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ページ1-2

僕が彼女と出会ったのは10年以上前、

プロポーズしたのは2年前。


出会いはそんな特別な物じゃなかったけど。

学校までの道がたまたま一緒だった、それだけ。


でも、卒業してからもご飯を食べに行ったり、旅行に行ったりする仲になり、気づいたらプロポーズまでしてた。

とても、幸せだった。


彼女は静かな人だから周りからはなんで結婚したんだ、と言われることも少なくなかった。

でも、彼女は芯がしっかりとあって強い人だった。

そんな彼女を1番近くで見ていたかったからプロポーズをしたんだろう、と思ってる。


でも、結婚してからの生活は長くなかった。

彼女の親指の爪が宝石化してきたから。

この国では、宝石化した人はすべて軍が管理することになっている。

だから、宝石化が始まった1週間後に彼女は連れて行かれた。


連れて行かれるまでの1週間はとにかく2人で一緒にいた。

何となく2度とこの時間が手に入らないと2人ともが感じていたから。


最後の夜、泣かないって決めてたのに彼女と離れるのが寂しくて悲しくて泣いてしまった。


彼女が僕を慰めながら、でもいつもと変わらないトーンで話してくれた。


「ねえ。軍で死んだら宝石化したところは軍で処理されるんでしょ?でも、私、それは嫌だから爪も一緒にここに帰らせてくれるように頼んでくれない?感染るのが怖かったらむりしなくていいんだけど……」

感染るの気にしてたらここにいないよ、というと彼女は笑ってくれた。

「ありがとう。そうしたら、爪はたぶんこのまま水晶のようになるだろうからそれを加工して指輪にしてくれる?」

なんで指輪なのか分からず首を傾げると彼女は少し恥ずかしそうに教えてくれる。


「だって指輪なら常に肌に触れてるから死んでもそばにいられるかなって思って。ダメかな?」


あまりお願い事をしない彼女が言ってくれたんだから絶対叶えると約束した。


数週間後、彼女が亡くなり冷たい体で帰ってきた。

爪はやっぱりなくなっていた。


だから、運んできた隊員に爪を返してくれないかと頼んでみたが断られた。


次の日、彼女が入っていた基地に行った。

昨日の下っ端の隊員じゃなくてもっと上の人に説明して返してもらうつもりだった。

だけど、返ってた言葉は予想外にも冷たい物だった。


もうすでに処理した、と。


でも死んだのは一昨日なのに早くないかと僕が言っても聞いてくれない。


何十人かまとめて処理すると聞いていたのにたった2日でそんなに貯まるわけないだろうと胸ぐらを掴みながら反論してしまった。


――あぁもう!鬱陶しいな!お前の女はとっくに売られてるからここにはないんだよ!


と胸ぐらを掴んでいた腕を乱暴に引き剥がされた。


売られた?

言葉の意味が入ってこないから隊員の顔を見たら、明らかに言ってはいけないことを口走ってしまった顔をしている。


さらに問いただそうと一歩踏み込むが突き飛ばされた。

――とにかく!もうお前の女はいないんだ!ここに来たことは黙っといてやるからお前も今聞いた話しは忘れるんだ!いいな!!


そう吐き捨てるようにいうと部屋を出て行ってしまった。

僕もそのまま別の隊員によって基地の外に連れて行かれた。


彼女が売られた?どうして?どこに?

でも、それ以上に僕の心を抉ったのは彼女との最後の約束を果たせないかもしれないことだった。


彼女の最後の願いを叶えられないなんて。

その現実を受け止めきれなかった。

数日間、僕は荒れ続けた。


何度も絶望し、何度も死のうと思ったが彼女の願いを叶えたいという想いだけでなんとか留まっていた。


泣き疲れて、怒る気力もなくなった頃だった。


荒れ続けていた感情が引き、むしろ思考がクリアになり今後について考えられるようになった。


そこで決めた、まずは本当に売られるのか確認することを。

売られた事実を確認しないことには何もできないから。


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