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第十九章:弁護士登場

俺と相棒は森の中で二手に別れて敵を狩る事にした。


俺は森の中を音も立てずに走りながら適当な場所を見つけて伏せた。


耳を地面に押し当て足音を聞いてみる。


・・・人数は2人か。


足音の重さからしてアサルトライフルにショットガンか。


茂みの中に隠れた俺は足首に隠していたナイフを抜いて口に銜えた。


暫くすると敵が来た。


迷彩服を身に纏いフェイス・ペイントまでしている。


先ずはショットガンを始末するか。


あれで撃たれると不味いからな。


隙を窺うが流石は精鋭。


まるで隙が無い。


片方の死角を片方がカバーし合っており、何時でも撃てる感じだ。


さぁて、どうするか。


その時、蛇がニュルニュルと地を這い俺の頬に来た。


「・・・・・・・・」


俺は蛇を音も立てずに首を抑えて無造作に投げた。


敵は蛇に驚き一瞬だけ隙が見せた・・・・・・・


素早く懐に入り相手の喉をナイフで切り裂きもう一人へと移動する。


もう一人は素早くアサルトライフルを俺に向けようとしたが、間に合わないと知るとストックで殴ろうとしてきた。


それを蹴りで阻止して脇腹に拳を数発打ち込んで前屈みにさせた。


そこをナイフで延髄に刺し始末した。


中々の相手だが、まだ満たされないな・・・・・・・・


俺は息を軽く吐いて弾薬を調達した。


そして・・・やっと巡り会えた“恋人”を抱き締めた。


ああ、やっと会えたぜ。


AK-47。


やっぱり俺にはお前しか居ない。


弾倉は3つ共頂戴した。


そこから素早く離れて森の中を進む。


進んでいると足音が僅かに聞こえてきた・・・・・・


「出て来い!日本人!!俺が八つ裂きにしてやる!!」


この声は軍曹か。


しかも声からしてかなり激怒している。


戦いは冷静に物事を運んだ方の勝ちだぞ?


俺は直ぐに木の影に隠れて獲物が来る方角を見た。


木や葉の間から見える大柄な体格。


そして弾丸を左右に掛けて両手でブローニングM2を持っている。


・・・ランボーの真似事かよ。


何とも呆れ果てて物が言えない。


ベルト給弾式は一人撃ちに向かない。


ベルトリンクを垂れ下げた状態だと直ぐに絡まって撃てなくなる。


精鋭部隊ならそれくらい知っているだろうに・・・・・・・・・


しかも、あんな風に弾丸を左右に装着していると1発でも当たれば他の弾に引火して爆発するぞ。


軍曹は部下を数人連れてこちらに来る。


俺はAKをセミ・オートにして身体を下げて肩膝を着きAKを構えた。


AKはあまりM16に比べれば命中率は高くない。


だが、この距離で、しかも、あんな風にベルトリンクを巻いていれば当てられる。


「・・・・・・・・」


狙いを定めて引き金を引こうとした時だ。


突然、銃弾が襲ってきた。


気配はまるで感じなかったが、見れば敵が音も無く立っていた。


「ちっ・・・・・」


俺は直ぐにその場から離れた。


「居たぞ!撃て!!」


軍曹が大声を上げて一斉射撃が行われた。


幾つもの銃弾が俺の背後を狙って来る。


特にブローニングの弾は細い木を薙ぎ倒していく。


間違っても撃たれたくない銃だ。


逃げながら反撃するが焼け石に水と言った感じだった。


くそったれが。


口の中で罵りながらも俺はワクワクしている。


やはり消化不良だった分、鬱憤が溜まっていたようだ。


俺は森の中を走りながら相棒はどうしているのか気になった。

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俺は後ろから銃を乱射してくる男達に舌打ちした。


「好い加減諦めたらどうだ?犬っころ」


「うるせぇ!てめぇだけでも血祭りにしねぇと俺の気がすまねぇんだよ!!」


犬みたいにワンワン吠えて来るのは名前まで犬そっくりな男---自称フランスNO.1の傭兵シャルル・ペス。


それから名も知らないチンピラ達だ。


相棒の方には第1落下傘連隊が向かった様だが、こちらは犬共が相手。


ペスはM16のスポッター・モデルを撃ちながら俺に怒鳴るがまるで当たらない。


寧ろチンピラ達の方が俺の近くを狙っている。


つくづく傭兵には不向きな男だ。


弾は無駄遣いだし声も大きい態度もだ。


こんな奴は何処に行っても門前払いか射殺。


よく今まで生きて来れたと感心さえするぜ。


俺は森林の中を走りながらどうやってあいつ等を叩きのめすか考えた。


相棒の方は心配ないだろう。


猟犬の名は伊達ではないからな。


「ぎゃあ!!」


後ろから悲鳴がして見れば、背後からペス達が撃たれていた。


撃っているのは第1落下傘連隊の者達だ。


「おい、待てっ。俺は味方だ!!」


ペスは木の影に隠れて奴等に吠えたが奴等は無言で攻撃してくる。


「くそったれ・・・・撃て撃て!ブッ殺せ!!」


ペスは自分は何もせずにチンピラ達に罵声を混ぜて命令するが、チンピラ達も怖くて出来ないでいた。


上官が上官なら部下も部下だ。


あれでは直ぐに殺されっちまう。


第1落下傘連隊は撃つのを止めて距離を縮めるとペス達を拳や銃底で叩きのめした。


弾の無駄使いと思ったのか?


