167 変わる貴族達の態度と片手で食べられるオニギリ
キュリスは、伝達役です
「キュリスさん、何釈然としない顔をしているの?」
そうカーレーがいって来る。
カーレーは、出会った直後に色々された事もあるが、基本、良い子だ。
だって、領主一族だって言うのに平民であるあたしにもさん付けするのだから。
流石に回りに貴族の人が居る時は、呼び捨てだけど、こうやって私室で話すときは、フレンドリーに話してくれる。
「あの貴族達の態度の変わりようが気に入らないの。兄さんは、元々凄かったのに!」
あたしの不満を聞いてサーレーが肩を竦める。
「人間、それも上流階級は、そんな物。肩書きが全てって感じなんだよ」
「そんな物なの?」
あたしそう口にするとお菓子を食べていた、コショカさんが頷く。
「そんなもんだ」
そんなコショカさんのカップにお茶が無くなったに気付くとカーレーがお茶を注いでいた。
「前から気になってたんだけど、コショカさんってカーレー達の下女だよね?」
「そうよ。それがどうしたの?」
主に注がせたお茶を優雅に飲みながら平然とそう応えるコショカさん。
「コショカさんの下女っていう肩書きも建前だからね。本来の役割は、もっと他にある」
サーレーがそう説明してくれる。
「でも、コショカさんが城で下女やっているって噂が本当だったのは、以外だな」
あたしの呟きにカーレーが少し意外そうな顔をする。
「キュリスさんは、コショカさんの事を知ってたの?」
あたしは、頷く。
「だってコショカさんは、有名人だもん」
「変人としてでしょ?」
コショカさんの補足をあたしは、否定しない。
「大きな商店の娘なのにゲトック先生の寺子屋に居たし、何よりウジュンさんをからかう時によく名前が挙がっていましたし。側で見ると予想以上に綺麗で納得です」
ウジュンさんが相手されないのが。
「ウジュンをあんまりからかうなよ。あれは、ウチの玩具なんだから」
コショカさん、玩具って言ってるよ。
「そういえば、カーレー達って下女しか居ないの? ほらターレー様は、侍女とか側近とかいっぱいいるじゃない」
あたしが尋ねるとカーレーは、手をパタパタさせて面倒そうにいう。
「付けるって話は、何度も上がってるけど上手く誤魔化している。全く居ない問題なんでコショカさんを下女って事にして側においているんだよ」
「基本、自分達の事は、自分達でしたいからね」
サーレーの言葉に首を傾げるあたし。
「それって普通じゃないの?」
コショカさんが苦笑する。
「お前な、カーレーとサーレーは、貴族令嬢だぞ。スプーンより重い物を持たせない、着替えは、侍女任せ、手を伸ばせば届くだろう物もベルを鳴らして側近に取らせる。それが普通なんだよ。当然護衛騎士も何人も付くのが常識だ。下女の中には、気に入られた下女がウチだけでさぞ酷使されてるだろうと同情されてるぜ」
実情は、下女であるコショカさんが呑気に椅子に座って、カーレーやサーレーがお茶の準備をしていたが、それは、問題なんだろうな。
そんな時、カーレーが合図を送ってくる。
コショカさんは、慌てて席をたち、あたしも立たされるとドアが開けられ、一人の貴族の女性とそのお世話役の人達が居た。
「ターレーお姉様、どうかなされましたか?」
カーレーが多少は、フランクだけど、上品さを感じさせる口調で問う。
「ゲッティの妹が来たと聞いたので参りました」
カーレー達の異母姉妹であるターレー様は、そういってあたしを見る。
「兄上の研究は、順調でしょうか?」
「は、はい。魔法の試射する貴族の皆様も協力的で、研究を行う貴族の皆様もこちらの話を聞いてくれます」
あたしが直立姿勢で応える。
流石に生粋の貴族の前では、緊張してしまう。
「そうですか。それは、良かった。ゲッティには、領主も期待しております。頑張ってください」
「ありがとうございます。兄さんもその言葉を聞けばより一層、励むことと思われます」
そういってあたしが頭を下げる。
そしてターレー様が部屋を出た後、席に着くコショカさん。
「時々、不意打ちでくるから、その時は、ちゃんと平民らしく、立ち振る舞うのよ」
「普段からそうしていれば安全じゃないですか?」
立ったままのあたしの言葉にカーレーが苦笑する。
「それだとあちき達が疲れるよ。そうだ、帰りにゲッティさんの所寄るんでしょ? だったらこれでも持っていって」
そういって渡されたのは、お米を丸めたものだった。
「オニギリっていう食べ物。どうせ、食事も忘れて研究しているだろうから、研究しながら食べられるものだよ」
サーレーの言葉にあたしが感謝する。
「細かい所まで本当にありがとね」
「良いんだって。ゲッティさんには、本当に感謝してるんだから」
カーレーの言葉にサーレーが続ける。
「そうそう、ろくな魔法研究が無く、まるっきし相手されなかったソーバトの研究がバーミンでも認められたって結構大きいんだからね」
「さっきのターレー様の言葉と一緒に兄さんに伝えるよ」
そういってあたしは、城をでて、兄さんの居る研究所に向かう。
兄さんが認められている、そして兄さんが望んだようにソーバトの役に立っている。
それがとても嬉しかった。
「兄さんが聞いたらきっと喜ぶだろうな」
そうあたしは、呟いていた。
結論、兄さんは、確かに喜んだが、カーレーとサーレーとのやりとりを話すと無礼すぎると怒られました。
でも、あの二人とは、このままの関係で良いと思います。
どっちにとっても。
カーレー達にとって仲の良い友達って感じになっています。
次回は、カーカナに行く予定です




