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XNUMX  作者: 上兼一太
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XNUMX(40)ナミチ ~(41)ヒラタ

(40)ナミチ


 もう少しセーラを探したかったが現状では情報が少な過ぎるし、いくら小さな町とはいえ、しらみつぶしに他人の家に入るわけにもいかない。それに、慣れてきてしまっていたがこの状況は余りにも奇妙で、このままわけも分からず長居するよりはエレノワの忠告を聞いて一度戻った方が良い気がした。戻ろうという意識をすると、体は勝手に上昇していった。

 3Dマップを空から見て縮小するように、慣れ親しんだ町はあっという間に遠ざかり、飛んできたジェット機を下に見て成層圏に入ると、日本列島を離れて中間層を越え、カーマン・ラインを過ぎて宇宙空間へとどんどん戻っていく。地球から遠ざかるほどスピードは増し、光の速さなど本当の限界ではないんだと感覚が理解している。小惑星、小宇宙、銀河・・そんなものはもう目で追う事は出来ない。速度は尚も上がって体はどこまでも上昇していく。あまりの速さに自己を見失いはじめ、どこからが自分なのか、どこからがそれ以外なのか、実体と空間との堺がなくなっていき、意識がなくなりそうになったところで、突然真っ暗な空間へと投げ出された。

 ・・・暗く静か、本当の深淵、聖なる暗黒、そこは深海のような静寂に包まれている・・・俺の体はただ一人、どことも繋がらずにそこに浮遊している。誰もいない、何も見えない、何も感じない・・俺という存在そのものが始まりであり終わりであるような気持ちがする・・孤独・・懐かしい孤独・・実際にはどこまで行っても自分しかいないのだという記憶・・・このままここで永遠に彷徨う事が本当の自分の在り方ではないだろうか・・・そんな不安定さに身を委ねていると遥か彼方にほんの僅かな、塵一粒程度の微かな光が見えた。それは俺が光と認識した途端に自分が上昇してきた時以上の、有り得ない超高速度で目の前まで一瞬でやって来た。・・・例のグレープフルーツ大の真円である。その円はまるで暗闇の空間を丸型にくり抜いていくようにじわじわと大きくなり、来た時に入った物と同じぐらいの直系150センチ程度の大きさになった・・・いや、気のせいか?その時よりもほんの少し、一周りぐらい小さくなっているような気もする・・・中に見える風景は雑木林にさやぐ草木ではなく、見慣れた殺風景な自宅のベッドに横たわる自分の形骸だ。それを真上から映したような景色。・・・やり方は分かっている。俺は火の輪くぐりをするライオンのように頭からその円に飛び込んだ。

 全身が円の中に入り、自宅の部屋の上空に浮遊しながら、ベッドに寝転ぶ自分の姿を見ていると(これが死じゃないなら一体何なんだ?)と三次元的な思考回路が働いた。しかしまだ俺を支配している超現実的な感覚は、これは死ではないという事をしっかりと理解している。ただ少し不思議なのは(こうなる前)と目の前の状況が多少変わっている事だ。まず部屋にアリスの姿はない。その代わりにユニコーンがいる。以前、電車の中で眠ってしまった時に、夢に現れたやつだ。しかしどことなく前よりも元気がないように見える。ユニコーンはベッドの脇から俺の顔を静かに覗き込んでいる。それから、俺は確か掛け布団の上に横たわっていたはずなのだが、きちんと布団の中に入って眠っている。自分で動いたとは思えない。想像ではあの穴をくぐった途端、夢を見ていたかのようにパッと目覚めると思っていたのだが、どうやらそうではないようだ。一体こっちではどれぐらいの時間が経っているのだろう?とにかく俺は身体に戻ろうと自分自身に近づいて行った。ユニコーンはそんな俺に気づいて一度上に目を向けると、ゆっくりと歩き出し、映画「勝手にしやがれ」のポスターが貼られている壁の方へと消えて行った。

