第十二章:ケース奪取
更新が2週間も遅れて申し訳ない!!
やはり一気に連載をすると駄目ですね。
とは言え、傭兵の国盗り物語の青天の霹靂編が終わったらこちらに力を注ぐ積りです。
理由は私とブレイズさんだけが今の所は知っておりますが、もう少々お待ち下さい!!
俺はディアドラから「来る」と言われスタンバイをした。
「こちら猟犬。エンジン、準備は?」
『OKだ。もう直ぐか?』
「あぁ・・・来た!!」
俺はギアをチェンジしアクセルをフルに踏み道路を走る車に横から滑りタックルを喰らわせた。
運転手が俺を見る。
へっ・・・逃がさねぇぞ。
横に張り付いた俺はタックルをしながら前方から来る対向車にも眼を向けた。
来た!!
直ぐに前へ車を出し素早く前を塞ぐ。
それによって対向車はやり過ごし相棒が運転する車と前後を抑える事に成功したが敵は対向車にぶつかる覚悟で俺を抜こうとする。
それを阻止するため俺はジグザグに運転した。
『相棒。シッカリと横に張り付け』
無線から相棒の声が聞こえた。
「俺を誰だと思っているんだ?猟犬だぞ。獲物を仕留めるまで離れねぇよ」
『そりゃ結構だ。このまま続けるぞ』
「了解だぜ」
無線を切るとエンジンが頃合いを見計らって右横から現れた。
獲物の車は対向車にぶつかる形で真ん中を走る。
しかし、これは長く続かなかった。
道路が別れていた・・・・2つに。
獲物の車は左へ行き俺とエンジンは右へ行く。
だが、相棒の車は左だしこれも作戦の内だ。
「こちら猟犬。獲物は予定通り左に行った」
『そのまま真っ直ぐ進め。そこから700m先の信号を右折しろ』
パソコンの指示が無線からする。
「了解。あんた等とはそこで合流か?」
『そうだ。くれぐれも油断するなよ?奴等は手負いの獅子だ。何をするか分からん』
「手負いの獅子、ね・・・狩り甲斐があるじゃねぇか」
『そう言うと思ったよ』
パソコンは笑ったのか無線越しに震えた声が聞こえる。
そして700m先の信号を俺とエンジンは右折した。
『そのまま進んでくれ。民間人にぶつかるなよ?』
「誰に言ってんだよ」
そう言いつつ俺は直ぐ隣を横切ろうとした餓鬼の乗る自転車を避けた。
何でこう狭い道路しか無いんだ。
愚痴を零しても仕方ないが俺はついつい零す。
それからずっと突き進んで行く。
『もう直ぐだ。奴等、君等の左から来るぞ。車で体当たりして動きを止めろ』
「了解」
俺はアクセルを強く踏み更にスピードを上げた。
そして・・・・・・・・・・
見えた!!
『今だ!!』
パソコンの合図と共に俺は車に体当たりした。
車はカフェに突っ込む形で止まる。
車に乗った状態で俺は懐からデザート・イーグルを抜いた。
さぁ・・・・リハビリ開始だ。
勢いよく弾は飛び出て窓ガラスを突き破り運転手の頭を車内にぶちまける。
直ぐに車から降りて撃つが敵もやられっぱなしではない。
9mmパラベラム弾の連続発射音が直ぐ耳元で来る。
車で弾を避けながら撃ち返していると相棒達も到着した。
相棒はSIG SG551を持ちブレイズはFN M249ミニミを持ち車から降りると撃ち始めた。
どちらも5.56mmNATO弾を撃つから弾に関しては互換性がある。
ブレイズのミニミ軽機関銃はベルト給弾ではなく30発のM16マガジンだった。
弾数こそ少ないが軽量と携帯を考えてあれにしたんだろうな。
更にそこへパソコン達も到着しトミーが一番遅れて来た。
遅いんだよ。
皆で鉛を車に浴びせる。
「退け!!」
トミーがパソコンを押し前に出るとケースを持った男をSPG P226で撃ち殺しケースを繋いでいた手錠も撃ち壊す。
ケース奪還だな。
上手く行ったがそこへパトカーのサイレンが聞こえて来た。
不味いな・・・・・・数台は居るな。
「応戦して!!」
ディアドラがH&K MP5でパトカーのサイレンを撃つと俺達もタイヤなどを狙って撃った。
相手もやり返して来るが武装は俺たちの方が上・・・・国家警察が居ないのは手を回したからか?
