番外編:スキップ連打!泡まみれ勇者、街を駆ける
――朝のトイレ。
「ふぅ……やっと一息つける……」
便座に腰掛けた瞬間、あの恐怖の音がした
カチッ
「まさか…..」
ーーー
【SKIP】
トイレ完了
ーーー
「えぇぇ!? まだ座っただけだぞ!?」
街中に俺の尻丸出し姿。
通行人がギョッとしている。
俺、丸出し!? 止められない!?
やめろ!!!!勇者の威厳がぁ!!!
⸻
――お風呂。
頭と身体を清める俺。
勇者たるもの身だしなみも欠かさず、清潔感で好感度アップ…..
カチッ
「嘘だろ……」
慌てて泡を押さえた瞬間――
ーーー
【SKIP】
入浴完了
ーーー
「きゃぁぁ!!!変態ぃぃ!!!」
通行人が騒ぐ中、俺は泡まみれで街を走る羽目に。
もう少しで変態勇者と言う汚名がつく所だった!!!!
嫌すぎる!!!
⸻
――昼食。
「やっと味わえる……!」
目の前には勇者の俺でも見た事がない豪華な食事。
何ヶ月も前から予約してようやく取れた高級店の料理….
店イチオシのオリジナルスープを飲もうとスプーンで掬い口に運ぼうとした瞬間
恐怖のスキップ音!!!
カチッ
「せめて一口っ…..」
ーーー
【SKIP】
食事完了
ーーー
「まだ一口も食ってねぇぇぇ!!」
⸻
――美女イベント。
勇者と言えど一人の人間!!!
性欲も溜まる!!!
そして俺は今、結婚適齢期だ!!!
結婚したい!!!可愛い子供欲しい….
いや、その前に可愛い恋人だ!!!
だから俺は今、目の前の女性を全力で….子作……
「お、お嬢様……俺と」
カチッ
ーーー
【SKIP】
イベント完了
ーーー
「このムラムラをどうしてくれるんだぁぁ!!!」
⸻
――そして夕暮れ。
街角で、通行人がちらりと視界に映る。
通行人は俺を見て眉を寄せ「大丈夫かコイツ?」と言う顔
うるせぇ!!!ほっとけ!!!俺は今スキップされまくってどうにかなりそうなんだ!!!いや、なる寸前なんだ!!!
俺の目がギラつき、額の血管も浮き、皮が少し剥けかける必死さに通行人もドン引き顔だ。
「どこだ……どこのどいつだ……この世界のスキップ犯はぁぁ!!!」
通行人は相変わらず無表情で歩いている。
だけど俺は見逃さなかった――
通り過ぎた通行人が手をかざした瞬間を!!!
目の端で、通行人が手を空に向けた瞬間、カチッと音がした
あの地獄の鈴の音ならぬ、地獄のカチッが!!!!
悪夢にまで見るあの恐怖の音!!!!
ーーー
【SKIP】
通行人、姿が消える
ーーー
「待てごるぁ!!!!……お前が犯人かぁぁぁ!!!」
通行人はギョッとした顔して慌てて2回目のスキップ。
「げっ!!」
カチッと言う音と共に消えた通行人
そしてそこには人1人居なかったとさ…….
クッ…….
俺の額の血管はさらに浮き、皮が少し剥けかけ、目は完全にギラつき状態。
――こうして街角ですれ違った不憫な勇者とスキップ連打魔は
お互いを認識し、この後勇者に追われる連打魔が居たとか居なかったとか…..




