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錬金術師の真骨頂

 だが蚊は驚く俺を見越してか、随分冷静に説明を始めた。


「貴方はアブラメリンの血を持つ人ですよね。人は皆万物の声を聞くことは出来るのですが、いつしか自然の声を聞かなくなりました。自分たちの文化の意思疎通手段が複雑化したからでしょう。あまりに複雑化しすぎて同じ人間同士ですら言葉が通じないこともあるんだとか…大変ですね。

 しかし貴方がたアブラメリンの者は世界の雑音にも耳を傾ける事ができる古来からのセンスを持っているのです。人々はそのセンスを交信術…神通力の一種として畏怖しているようですがね」


 この超能力は本来は誰でも持っているものらしい。よくある設定だなあと思うが、それが俺の前に現実として寄越されると話は別だ。そんな馬鹿な…


「アブラメリンの錬金術師はこの力を使って自然から英知を受け取り、人間達に教えていました。自然はフェ・ラジカだけで構成されているわけではありません。聞く体勢が出来ていさえすれば、こうしてただの虫けらとも話ができるのです」


 簡単に言えばアブラメリン家は聞き耳頭巾を生まれながらに被っている一族ってことか? 俺は自分の血族に対してさほど興味が無かったし、俺自身錬金術師じゃないからよくは知らん。でも現実に俺がこうして虫と話が出来るのだから、嘘ではないんだろう。

 それにしても自然界のものは皆人間以上に知的そうだな。こいつらから万物の英知を聞いて錬金術師として富を築いたってのは今までなら信じられないが、今なら信じられそうだ…物知りそうな蚊なら色々知っていそうだ。俺は早速尋ねてみた。


「さっきキャリアを知ってるって言ってたよな? 教えてくれよ」


 しかし、物知りな蚊は抜け目無くこう返してきた。


「いいですよ。ただし無償でとは参りません」


 何だよ、虫の癖に…しかし何がほしいんだろう? でもどうせ虫だし、たいしたものをほしがらないだろうと「蚊が金をほしがるわけ無いだろうしな……一体何がほしいんだ?」と割と肯定的に交渉してみると、ごもっともな物をほしがられた。


「血をください。アブラメリンの血ならばさぞ優秀な子孫が残せる事でしょう」


 なるほどね。血なら別に痛手にはならんな。俺の血と引き換えに住民の命が助かるなら安い買い物じゃないか。アブラメリンの錬金術師達もこんな感じで相手の要求を呑みながら万物の真理の欠片を得ていったんだろう。

 しかし蚊といえば病気を持っていることで有名な害虫だ。病気とか持ってないだろうな……と少し渋ると、蚊はいかにも心外と言った調子で語り始めた。


「人に病気を媒介するとはいいますが、我々は空飛ぶ注射器ではありません。例えばマラリア。マラリア原虫を持った蚊は非常に短命です。そして正常に卵を残す事ができません。

 持っているのではなく寄生されているのです。人と同じくマラリアに感染していると考えればお分かりでしょうか。

 風邪にかかった人間が側にいると風邪をうつされるのと同じで、病気の蚊に食われるから人は病気になるのです。私は病気持ちに見えますか?」


 まあ…元気そうだよなあ。心配する必要は無いって事かな? 最近冷えてきた事だし、そう変なものから血を吸ったりはしてないだろう。じゃあどうぞ、と手の甲を差し出すと、体内からフェ・ラジカがまったをかけた。同じく血を食う…まあこっちは血の中の鉄分を食うカビなんだが、とにかく同じく血を必要とするものとして気がかりな事を指摘した。


『それを言ったらザドックのほうが危険だぞ。今のザドックはフェ・ラジカのキャリアだ。フェ・ラジカは体に鉄分が含まれていればそれを食らいつくす。お前のような虫でも感染するかもな。もっとも、私は弱体化した株だから原種株に比べればかなり毒性は薄いが』


