減少は、最低限に治められたのは、本当に良かったと思います」
テーリーの言うとおりだ。
「あの時は、サーレーもかなり焦っていましたからね。今のところ、領地内の食料供給に問題は、ありませんが冬もまだまだ続きます、飢え死にする領民が出ない様に注意は、必要ですね」
「食料と言えば、秋に行われたゲームで城への新規採用が一気に増えました」
テーリーは、自分が全く知らない顔を見る回数が増えたと少し気にしています。
「庶民は、マリュサが、貴族は、キールーが万全の調査をしたので問題ありませんよ。皆、優秀な人材ですから力を合わせて頑張りましょう」
「そういえばあのミーロもその時の参加者でしたね」
テーリーの言葉に私は、小さく溜息を吐く。
「彼女には、本当に苦労を掛けましたね」
「そうかもしれませんが、学習会の時の同学年では、全日程で満点を取った挙句に最終日の合同ゲームでも唯一満点とって居ました。これ以上ない成績なのに何故か本人は、泣きそうになっていましたのは、何ででしょうか?」
不思議がるテーリーに私が説明する。
「サーレーに聞いた話では、家族の仕事先の上司に同年代の子供が居て、嫌がらせを受けているそうですから、飛び抜けた成績をみせると、そちらにとばっちりが行くのでしょうね」
「それでしたらこちらから注意されたらどうでしょうか?」
テーリーの提案に私は、首を横に振る。
「表向きは、無くなるかもしれませんが、裏に回って余計に酷くなるだけです。ミーロの家族も承知しているので、干渉しないほうがお互いに良いでしょう」
一年を振り返り、私は、改めて口にする。
「本当に色々ありましたね」
「はい。その殆どに御二方が関わっていますね」
テーリーの指摘を否定できなかった。
「とにかく、今年も色々ありましたが、もう直ぐ終わるわね」
しみじみと口にする私に対してテーリーが少し茶化す様に口にする。
「来年は、もっと大変ですよ」
「覚悟しているわ」
私は、そう答え、年の終わり、白の神の労りの一日を過ごす筈であった。
「ターレー様、御二方がまた、何か為さっています!」
侍女の報告に私は、大きく溜息を吐く。
「まだ終われないのね」
「頑張りましょう」
テーリーに励まされ、白の神の労りの穏やかな筈の城を急ぎ歩きする事になるのであった。
あっという間に80話です。
色んな事がありましたね。
次回は、カーレーが新年でぼんやりしています