 俺は真上から自分の身体に重なるように落ちて行ってみたが、ダメだった。(むこう)の時と同じように、有機物である肉体をすり抜けて、ベッドの下へと貫通してしまったのだ。そのまま下の階の部屋まで行きそうになったので、俺は慌てて再度上空へと舞い上がった。・・もしかしてスピードが速すぎたのか?そう思って今度はゆっくり自分の胸元へ、プールの飛び込みのような姿勢で落下してみたが手応えはなく、同じようにただゆっくりと手からすり抜けて行った。天井を見ると、戻って来た時にあった入口はもうどこにもない。これはいよいよまずいぞ、このままでは向こうに行く事もこっちに戻る事も出来ないじゃないか・・すると天井を向いた事によって、ふとある事に思いついた。下にある肉体は仰向けだ、その姿勢と同じように自分も上を向いたまま重なるように落ちて行けばいいんじゃないか?根拠はないが、体勢が一致していれば身体が俺を受け入れてくれるような気がする。初めての事には試行錯誤は付きものだ。俺はそう思って右手を上げて仰向けで眠っている自分の形を真似するように、その姿勢のまま下降して行った。・・・肉体のすぐ側まできたところで、一度振り返って確認をすると、少し頭の方がヘッドボードに寄り過ぎている事に気づいたので、下にずらすように微調整をしてから、俺は(今、自分は眠っているんだ)と強くイメージして、落ち着いて自分の身体に重なっていった。

 ・・・温かい・・薄っすらと布団の重さも感じる・・・目を開けてみると、俺は全くいつもの朝と同じように、ベッドの中で目覚める事に成功した。

 

 上半身を起こして自分の手の動きを確認する・・確かに身体がある。布団も触れる、良かった。しかしこの肉体の重さたるや・・・普段からこんなに重たい物を引きずって我々は生きているのか・・・壁掛け時計に目をやると針は11時50分を指している。なんだって?まさか・・9時間ぐらい眠っていたのか?確かに頭はすっきりしていて驚くほど明瞭だ。ベッドから出て身体を確認してみると、腕のだるさがなくなっていて、持病の腰痛や肩こりもなく、久しぶりにどこにも不調を感じない。これは30代半ばを過ぎてから初めての事だ。意識は向こうで活動していたが、身体はこっちでしっかりと休めていたという事なのだろうか?。

 部屋を出てリビングに行くと、テーブルの上に小さい紙切れの置手紙があった。

― 電車が走り始めたから帰ります。でも出る前にもう一杯カレー食べちゃった笑 美味しかった~ 色々ありがとう。電車賃ぐらいの小銭はあるから心配しないでね クリスマスが終わったらまた会いに来ます。 アリス ―

 どうやらアリスは実在する人物だったらしい。無事に帰れている事を祈ろう。俺は大きく伸びをしてすっかり生まれ変わったような爽快な気分で、アリスと同じく朝食のカレーライスを食べる事にした。色々考えるべき事はあるが、まずは腹ごしらえだ。鍋を火にかけ、顔を洗おうと洗面所に向かうと、隣の部屋から携帯の鳴る音が聞こえた。寝室に戻って電話を掴むと、画面には知らない番号が浮かんでいた。俺は無視して電源を切ろうとしたが、その寸前に思い出した。そういえばセーラが(ここ一週間ぐらいのうちに知らない番号から電話があるかも知れないから出るように)と手紙に書いていたんだ。俺は通話を押した。

「・・もしもし?」

「どーも、どーも!」

「は?」

「どーもー、波平の波、地球の地、超一流カメラマンのナミチでーす!」

「・・・はぁ?」

 俺の人生で一度も出会った事のないテンションの人種だ。誰なんだコイツは。

「あれぇー?おかしいなぁ、セーラちゃんのお友達にしてはノリが悪いですねー」

 セーラの知り合いだ!