 どうも殺人カビは殺人どころか殺虫も可能らしい。今の俺は簡単に言っちまえば血管の中がカビてるようなものだ。その状態の血を飲めば危険だといいたいのだろう。すると蚊は意外な事を言い出した。


「それでしたら大丈夫です。私はこう見えて高齢でしてね、あと1回卵を産めば恐らくもう生きてはいけないでしょう。

 次世代を天に任せるために質の良い血を探していたらいろいろ知ってしまいましてね。折角ですから錬金術師と交渉してみようとこうしてはせ参じたのです。

 短時間ならばあなた方は私を食うことは出来ても、卵には寄生できまい」


 寿命が短い生き物は死に対する覚悟の決め方も実にスマートのようだ。自身が病んで死ぬ事より、アブラメリンの血の恩恵に賭けたいようだ。

 俺は昔から普通に虫に刺される事はあったし、苦労して血を吸い取ったって何か起こるとは思わないんだが……きっとその事を言っても決心はゆるぎないんだろうな。

 単に知らないだけで今まで俺を襲った虫も実はコイツと同じように未来に願をかけながら血を持っていったのかもしれない。


 俺は改めて黒い虫の側に手をかざして「いいけど痒くするなよ」とお願いすると、蚊は手にそっと飛び移りながら言った。


「痒くしないと痛くなりますよ。痒いのは我々の唾液に対するアレルギー反応ですから。我々の唾液は麻酔のようなものです。対処がへたくそな蚊にさされると痛みを伴いますが、要はそういうことです」


 そういえばごくたまにチクッと痛む事があったな。何かと思えば蚊が血を吸ってる。驚いて叩くと肌につぶれた黒い蚊の体がべったりと張り付いて面倒なことになるんだが、血を吸っている蚊を叩くと真っ赤な血が辺りに飛び散るはずなのに血を吸い始めたばかりなのか血はほとんどそのすり身からは見られない。あれはどうもへたくそな蚊らしい。つまり麻酔がないと蚊の吸血も案外痛いものらしい。

 手の甲に移った蚊は静かに俺の血を吸い始めた。いつもならこんなシーンを見る前に叩き殺してしまうんだが、手際のいい吸血っぷりに俺は自分の血が吸われていることも忘れて感心しながら見守っていた。本当にまるで医者の注射のように静かに、確実に血管を探り当てて血を吸っている。

 じわじわと腹が赤く膨らんでいくのを間近で観察していると、蚊はそっと口を俺の体から離した。野暮ったい行動が一つもない。まさに一切の無駄の無い機械的な動きだ。まだ患部は赤くもないし膨らんでもいないからか、本当に刺されたのかと疑いたくなるほどだ。そうか蚊に刺されてる最中は痒くならないのか。


 蚊は満足そうに再び俺の体に飛び移ると、「アブラメリンの血をいただきました。ではお教えしましょう」とあっさりと口を割った。


「モイナ町ミモザ通りにある遊歩道の側にある小道から入った住宅地。古くからの住宅街ではなく最近出来たアパートが立ち並ぶ綺麗なほうです。

 そこにいたセールスレディから貴方と同じ臭いを感じました。貴方と同じく微弱の……恐らく人間では分からないでしょう、カビの臭いがするのです。

 フェ・ラジカは悪臭を放つタイプのカビではありません。食用キノコのように芳しい薫りを持つカビです。人間には薫りは分かりませんが、こわく的なその微弱な体臭は人々を魅了します。フェ・ラジカの感染者が黒死病のように恐れられ見捨てられないのはフェ・ラジカの薫りによって死を超越した好奇心を周囲の人間に与えるからでしょうね。

 アパートの住人たちはフェ・ラジカに恐怖していますから元々招かれざるセールスレディである彼女の訪問に対しても堅くドアを閉じていますが、ひとたび顔を合わせれば話を聞かずにはいられなくなるでしょう。長い間対面して話を聞いていれば必ずその間に彼女のフェ・ラジカに感染します」


