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落ち目領地とハーフな双子  作者: 鈴神楽
一年目 異世界生活に慣れよう!
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020 湯浴みと洗髪

エーレー様のセクハラ作戦始動

『エーレーお姉ちゃん、私達を好きにしていいよ』

 そんな言葉を妹達から言われるのを妄想しながら、夕食の席、段々と領主の一族らしいマナーを身につけつつあるカーレーちゃんとサーレーちゃんを鑑賞する。

 少し前までターレーちゃん以上の可愛い娘は、居ないと思っていましたが、二人の登場でその地位がかなり揺らいでいますね。

 一番可愛いのは、誰と言われたら私は、悩んでしまいます。

 カーレーちゃんの健康的な明るい雰囲気もいいし、サーレーちゃんの一見淡々としている様で、恥らうような可憐さも捨てがたいのです。

 当然、産まれた直後から見知っているターレーちゃんの可愛さは、疑うの必要もありません。

 可愛い従姉妹達に増えて、嬉しい悩みが増えました。

 しかし、問題は、ターレーちゃんが私が二人に構うのを見て可愛い嫉妬をしてしまう事。

 だから、二人に添い寝をしようとする私を邪魔するのでしょう。

 なんて可愛らしいターレーちゃんなのかしら。

 そんな心配しなくても、カーレーちゃんやサーレーちゃんと一緒に可愛がってあげるのに。

 そう思いながら私は、ターレーちゃんも鑑賞します。

「エーレーお姉様、何かおかしな事を考えていませんか?」

 ターレーちゃんが何故か釈然としない顔で聞いて来ます。

「そんな極々当然の事しか考えていませんよ」

 私の答えにターレーちゃんは、短い躊躇の後、口にする。

「そうですか。それと、今夜は、私の部屋でカーレーとサーレーが寝る事になりました」

 なんて楽園でしょう。

「そこに私もご一緒して構いませんね」

 確信を持って確認すると、即答されます。

「絶対駄目です」

 ふー、ターレーちゃんは、やっぱり二人に私がとられると思っているのだろう。

「安心していいわ。私のターレーちゃんへの気持ちは、変わりませんから」

 大きなため息を吐くターレーちゃん。

「私は、二人に就寝と起床の時のマナーを教える為にしていますのでエーレーお姉様が考えている様な物では、ありませんのでご遠慮下さい」

「そうなの? でも、それでしたら余慶に私が一緒に居たほうが二人への指導が捗ると思うのですが?」

 私の言葉にサーレーちゃんが即座に返してきます。

「マナーは、あまり複数人で指導されると教わる僕達が大変になります」

「そうそう、実の姉のターレーお姉様に指導して貰うのでエーレー様は、気にしないで下さい」

 カーレーちゃんまで遠慮してくる。

「そんな、私達の間でそんな遠慮は、不要よ」

「誰も遠慮していません。それにこういった物は、前々から予定立てて行わないと側近に迷惑が掛かります。エーレーお姉様もご自重下さい」

 ターレーちゃんの言っている事も確かだ。

「そう、残念ですわ」

 そう私は、諦めます。

 本当だったら是が非でも参加したいのだが、今は、それより優先する事があります。

「ところで、昼食の時に約束していた件ですが、準備は、よろしくて?」

 カーレーちゃんが頷きます。

「はい。夕食後、湯浴みの時にお母様の試作品の中から最も良い物を使って洗髪のやり方をお教えします」

「お願いしますね」

 そう微笑む。

 これぞ、あまり接点が少ないカーレーちゃんとサーレーちゃんとの親密度をあげる私の作戦だ。

 洗髪のやり方を教わるついでに裸、お互い産まれたままの姿での触れ合い。

 きっと、私達の親愛は、深い物になる事でしょう。

「二人とも気をつけてね」

 ターレーちゃんの言葉にサーレーちゃんが頷きます。

「解っています」

「安心して、多少のマナーが至らない事があっても私は、平気ですから」

 私の言葉に不思議と従姉妹達は、顔を見合わるのでした。



 夕食も終わり、湯浴みの時間です。

 多くの女官と共に私が領主一族のみがしようする浴場で二人の到着をまっていました。

「早く来ないかしら」

 今か今かと待っていると、二人の声が聞こえてきます。

「お待たせしました」

 そして二人が入ってきます。

「そんな待ってなんか居ない……」

 私の言葉が途中で止まります。

 何故ならば、二人が裸でないからです。

「それは?」

 私の指摘にサーレーちゃんが淡々と答えてきます。

「水着です。洗髪の仕方を教えるのですから、濡れても良い格好としてこれにしました」

「えー! 洗いっこは! 裸の付き合いは! そんな恥ずかしがらなくても良いのよ!」

 私の主張にカーレーちゃんが笑顔で言ってきます。

「貴族の女性たる者、無闇に素肌を他人に晒すのは、いけないとターレーお姉様から教わっています。これでよろしいですよね?」

 周りの女官達も肯定してしまいます。

「それでは、始めましょう」

 そういって、サーレーちゃんが洗髪料を手に取り、回りの女官達に指導を開始しますが、暫くしてカーレーちゃんが手を叩く。

「そっかお母様の実験に付き合って女官の皆さんは、洗髪料の使い方熟知してますね。それだったら、あちき達の指導は、不要です」

 女官達が一斉に同意してしまいます。

「そうです。ですからカーレー様やサーレー様に態々指導して頂く必要は、ありません!」

「それでしたら、これで失礼します」

 サーレーちゃんが頭を下げて出て行こうとしましたので慌てて止めます。

「ちょっと待って! 折角、来たのですから湯浴みをしていったらどうかしら?」

「残念ですが、あちき達は、もう湯浴みを済ませておりますので」

 カーレーちゃんの言葉に私は、戸惑う。

「それってどういう事かしら?」

「午後の勉学の後にターレーお姉様と実験を行っていまして、その際に体を汚してしまいました。その為、夕食前に三人で湯浴みをすませております」

 サーレーちゃんの言葉に私は、叫ぶ。

「そ、そんな楽しげなイベントが行われていたなんて! 酷い、何で私を誘ってくださらなかったの!」

 詰め寄る私にカーレーちゃんが笑顔で告げます。

「この事があったので、一応話をしに行きましたが、エーレー様が独りになりたいと言われて居たと側近からききましたので、遠慮をしました」

「しまった! これの為にどうやって偶然を装い、カーレーちゃんを撫で回したり、サーレーちゃんに抱きついたりするか作戦を練っていたのが裏目に出るなんて!」

 私は、自分の失敗に涙する中、二人は、浴場を後にするのでした。

エーレー様は、こんな感じでセクハラを企み、失敗するキャラで押し通そうかと思っています。

この手のキャラって皆さん好きですか?

好きな人からの反応あれば所々でコメディー回として入れていきます。

次回は、コーラー様とサーレーとの対決です

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