クズゼリフのすすめ -ちっ(舌打ち)。なんだよ小銭かよ、しけてやがる-
筆者は困惑した。
エッセイとは、 なにか?
このジャンルよくわからない。何を書けばいいのだろう。
ふむ、日常の思ったことを自由に? 最近なにかあったっけ?
あ、クズゼリフだ!
というわけでエッセイのエッの字はわからぬが、エッはわかる筆者。
わたくし、しがない物書きつねでございます。
コーン!
ここにひとつ、クズセリフについてとりとめなく書いてみましょうではございませんか。
ーーえ?
クズゼリフってなに?
この場合、筆者の活動領域のひとつである配信者用セリフ、および小説などでのクズい男子のセリフまわし、ということになります。
しかし単なるチンピラ、三下ではありませぬ。
主にイケメンだからゆるされる(もしくはゆるされない)セリフですね。
メスガキ煽りと似て非なるものともいえます。
こうしたクズセリフは、前提として、キャラや演者がまず魅力があるという上でのものだと踏まえた上で。
実際にウケがよかったクズセリフをご紹介しつつ、解説をば。
【クズゼリフ 例1】
前提状況:配信界隈にて男性Vライバーが視聴者から少額のギフト(投げ銭)をいただいた時
「ちっ。(舌打ち)
(悪態)小銭かよ、しけてやがる。
(営業スマイルで)おひねり、あざまーす!」
この定型セリフを言わせたいがために小銭が連打されるさまを、ああ、何度見たことか。
――え、どこがそこまでいいの?
書いた本人も当初、なにがいいのかつかみかねました。
実際におひねりくださる方々にうかがうと、どうも「舌打ち」が良いらしい。
ほう。
舌打ちがいい?
こいつら変態か? マジですか?
と言いたくなるも、どうも一定の客層があるということがわかってきました。
「舌打ち」は「クズ」属性を象徴する、ポイントの高いセリフ(所作)である。
なるほどなるほど。
愛想を振りまく配信者にとって、じつのところ、裏表、虚と実はついてまわる問題です。
この場合、単なる「ギフトありがとうございます(ニコニコ)」は少額でももらえて嬉しいのは実ですが、そのために愛想良く演じている虚が表に出ているともいえます。
しかし、それはどことなく表層的でものたりなさがある。
その点において「クズ」属性は、悪態をつくことで虚と実が通常と入れ替わります。
あえてクズな言葉選びにすることで表層と深層を、演じていることは同じにもかかわらず、くるっと入れ替えてみせられるのです。
甘さ一辺倒より、苦味や酸味、塩気を交えた方がより良くなる、といった類いなのではないでしょうか。
【クズゼリフ:その2】
前提状況:その場での短いシチュエーションボイス
「やだなぁ、キミのことは大好きに決まってるじゃないか! ボクを疑うなんてひどいなぁ~。
安心して、今日もお仕事がんばっておいでよ。
ボクは大好きなキミの帰りを、キミのおうちで良い子にして待ってるからさぁ。
浮気? しないしない、だいじょぶだって。
あ、物価高だから悪いけどおこづかい、今月もちょっと増やしてくれるかな?」
あ、これらのセリフは配信なりで好きにお使いいただいて構いません。需要はさっぱりわかりませんが、まだこれを読んでる酔狂な人は、だれぞに言わせてみたいと思っていても不思議でない。
貴様、変態か?
ーーこほん、失礼。
「クズ」とは何か。
このシチュボの場合、「浮気を疑われているヒモ男子がやさしく甘えてくるが最後にお金せびる」というクズです。
これが刺さる人いるんですか……?
ええ、はい、多様性の時代なので、たまにいるんですね。
ひとつに、クズとは不誠実さ、だらしなさ、情けなさ、そうした人の悪い面ともいえます。
これらはマイナス要因です。
しかし不思議と、ゆるされるクズキャラというものがおります。
正直に申して、その法則性を解き明かせるほどわたくしはクズの専門家ではありません。
しかし、先の「虚と実」の話がそうであるように、かえって最後にお金をせびることで単に浮気を否定するより深みが出ているのではないでしょうか。
【クズゼリフ③】
前提条件:配信者が視聴者に対して、そのアイコンもしくはネームがへんてこなネタの場合、それへのツッコミとして
「……あ? ○○(アイコンを見てネタにする一言)? ふざけてんのかよ、そのアイコン。抱いてほしけりゃお前ぇの無駄に綺麗な面早く見せろや、ほら、とっととDM送れよ」
なぜこれをその場で書きつらねて「かげさま、神!」と呼ばれるのか……。
狭い配信枠の中での話しにしても、これで受けるのだから不可思議極まりない。
たぶん、読んでいる方の多くは「え、なんで?」です、わたくしもそう。
ただ、クズゼリフが刺さる界隈はちょっと一般人かどうかあやしいので、はい。
ユーカリの葉っぱをもしゃもしゃ食べるコアラみたいな連中……こほん、素敵な方々のはなしだと思って、お読みください。
前半は「○○(アイコンを見てネタにする一言)」といきなり演者に投げてますね。
これは汎用セリフの1種です。
例えば、サボテンのアイコンなら○○はサボテンとそのまま言うもよし、へちょい絵のサボテンなら一歩踏み込んで「下手くそなサボテン」とか「AIと疑われいサボテン」とか「線がったがたのサボテン」とか言ってあげましょう。
もちろん、相手がクズゼリフを所望しているならば、ですよ。
後半、いや、ひどいですね。
「抱いてほしけりゃ」って何ですかね……何様だと思ってるんだこいつ。
でもこういう自己評価の妙に高いオラついたクズで声とイラストがよかったら、ゆるされてしまうらしいのですよ。
意外と「抱いてやる」(自分の性的価値が高いと自認している)美形は生意気で傲慢この上ないのに需要があるのですよねぇ……。
でも「無駄に綺麗」とじつは相手をしれっと褒めてるところが、ディスの割合が高いコミュニケーションに隠されてて個人的ポイントです。
クズはバランス。
【まとめ?】
ここに至り、ふと、クズの魅力をもうひとつ。
クズとは「愚か」で「見下すに値する」ものです。
クズゼリフを演じる時、その演者やキャラは、相手よりじつは「低いところ」に移動してくれるのです。
あえて「低いところ」に位置どりしてくれたならば、聴き手は自動的に「より高いところ」から相手を見下ろすことができる。
これは快感ではないでしょうか?
悪態をつき、自らダメなところを露呈して、こちらを優位に立たせてくれる。
時代劇の三下やくざどもが「痛い目みねぇとわかんねぇようだな、へっへっへっ」と下品に笑って悪行を働き、良いもんにとっちめられる。
なるほど、これはじつにエンタメ。
以上が、かんたんではありますが「クズゼリフのすすめ」となります。
本当はもっとあれこれあるのですが、キリがないので割愛をば。
実践的には、その状況に応じて適切にクズいセリフを考えねばなりませんので、なかなか面倒なところはあります。
さじかげんを間違えたら、苦いだけのこげこげクッキーになってしまいますからね。
さあて。
ここまでお読みくださったわけですから、もちろんブクマや評価の★は押してくださいますよね?
何も金を取ろうってわけじゃあないのですから、ほうら、早く寄こしなさいな。
わたくしはこのエッセイでランキング入りをほしがっているのですよ。
コーンコンコンコン(高笑い)
あ、猟銃やめてくださいまし。
ごんぎつねは困ります! オタスケ!
※誤字報告ありがとうございます