 極めて死亡率が高いフェ・ラジカの感染症になっても献身的に周りが混乱せずしっかり看病する理由は、どうやら人間の美徳だけではないようだ。

 臭いで人の心を操っているという新事実に驚きを隠せないが、確かにもっとパニックになってもいいのにと思っていたし、裏にはそうした感情をコントロールする危険なものが潜んでいるといわれても納得できる。

 俺もフェ・ラジカと対面した時妙に冷静な部分があったが、もしかすると感知できないフェ・ラジカ本来の薫りで大胆になっていたのかもしれない。


「彼女はよく咳き込んでいます。彼女もフェ・ラジカを警戒していますが、そうした事から他人事のようにしか思っていないようです。

 自分の症状は季節の変わり目の風邪か何かだと思い込んでいます。自分が既にキャリアであることには気づいていません。

 唾に混じった膿は確実にアパート周辺を冒しています。新しいアパートで通気性もよくフィルター設備が良いので直接対面しなければ安全です」


 今は丁度秋口で、かなり冷える日と暑い日が交互に入れ替わって風邪を引きやすい季節た。外を歩き回るセールスレディが勘違いするのも無理は無い。


「ボブカットで成人女性としてはやや小柄な妙齢の女性です。やや地味な黒いスーツを着ていましたが、寒さから身を守る為にマフラーを装着していました。渋い黄色のマフラーです。彼女を見たのはセキュリティが強い事を売りにしていた女性専用アパートですから、化粧品の訪問販売をしている彼女にとって格好の狩場なのでしょう」


 特徴から察するに可愛らしい感じの女性のようだ。だが今は恐怖のフェ・ラジカのキャリア。彼女が仕事を頑張れば頑張るほど危険な株が人々を蝕んでしまう。早く彼女を住宅街から引き離して然るべき対処をしなければ大規模な感染ルートが確立されてしまう上に彼女が毒に耐え切れずに死んでしまうだろう。

 

 それにしても、何か聞き覚えのある場所だな…


「モイナ町で新しい女性専用のアパート…俺そこ知ってるかもしれん」


 マサース市モイナ町…俺のホームタウンだ。つまりソロモンのホームタウンでもある。この辺は昔から住宅街が多くて、田舎の割に交通事情に恵まれた町だ。それに目をつけた連中が我先にと荒地やだだっ広い畑を潰して綺麗なアパートやマンションを建て始めた。だからモイナ町は田舎っぽい町並みの中にやたら近代的なマンションが立ち並んでいるという妙な外観になっている。

 交通事情に恵まれているからか、近辺の企業に勤める社会人や大学に通う学生が好んで住むベッドタウンにもなっている。そういった連中の中に俺の友達が結構いるが、その中にかなり遠方から大学のために単身この町に移り住んだのがいる。ジュディスという女だ。何となしに入ったクラブの活動でたまたま顔を合わせてから仲良くなった。彼女は19年一度としてできた事が無いが女友達なら意外に多い俺って色々悲しいよな。男の自信を無くすわ。


 蚊に礼を言って飛び立つ姿を見送った俺は、自転車を走らせながら携帯でジュディスに電話をかけた。ながら電話はよくないが、特別な状況だしその辺は目をつぶってくれ。


 ジュディスの親は心配性らしく、娘が危険な目にあわないようにと学生の住むアパートにしちゃいやに高い女性専用のアパートの一室を借りたそうだ。

 女性しか入れないから気が楽かと思えばそうでもないようで、「騒音とかゴミの出し方とかに神経質な人がいるのよ。気に入らないとわざわざ部屋に来て文句言われるし。こっちは規定どおりにゴミ出してるし騒音だって気をつけてるのに…なんだか気が疲れちゃう」と嘆いていた。女は女で大変らしい。女じゃなくてもいそうだけどな、そういうの。