「もしもし、失礼しました、ナミチさん・・とおっしゃるんですね?」

「そうです、お初ですどーも。セーラちゃんからお話し頂いたスポーツ・ライターの方ですよね?」

 スポーツ・ライター?俺が?いや、しかしここは話を合わせておくべきだろう。

「はい、そうです。お世話になります」

「確か、サイゴウ君に選手時代のインタビューをしたいという事で・・」

「えっ、えー、はい、そうです、投手時代やなぜプロ野球の世界からキャスターに転向したのか?など、その辺をお聞きしたいなと思っていまして」と俺は話を合わせた。

「なるほどー。急だけど明後日なんてどうです?撮影の後、夕方五時ぐらいならオッケーだと言ってましたよ」

「サイゴウ投手に会えるんですか?!」

「ええ、もちろん!ナミチにお任せあれ。というのも雑誌の表紙の撮り直しがありましてね、少し前に明菜ちゃんとサイゴウ君で撮ったんですけど、どうにもサイゴウ君の表情が硬くてね・・・OKが出なかったんですよ、あっ、こんな事言っちゃまずいか、あははは、とにかく表紙の分だけなんで五時頃には終わるからその頃にでもスタジオに来てください。上手く行けば明菜ちゃんにもチラっと会えるかも知れないですよー」

「もしかして明菜って沢口明菜ですか?」

「そうです!今最も勢いのある新人女優、沢口明菜ちゃんです、カワイイですよー」

 まさかサイゴウ投手だけじゃなく、沢口明菜にも会えるかもしれないなんて・・・これはマツシタの件を訊くまたとないチャンスだ。

「場所はXNUMXスタジオという所です。有名ブランドが所有しているスタジオなので検索すればすぐ出てきますよ、なにか困ったらナミチにお気軽にご連絡くださいね、ただしノリは良く!」

「あ、はい・・えー、では明後日よろしくお願いします」 

「はい、よろしくーどーもー」

 電話は切れた。

 

 ナミチ「・・これでよかったかな?」

 セーラ「うん・・ありがとう」



(41)ヒラタ


 俺は昨日の雨や返り血で汚れた衣類とアリスが着た物などを洗濯して、最後のカレーライスを食べてから、コーヒーを淹れて仕事のメールに返信をし、その後久しぶりに前の職場の仲間に電話をした。同僚だった頃、そいつは主に暴力団の事件を取材していた記者だった。数年ぶりの俺からの電話に驚いていたが、彼は部署こそ変わったものの、まだその筋にも十分詳しかった。俺が昨日遭遇した(出来事は話さずに)ヤクザ達の特徴を告げると、そいつはすぐに人物を特定して、情報をくれた。ドラゴンと名乗った男は、本名を辰巳龍一朗と言い、南関東を取り仕切っている新日本連合会の幹部だった。不動産、クスリ、そして宗教法人等のしのぎで成り上がった叩き上げの武闘派らしい。舎弟達に関しては大した情報はなかったが、元SPのヒラタと元マジシャンのニシムラでどうやら間違いはなさそうだった。よし、とりあえずこれで相手の所属先やある程度の素性も分かった事で(こちらの情報だけを知られている)という圧倒的な不利な状況ではなくなった。もしこれ以上何かあったらケツ持ちである、組の本体にゆすりをかけてやる。こっちだって新日連合ならネタがないわけじゃない。ペンは剣・・いやドスよりも強しだ。俺は元同僚に礼を言い、果たされないであろう食事の約束をして、電話を切った。それから大きめの音でストゥージズのアルバム「ロー・パワー」をかけながら家の掃除を隅々まで行った。一息ついた頃、林屋健三社長から「直接話したい事がある」というメッセージがスマートフォンに届いて、急遽会う事になった。場所はどこでもいいという事だったので、俺はマツシタとよく使っていた、いつもの古いファミレスを指定した。チェーン店だが、全国でももう3店舗しかない店だ。遅かれ早かれ全てなくなるだろう。何も寂しがる事はない、我々も遅かれ早かれ全ていなくなるのだから。