もし、そうなら良い選択だ。


俺から言えば残念な事だが・・・・・・・・・・・・


あっという間にチンピラどもは叩きのめされ残ったのはペスだけ。


「ひ、ひぃ!!」


ペスは四つん這いになって逃げようとするが、直ぐに捕まって何度も執拗なまでに殴られた。


憐れだな。


なんて事を形ばかりに思いながら俺はまた走り出した。


奴等は直ぐに俺を追い掛け始めた。


同じ空挺部隊同士で相手の手の内は読めている。


厄介な相手だが、自分の腕がどれだけ通用するかと思うと楽しくて胸が躍る。


葉が一枚落ちた。


直ぐに横に跳ぶとナイフを持った男が落ちてきた。


ウィンチェスターM1300の引き金を引き相手を殺した。


近距離で撃ったから相手は挽肉のように肉片を飛び散らせて死んでしまい、こいつでは撃たれたくないと改めて俺は痛感した。


それから続けざまにコルトを抜き後方の奴等にもお見舞いする。


怯んだ所で直ぐにまた走り出した。


危ない所だったな・・・・・・


木の上から奇襲・・・外人部隊に入った頃、教官にやられたな。


しかも、催涙ガスを顔面にぶつけられて泣いたのを思い出す。


余計な事を考えてしまったせいで、肩を掠めた。


だが、軽い。


これなら止血するだけで大丈夫だ。


俺は振り向いて再びM1300の引き金を引きスライドを動かして弾を排出しM24手榴弾の紐を抜いて投げ付けた。


『手榴弾!!』


奴等は急いでその場から離れる。


俺もまた急いで離れ距離を開けて行く。


爆発が後方から聞こえたが、気にせず走る。


木の影に隠れた俺は急いでハンカチで肩を縛った。


それから新たに弾を装填する。


「残弾も残り少ないな」


残りの残弾は数発。


これではとてもじゃないが戦い切れないから敵から分捕るしかない。


敵の気配がまたした。


「さぁて・・・分捕るか」


スライドを引き木の影から躍り出た俺だが、既に敵は地面とキスをしていた。


「よぉ、不死身の王様」


敵を足蹴にする男は俺と同い年だったが、こんな場所でもスリー・スーツに身を包み革靴を履いていた。


こんな場所にはつくづく不似合いな格好なのだが様になっているから何も言えない。


「お前かよ。ジャン」


俺はこの仕事を紹介してくれた弁護士であり戦友のジャンに笑いかけた。


「間に合って何よりだ。しかし、流石は元同僚。倒すのに苦労したぜ」


見てみろ、ネクタイが曲がれたと言って血の付着したナイフを逆手に持ち直し曲がったネクタイを直した。


「相変わらずだな」


細かい所を気にする上にネチネチと何度も突いてくるのがこいつのやり方。


お陰で検事からは「ネチッコイ」とまで言われているから想像できるだろ?


「お前もな。で、依頼人は?」


ネクタイを直し終えたジャンは倒した敵の服でナイフの血を拭いながら訊ねた。


「森を抜けている最中だ。俺と相棒が奴等を狩っている」


「相棒?ああ、猟犬か」


「あぁ。噂は聞いているだろ?」


「まぁな。しっかし、参ったねー。今回の仕事は」


依頼人に利用された・・・・反吐が出る、とジャンは唾を吐きながら言った。


「そう怒るな。後でタップリとお礼をするんだろ?」


「その積りだ。さぁて、俺もこの狩猟に参加させてもらうぜ」


ジャンは死体からMAT-49を奪い取った。


「懐かしい代物だな」


俺が入った時は既に倉庫行きになる所だったが、MP5よりも俺にはこちらの方が良い。


あんな繊細な女よりちょっとガサツな女の方が好みだからかもしれないな。


「お前さんはこっちだろ?」


ジャンはもう一人の死体からUZIサブマシンガンを取り上げて俺に渡してきた。


ユダヤ人が建国したイスラエル製であるUZIサブマシンガン。


口径は9mmしかないが、ヨーロッパでは一般的だし砂漠戦などにも通用する上に分解・整備が簡単だから今でも人気がある。


俺もこれを使った事があるから思い入れがある女だ。


「UZIの方が俺は好みなんだ」


グリップの下からはみ出たマガジンを抜いて新しいマガジンに交換した。


そして銃身の上に付いたレバーを引いた。


「さぁて、猟犬殿の加勢に行くとしますか?」


MAT-49を両手で持ちジャンは口端を上げて笑ってみせた。


「加勢というよりは援護だろ?」


あいつなら第1落下傘連隊の猛者相手でも引けは取らない。


加勢よりは援護と言った方が正しい程に、な。


「そうだな」


ジャンは俺の指摘に笑いながら俺と共に森の中を走り出した。


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