何にしても俺達にとっては都合が良い。
そして引き上げる。
しかし、トミーがここで「撃たれた!!」と叫んだ。
エンジンが駆け寄り起こそうとするもトミーは「ケースを頼む」と言いケースを渡した。
そこ等辺はプロだな、と思って俺はエンジンに駆け寄ったが・・・エンジンのジャケットが鈍く光る。
これは・・・・・・・
「ケースを貸せっ」
「え?」
「いいから貸せ!!」
俺は奪い取る形でケースを取り上げるとパトカーの方へ投げた。
直ぐにケースは爆発した。
ちっ・・・ダミーか。
トミーを見るが奴は本物を持って待たせていた車に乗り込むと走り去ってしまった。
「引き上げよ!!」
ディアドラが叫び直ぐに車に乗るよう言い俺たちは従った。
後ろを見れば・・・・・トミーが黒いショルダー・バッグを持って別方角に行き待たせてあった車に乗る所が見えた。
やっぱり、そういう事か。
「トミー野郎が裏切ったか」
「そんな事よりエンジンの膝が不味い」
パソコンがエンジンの膝を見て俺も見ると・・・・血が出ている。
爆発で吹っ飛んだ衝撃により強く地面に打ち付けられてせいで怪我をしたか。
不味いな・・・・・・・・
「とにかくアジトへ戻って計画を立て直すわ」
運転をするディアドラに俺たちは頷いた。
しかし、あのトミー野郎は何者だ?
イギリスのS.A.S出身と言っていたが・・・諜報部員になる事も出来る筈だ。
となればイギリスからの手先か?
理由は分からないが候補としてはイギリスか。
などと思いながら俺たちはアジトへ引き上げた。
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俺は兄貴の運転する車に乗りながらアジトへ向かった。
「兄貴の予想が的中、しましたね」
トミーが裏切った・・・・・・・・
ケースはあいつに持って行かれた上に警察と言う有り難くもないおまけが俺達について来た。
紳士の国出身の割には汚いやり口だぜ。
「どうかな?」
「え?」
兄貴は俺の言葉に首を傾げてみせる。
「あいつは確かにケースを持ち逃げた。しかし、あいつは無事だと思うか?」
「・・・味方と思っていた奴に殺される、という事もある訳ですか」
恐らくあいつは金でも掴まされて俺たちの中に入った。
そしてケースを奪ったらそいつに渡し残りの金を貰う。
後は映画でも定番の流れでズドン。
という事も有り得なくは無い。
実際、それが後腐れ無いし効率的だ。
「まぁ、良いさ。あいつが死のうと生きようとケースの中身さえ取り戻せればOKだ」
「確かに。にしてもおかしいですね。普通あれだけの銃撃戦をやれば国家警察が動く筈ですよね?」
フランスの警察機関は実に複雑だ。
日本以上の官僚国家という事もあるだろう。
あれ位なら直ぐに国家警察が動いて俺たちを取り囲む筈だが来たのは拳銃だけの警官。
どう考えてもおかしい。
「上の奴等にパイプでもあるのかもしれないな」
「それは言えてますね。とは言えアジトに戻ったらどうなるんだか・・・・・・・・・」
「先ずは状況把握と新しいアジト探しだろうな。暫くは家に帰れないぞ」
「仕方ないですよ。会社には実家の都合とでも言っておきます」
「それが良い。それから知り合いにも連絡するなよ?」
「勿論です。電源も・・・・・・」
俺は携帯を取り出して固まった。
か、彼女から電話が来ている・・・しかも、3回も!!
「彼女からか?」
「え、えぇ・・・まぁ・・・・・・」
「電話に出るなよ。後で怒られようと今は仕事中だ」
「・・・はい」
俺は電源を切り折った・・・これで俺の末路は決定した。
「まぁ、そう落ち込むな」
「そうは言っても・・・・・・」
「落ち込む時は仕事に打ち込め。という訳でムッシュ・ブレイズ。貴様に任務を与える」
任務?
俺は訝しんだが兄貴は悪戯を思い付いた子供みたいな笑みを浮かべて俺に任務内容を告げた。
この任務もまた・・・・俺の末路を決定づけたと言える。