 何度目かのコールの後ジュディスが出た。彼女は独りで頑張っているからか健康には特に気をつけているようで、マスクを装着してどんな時もうがいを欠かさない。そのおかげか町がこんな状態でも元気な状態だ。

 普通どんなに気をつけていても家で気を緩ませてフェ・ラジカの胞子を吸い込むはずだが、家が新しくてフィルター機能が備わっているからか、フェ・ラジカの胞子が部屋にまで来ないようだ。

 彼女は花粉症らしく、そのせいかいつも外套を部屋に持ち込まない。だから服に付着した胞子を吸い込まないのかもしれない。


「ザドック? 一体どうしたの」


 大学が閉鎖されていて暇だったのか、寝ていたらしい。寝ぼけた声が聞こえてきた。もしかして違うアパートなのかなと思いつつ、とりあえず気になる事を訊いてみた。


「お前んとこに訪問販売員が来なかったか? 化粧品とかなんかの」


「来てないよ。でもどうして?」


 蚊が女性用アパートでキャリアを見たのは一体いつの話かは分からん。だが、モイナ町の女性用アパートといったらジュディスのアパートくらいしか思い当たらない。仮に違ったとしても、化粧品の訪問販売員なら必ず来るはずだ。単に寝ていて呼び出しが気がつかなかっただけかもしれないが、それでも俺は指示した。


「もしそういうのが来ても絶対にドアを開けるなよ。もし出来るなら販売員をドアの手前にひきつけておいてくれ。あとは俺がどうにかする」


 どうにかする、といわれてジュディスは混乱したらしくしきりにえっ? えっ? と声を上げていた。説明が足りなくてよく分からないといった様子で俺にきき返してきた。


「どういうこと? 意味分からないよ。その人がどうかしたの?」


 言うべきか言うべきじゃないか。全てを隠して協力を得るのは難しいだろう。俺はアブラメリンの錬金術師の家柄だから、はっきりと事実を伝えた上で心配する必要は無いと念を押せばパニックは起きないはずだ。錬金術師はこういう奇妙な事件を解決する専門家というのが一般人の見方だからだ。俺自身は錬金術師じゃないが、家の名前が信用性を高めるはず。


「そいつは殺人カビの感染者だ。アパートの部屋はフィルターが充実してて胞子が入ってくる事はないが、ドアを開けて対面すればお前はほぼ確実に殺人カビの餌食になる。そこの住人は皆そうだ。住人と連絡が出来るならできるだけ伝えてくれ。殺人カビの事は伏せてもいいが、絶対にドアを開けるなってな」


 無理なお願いなのは承知の上だ。住人に協力を得た上で殺人カビに対する100パーセントの抗体を持った俺がセールスレディを保護して、その後うちの研究所に連絡して消毒してもらえばいい。それまで辛抱してもらうしかない。


 日頃住人に対する愚痴が多いジュディスはいきなり住人と連絡を取り合えと言われて酷く狼狽しているようだった。何かしらわめいていたようだが、俺はその内容を把握できなかった。

 突然頭の中の血が一気にざっと引いたかのように白く冷たくなって、前を向いているはずなのに何も見えなくなったんだ。自転車をこぐことも出来ず、俺はたまりかねて自転車を止めてハンドルにもたれかかるようにしてうなだれた。

 気持ち悪い…耳もまるで中から圧迫されたかのように物音がうっすらとしか聞こえない。肩から下がしびれるようでいうことを聞いてくれないようだ。


 小さい頃似たような感覚を感じたことがある。小さい頃は顔に似合わず貧血気味で、よく立ちくらみを起こしていた。成長したら貧血も収まってそういった現象はよほど疲れたときにしか感じなくなったが、まるで十年分の貧血が一気に現れたような感じだ。

