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落ち目領地とハーフな双子  作者: 鈴神楽
一年目 異世界生活に慣れよう!
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012 領主一家と婚姻計画

領主一家登場です

 私は、ムーマー=ソーバト、ソーバト領主の妻です。

 ソーバトは、私が生まれたマーグナと同じでヌノー帝国との戦いを常に強いられた軍備力を中心にした領地です。

 それ故にマーグナと同様にヌノー帝国の侵攻が激しくても、無くても領地運営に大きく左右される難しい領地です。

 そして今は、侵攻が無く、厳しい状況にあります。

 夫やその弟であるイーラー様も大変な苦労をされています。

 領主の妻として、夫であるウーラーを支えて行く覚悟をしております。

 そんな状況に突如現れたのは、夫のもう一人の弟、アーラー様の二人の娘です。

 アーラー様の事は、よく覚えておりますが、魔力が無かった為に大変苦労されていました。

 それ故に失踪されていました。

 アーラー様の妻、マーネー様が必死に捜索されていました。

 それは、悲壮な程の覚悟に私は、強い哀愁を感じ、周囲からの圧力から庇っておりました。

 それが、その行方が二度と戻れない異界と判明しました。

 その上、マーネー様も神器の力が戻り次第、その世界に向かうと決意されたと本人から報告を受けました。

 その際に残される三人の娘について、良しなにとの願いに私も応じました。

 そして今宵の夕食の場に新しい一族の者としてアーラー様の二人の娘、カーレーとサーレーが加わりました。

 一通りの挨拶を終えた後、長男のオーラーが落ち込んでいる事に気付きました。

「どうかしたのですか?」

 私が訪ねると、オーラーの後ろに立っていた護衛騎士のコーローが頭を下げてきます。

「全ては、私の不徳故です!」

 夫の後ろに居た騎士団長のカーローが沈痛な表情で口にする。

「コーロー、お前の気持ちも解るが、領主一族の夕食の席だ、声を抑えよ」

「何があったのだ?」

 夫の問い掛けにカーローがオーラーとカーレーとの騒動の顛末を話して下さいました。

 それを聞いて夫は、渋い顔をし、イーラー様は、呆れた顔をして言う。

「どちらも親子揃って、臣下に余計な恥をかかせる」

「言ってくれるな」

 夫が疲れた表情で言う。

「今回のことは、不問とする。だが、コーローよこれよりは、息子には、実戦で通じる剣を指導するのだぞ」

「この命に代えましても」

 コーローがそう返答する中、カーレーが口にします。

「親子って事は、やっぱりお父様が話していたのは、本当なのですか?」

「何をとは、言わぬが、この席では、確認することでは、無いぞ」

 イーラー様の言葉に夫も強く頷く。

 息子達もいるこの場では、これ以上掘り下げないほうが良い話という事なのでしょう。

「まだまだ躾が足らない娘ですかどうか大らかな目で見てください」

 マーネー様は、そういいながら、お二人の細かい仕草に指摘を入れています。

「お母様、あの二人、凄く可愛いです」

 そう目を輝かせるのは、娘のエーレーでした。

「そうですね。エーレー、学院でも一緒になると思いますから、確りと助けてあげるのですよ」

「はい、お母様!」

 本当に嬉しそうな顔をしている事。

 この子は、ターレーを弟のコーラー以上に世話を焼いていましたね。

 妹と言う物に強い執着があるようです。

 少し気をつけないといけませんかもしれません。

 そんなエーレーより問題なのは、カーレーやサーレーと同じ年のコーラーなのかもしれません。

 先ほどからずっとカーレーを睨んでいます。

「コーラー、何をしているのですか?」

「お母様、あんな娘が兄上に勝てるとは、思えません!」

 そうでした、コーラーは、かなりの兄思いの弟でした。

「コーラー、お前の気持ちは、嬉しいが。敗北した事実には、間違いない。だが、私も次期領主を目指すもの、敗北したままで終わるつもりは、ないぞ」

「兄上でしたら、絶対です!」

 オーラーの誓いにコーラーも嬉しそうにする。

 仲が良い兄弟と思いますが、領主一族としては、新しく出来た従兄妹との関係も良好にあって欲しいものです。

 特にコーラーは、どちらかとの婚礼も考えているのですから。

 まだ、具体的な話では、ないのですが、カーレーとサーレーは、高い魔力をもっています。

 それを外部に出すのは、ソーバトとしても損失としてその話が上がっているのです。

 私としては、もう一人を私の実家、マーグナに嫁入りさせた上で、更なる交流を結ぶというのが望ましいのですが、今の私は、ソーバトの領主の妻、最優先すべきは、ソーバトの利益です。

 まあ、それでも私の故郷となら、強い協力関係が結べるのですからマイナスには、ならないとも考えています。

「ムーマー様、以前からマーグナから要請がありました魔帯輝の譲渡の件ですが、ムーマー様の強い要望にこたえるという形でお受けする事になります」

 イーラー様の言葉に私は、驚く。

「宜しいのですか?」

 魔力を籠めた魔帯輝、特に高いランクの物に関しては、お金では、変えられない価値があります。

 かといって領地の運営には、高度の魔法は、必要不可欠。

 ヌノー帝国の侵攻が始まればそれこそ多くの魔帯輝が必要です。

 ソーバトでもそう余裕がある訳では、ありませんが、マーネー様やターレーが居るので実家のマーグナよりは、幾分良好なだけで、兄上から頼まれ、伝えた時には、イーラー様は、渋い顔をしていたものです。

 そんなイーラー様は、小さく、カーレーとサーレーを見ます。

 なるほど、それが答えと言うわけですね。

 マーネー様が居なくなるとなって色々と先行きへの問題を感じていましたが、十分に補う者をソーバトは、得たという事です。

 しかし、そうなると益々、コーラーとの婚姻の必要性は、高くなります。

「兄上は、魔力は、凄いのだぞ!」

 そう兄自慢をするコーラーの今後がかなり不安になってしまうのでした。

この夫婦関係は、完全に本好きの下剋上の領主の夫婦関係をパクってますね。

そういえば子供の数も一緒だった。

予想以上に影響を受けていると気付く、今回でした。

次回は、怒涛の一日の終わりのカーレーとサーレーです

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