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落ち目領地とハーフな双子  作者: 鈴神楽
一年目 異世界生活に慣れよう!
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040 自慢の新商品とターレーの同学年

ナーナンの次期領主登場

名前がダブっていたのでマーウーに変更しました

「マーウー様、報告宜しいでしょうか?」

 ナーナンの領主候補の私にソーバトから増援への監督をさせたウーミーが報告してくる。

「気付かれたか、まあ、カイキ連合からの間諜連中だ、自分達に不都合になる様なヘマをすまい。それよりも晩餐会だが、あれは、揃えられたか?」

 私の問い掛けに側近が応える。

「はい、例の物は、十分に数を揃えています」

「よし、これでナーナンの力を見せ付けてやれるな」

 私は、配下の手際の良さに満足する。

 今回のソーバトからの援助要請は、確かにナーナンにとっては、プラスも多い。

 だが、同時に関税に関する軽減措置というあまり軽視出来ない交換条件も提示してきている。

 国内唯一の海運ルートを持つナーナンにとっては、関税は、かなり大きな意味を持つ。

 現にソーバトは、最近取引量も増えて、税収増加が見込まれた所である。

「単純な収支でいうならばプラスは大きいが、だが、こと流通でナーナンがソーバトに遅れをとっていると思われる訳には、いかないからな」

 それで今回、流通始めたばかりの例の商品を揃えさせた。

 私でさえ知ったばかりの新商品、ソーバトにとっては、言葉が出ない程に驚くだろう。

 そんな目論見の元、ナーナンの代表として晩餐会に向かう。



 領主の別宅の一つで行われた晩餐会。

 今日のゲストのメインは、無論ソーバトの領主一族の娘三人。

 皆、あのアーラー=ソーバトの娘だ。

 アーラー=ソーバト、その名前は、ミハーエ貴族の中では、有名である。

 領主の一族に生まれながら魔力無しだったと。

 まあ、上の娘、ターレー=ソーバトは、私と同学年で何かと接触を持つが、全属性持ちという高い魔力を持っている事は、解っているが、下の娘達は、どうであろうか?

