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約束してたのに。


彼女と約束してたのに。

なんでこんなことに?なんで………


――――――――――――――――――――――――


起き上がると汗をびっしょりかいていた。

またあの時の夢。

後悔して死を選びそうになった時の夢。


でも今日は一歩だけ進めるかもしれない。

綺麗に髭を剃り、髪を整え、プロポーズした時の服を着て。

これなら彼女にも怒られないだろう。


教えてもらった住所に行くと、普通の事務所で拍子抜けした。

本当にここであっているのか不安になるが、インターホンを押す。


少し待つと、ドアが開いた。

そこには僕と変わらないくらいの年齢の男性が立っていた。


――お待たせいたしました。何か御用でしょうか。


年はそう変わらないはずなのに佇まいや雰囲気はまるで違う。

一瞬その洗練された雰囲気に飲み込まれそうになるが、臆せずにここに来た目的を答えた。


――――――――――――――――――――――――

商談用と思われるスペースに案内される。

事務所は男性しかいないようで、お茶を淹れてきてくれた。


男性が向かいに座り、ここに来た理由を静かに聞いてくれた。


――奥様の爪の売買先をお知りになりたいと。分かりました。私のオークションで取り扱っていれば教えることは可能ですが、この場ですぐというわけにはいきません。記録を探すのに少々時間がかかりますがよろしいでしょうか。


この場ですぐ調べてもらえるかと思っていたから少し拍子抜けしてしまった。

彼女に会うためにこの服を着てきたというのに。

でも、

これまでのことを考えれば記録を探す時間くらい、待つことなんて余裕だ。



僕が了承すると、彼女の名前や生年月日、宝石化したところなどを聞かれた。

最後に、僕と彼女の関係性を示せる物の提示を求められた。

身分証と2人で撮った写真を見せた。


写真を見た時、男性の顔が少し緩んだように見えたが気のせいだろうか。

身分証と写真を返してもらう。

何も言わないということは大丈夫ってことだろうか。


最後に一枚の紙を渡された。

――2日後にこの住所の家に来てください。記録があればその時にお渡しいたします。記録がない場合もございますので期待しすぎないようにだけよろしくお願いいたします。


無事受け付けてもらえたようでホッとした。

お金のことを何も話していないことを思い出し聞いてみると、

――記録の提供はボランティアですので。

と、言われてしまった。

さすがに申し訳ないので払わせて欲しいと申し出るが断られてしまった。


結局それ以上は何も言えず帰った。


家に着いても興奮は収まらなかった。

諦めかけていた彼女との約束を果たせるかもしれないことに嬉しさが込み上げる。


まだ、記録は貰えていないが久しぶりに寝るのが楽しみになった。


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