 蚊に血を吸われたからか? と思ったが、そんなはずない。ほんのちょっとの血じゃないか。蚊で貧血になるなんてバカげている。では何故…と考えて、すぐに思い当たった。


 頭を低くしていたら次第に容態はよくなったのか、携帯から女の声が聞こえてくるのをどうにか拾うことが出来た。ジュディスは色々ごねていたが、結局自分で最良の方法を考えたらしい。まだ少し慌てているようだが、ちょっと誇らしげに俺に言っている。


「ねえきいてる? あの、あのさ、こういう時は大家さんに連絡すればいいんだよね! 大家さんいい人だし、皆に言ってくれるよね! 緊急事態って連絡すればザドックも入ってこれるはず。でもザドックは大丈夫なの? 感染したらやばいんじゃない?」


 なかなか収まらないめまいが俺の力を奪うようだ。俺は必死に体を起こしながら出来るだけ声を大きくしてジュディスにいった。怒鳴ってるわけじゃない。これくらい出さないと聞こえない気がしたからだ。 


「錬金術師の知識があるから大丈夫だ! ともかく頼んだぞ!」


 錬金術師。こういう事態には欠かせない存在だ。俺は錬金術師の家の出というだけで錬金術師じゃないし、知識もあるわけじゃない。それでもそうでもいってやらないと安心させられないと思った。嘘もナントカっていうじゃないか。

 本当は俺自身に対する激励でもあるんだがな。錬金術師の家の人間なんだから大丈夫だって奮起しなきゃ恐ろしくて何も出来ない気がする。


 今すぐ親父に連絡して全てを任せれば楽なんだろうが、何故かそれは嫌だと思う気持ちがあった。ソロモンの裏切りを伝えるのが恐かったからかもしれない。どうしたっていずれは発覚するのだから、無理せずに伝えればよかったな、と今では思うが…


 震える手で携帯をしまう俺を見かねたのか、フェ・ラジカが心配そうに俺を励ました。


『焦るなザドック…そんなに遠い場所じゃないのだろう、今は友達を信じて慎重に進め。君の友達は必ず周辺に根回ししてキャリアをひきつけておいてくれるはずだ』


 コイツは悪いやつじゃないし、フェ・ラジカが体内に根を張っている状態だと別のフェ・ラジカに感染しないという特色があるというのなら、コイツが体内にいる限り俺は絶対に改良種のフェ・ラジカの胞子にやられないってことだ。いつ消えるか分からない芽吹かない胞子と違ってこの効力は確実なものだろうな。

 だが、フェ・ラジカは鉄を食い猛毒を分泌するカビであることには変わりない。いくら弱体化した株とはいえ寄生されている間血液内の鉄を食われ続け猛毒を体内に放出され続けている。外に感染を広めないようにしてくれているのか、咳は出ていない。だが、これ以上体内にヤツをしまい続ければどうなるかは分からん。


 こんな事言うと怒られそうだが、俺はよくながら運転をするから普段ならバランスを崩してよろめいたり急ブレーキしたりはしない。確かに気持ちが動揺しているから普通じゃないのかもしれないが、さっきのめまいはそうした気持ちから来るものではないはずだ。

 俺は皆と違って胞子ではなく成長した株を持ってる。今の状態のままいれば100パーセント他のフェ・ラジカの胞子の被害にあわないが、100パーセントの確率で重度のフェ・ラジカ症候群を発症する。


 俺は自転車を起こしながら深いため息をこぼした。頭の中が回って平衡感覚がうまくたもてないような変なふらつき感がまだ残っている。体が重い。体が急に冷えたような感覚が戻ったと思ったが、今度は逆にぶわっと熱くなるような妙な感覚が体を余計重くさせる。

 寒いのか熱いのか分からない妙な倦怠感に戸惑いながら顔をぬぐうと、気持ち悪い脂汗が手をぬらした。冷たいものが飲みたい……だが今は水を買いに行く暇なんてない。


 早くキャリアを保護しなければ…危険な株のキャリアである相手にタイムリミットがあるように、安全な株のキャリアである俺にもタイムリミットがあるんだ。

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