 私は、そんな事を考えながら定番の挨拶を済まして乾杯をする。

「金の神の大いなるご加護に感謝を」

「「「金の神の大いなるご加護に感謝を」」」

 洗礼を終えたばかりの者も居るが、晩餐会、唇を濡らすぐらいの酒は、お約束である。

 それを終えた後、いよいよ例の物を出す。

「今宵は、ソーバトからの賓客を迎えるに当たり、趣向を凝らした飲み物を用意させてもらいました。酒気がないのでソーバトのお方にも楽しんで頂けると思います」

 私の合図と共にそーだーの瓶が並べられる。

 参加者の多くの者が戸惑う中、私が説明する。

「これは、最近流通を始めたそーだーと言う物です。シャンパンに近い飲み心地がありながら酒気が無い為、飲み易いので、まだ酒が飲めない御方には、お勧めの一品です」

「ほー、その様な飲み物があったのですか?」

「初めて見ましたわ!」

 ナーナン側の参加者も驚く中、ターレーが微笑みを浮かべている。

「この様な珍しい物を態々、私共が居る席に御揃え頂き感謝致します」

 もの珍しいのか、ナーナンの若い貴族が、そーだー瓶を大きく振っていたが気にせずに私が言う。

「それでは、御飲み下さい」

 一斉にあけようとした時、ターレーの妹、カーレーが声を上げた。

「そこの人、そのまま開けたら、泡が吹き出して服が汚れます!」

 指摘された貴族が眼を点にしているが驚きは、私の方が上だ。

 指摘されるまで忘れていたが、確かにあんな風に振ってから開ければ泡が吹き出し場を白けさせる事になりかねない。

「代わりを用意しろ」

 私の指示に側近が素早く動き、新しいそーだー瓶が用意されて、普通に試飲が始まる。

「これは、面白い飲み心地ですな」

「癖になりそうです」

 そんな感想の中、ターレーが窺って見なければ解らない程に上手く作った笑顔を見せる。

「本当に美味しく、マーウー殿のお心遣いには、なんと返せば良いのか解らない程です」

 白々しいセリフだ。

 さっきのカーレーの言葉の直後、ターレーは、僅かだが顔を曇らせた。

 妹のはしたない発言に眉をひそませたのでは、ない。

 あれは、そーだーの存在を事前に知っていた事をばらしてしまった事に対する物だ。

 さっきの発言と良い、信じられない事だが、ミハーエ一の流通を誇るナーナンですら、珍しいそーだーをソーバトが知っていた事になる。

 このままにしておけない事態だ。

「ナーナン自慢の海料理をどうぞお楽しみ下さい」

 そう口にしながら私は、この後の計画を立てる。



 晩餐会も終え、普通ならここでソーバトの貴族も帰るのが普通だが、私は、敢えて一歩踏み込む。

「ターレー殿、学院で同学年の貴女と少し話をさせて頂きたいのだが宜しいでしょうか?」

 相手も薄々気付いていたのか応じる。

「そうですね、カーレー、サーレー。私は、お話をして帰りますから先に戻っていてください」

「一緒に帰らないの?」

 カーレーの問い掛けにターレーがただ頷く。

「先に帰ろう」

 サーレーがそういうと、二人は、他の貴族と共に我が別宅を出て行く。

 そしてターレーは、護衛の騎士と共に別室に移動する。

「正直な話を聞かせて貰えるかな、そーだーは、ソーバトでは、既に広まっているのですか?」

 敢えて直接口にしたのは、今回は、明らかにソーバト側が失策したからだ。

 あの場合、カーレーは、黙っているべきであった。

 場を白けさせるとしてもその責は、ナーナンにあるのだから、自分の手札を晒す真似をする必要は、無かったのだ。

 だからこそ、妹達を帰らせたターレーが口にする。

「いずれ解る事ですから、今言いますが、あのそーだーは、ソーバトで作った物です」

 意外な答えが返って来た。

 まさか、あれをソーバトが作ったとは、考えもしなかった事だ。

 ミハーエの中でも武闘派であるソーバトは、それほどそういった開発を行っていない筈だった。

「随分と変わった物が生まれた物ですね。少々意外でした」

 控えめな表現で返す中、ターレーが続ける。

「ここだけの話にしておいて貰えますか?」

 何かの情報を口にするつもりだろうが、内密にというのは、額面通りの意味では、ない。

 それだけ重要度が高いって意味でしかない。

「勿論です、同学年の貴女に不利益になる様な事は、漏らしません」

 心にも無い事を口にして先を促す。

「あれを考えたのは、妹達です。正確に言えば、妹達が居た国の物をソーバトで再現しただけなのです」

「ほー、妹殿が……」

 カーレーとサーレーが異国育ちという事前情報は、有った。

 だが、それがあの様な物を生み出すとは、思っていなかったのが正直な感想だ。

 実際問題、ナーナンの貴族の娘が国外、カイキ連合に所属する国に嫁入りして、その子供達が戻ってくる事があるが、そういった者達は、ミハーエのやり方に順応する事を優先して、元居た国の物を広めたりしようとは、考えもしなかった。

 私もそれが当然だと思っていたから気にもしなかったが、これは、商いの元になる。

 配下の者に言ってそういった者達から情報を吸い出させよう。

 今後の方針が決まったが、問題は、ターレーが何故この話をして来たかだ。

 当然、隠し通せる事では、無いが敢えて口にする必要が無い筈だ。

 そこには、思考の誘導の意図を感じられた。

 そーだーの出所の調査される事を避ける為に敢えて答えを提示して来た。

 そう考えれば、敢えて口にした理由も理解できる。

 二人を先に帰した事も含めて、額面通りの情報を信じるのは、危険だ。

 慎重により深い調査をすべきだろう。

「解りました。その事は、ここだけの話しという事で私の心の中に秘めておきましょう」

 適当な言葉を口にする。

「そう言っていただけると助かります」

 ホッとした様子を見せるターレーだが、内心では、こっちの言葉など少しも信じていないだろう。

 それが貴族、領主の家に生まれるという事だ。

 そういう意味で言うならば、あの場でこちらの事を気遣い声を掛けたカーレーは、かなり異質だった。

 貴族としての教育が十分では、ないのかもしれない。

 つけいるとしたらそこ等へんだろうと考えながら、ターレーを送り出した。



「ウーミー、出来るだけソーバトの人間に貼り付け、特に領主の下の娘達の行動は、逐一記録に残して報告しろ」

「下の娘ですか?」

 だされた指示に戸惑うウーミー。

 何かするとしたら、ターレーだと考えているウーミーが戸惑うのは、当然だろう。

「そうだ。それと、余計な干渉は、不要だ。カイキ連合との裏取引に関わらない限り、無理な隠蔽工作も不要。出来るだけ行動させて情報を引き出せ。私が重要視しているのは、下の妹達の差異だ。それがソーバトの変化の鍵になる筈だ」

「了解しました」

 ウーミーが退室した後、私は、一人呟く。

「そう、そーだーの事を含めて、最近のソーバトの動きの変化は、あの二人を中心になってる可能性が高い。そこを軽視していたら、出遅れる事になる」

 何にといえば、次の時代の波にだ。

 それに乗り逃せば流通がメインのナーナンでは、致命傷になりかねない。

 そーだーの件を含めて領主である父上に上申する為の報告書の作成するのであった。

順調に学園登場メンバーの追加です。

今度は、ターレーの同級生。

マーウーは、商売っけが強いですが、これは、国内唯一の海運を持つナーナンでは、必要な事ですかね。

次回は、バカンスっぽい事が出来るかどうかって話です

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