 俺はさっき洗濯して干してしまったいつものM-65ではなく、M-51を羽織って外出した。青いプジョーにはしばらく乗る気になれなかったので、俺は電車を使う事にして駅に向かって歩いていた。すると住宅街に不釣り合いな、窓にスモークが貼られた黒いアルファードが横を並走してきた。そして運転席の窓がゆっくりと開いた。

「よう、お出かけかい?」

 横を見ると運転していたのは、ヒラタだった。俺は前を向いてスピードを落とさずにそのまま歩いた。ヒラタは続ける。

「しかし、昨日の今日であんたもタフだな、普通のトーシロならビビッて家で縮こまってるはずだ」

 俺は前を向いたまま話した。

「アンタこそな。指は大丈夫なのか?運転し辛いだろう」

「ああ、この通り問題ない」

 ヒラタは運転席から右手を出した。驚く事に昨日切断されていたはずの小指は、包帯こそ軽く巻いてあるが見事に繋がっていた。

「あそこのホテルにはしっかりした医務室があってな、そこにはうちの組の担当医が駐屯しているんだ、切ってすぐならエンコぐらい簡単に繋げてくれるよ。名医なんだぜ、銃創だってなんのそのだ。昨日、アニキがオレのエンコを詰めたあと(オマエは奥に行ってろ)と言っただろ?それは医者のとこに行けって意味だったのさ。アニキはああ見えて優しいんだぜ」

 やっぱり、あの場所はノアール・ホテルの中だったのか、と俺は思った。どうやらあそこはただの宿泊施設以上の意味があるようだ。

「とりあえず今日はこれをあんたに届けろと言われて来たんだ。入れ違わなくて良かったぜ。」

 ヒラタはそう言うと、窓越しに茶封筒を出してぶっきらぼうに俺に渡してきた。受け取って中を見るとそれは金だった。

「どうやら昨日、ニシムラがあんたを送った時に持ってきちまったらしいな。まぁそんな大金を現ナマで持っているあんたもあんただが、アイツの手癖の悪さは異常だぜ。それを知ったアニキが激怒してさ、ニシムラの奴はエンコと前歯が無くなっちまったよ。オレは繋げて貰ったが、アイツは完全な3アウトだ、もうトランプも上手く切れないかもな・・・そんなわけでオレが代わりに来たってわけよ」

 同じ間違いを繰り返す人間にはいずれ、それを止めざるを得ない状況が訪れる。良く言えばドラゴンは律儀な昔堅気のヤクザって事か。

「悪かったな、それじゃ確かに渡したぜ」

「ああ。」

「駅までだろう?乗って行くか?」

「ジョーダンだろ?」

 ヒラタはクスっと笑ってアルファードと一緒に大通りの方へと消えていった。我々は多分二度と顔を合わせる事はないだろう。俺はなぜか一瞬、乗せて貰ってもよかったのかも知れないと思った。立場が違えば俺達は友人になれたのだろうか?


 久しぶりに会った健三社長は少し痩せていた。お兄さんの葬儀や遺品整理、モウリが投げ出す事になった仕事や方々への連絡、後処理などの雑務に追われていたそうだ。

「大変でしたね、そんな中わざわざ私なんかに会いたいというのはどういうご用件です?」

「ええ、あの、前に兄が死んだ日に録画してあった防犯カメラの映像を・・」

「ああ!現場にいた女性を確認して欲しいっておっしゃってましたね!申し訳ない、すっかり失念してました」

「いえいえ、いいんです、あの時は取り乱していてご足労をお願いしましたが、貴方もお忙しいでしょうから、そんなうちの身内の事までご面倒をかけられないです」

 健三社長の言葉にはかすかに嫌味のような雰囲気があった。

「ただ、そのカメラに写っていた動画をですね、解明度を上げて写真にしてきたので見て貰ってもよろしいですか?白黒の画質の悪い映像なので限界はあるんですが、雰囲気は掴めると思います。兄の出版社のビル内なので、例えばライターやジャーナリスト等の同業者で貴方が面識のある人間なのか、または接点はなくても、一般人とは思えない雰囲気なので、著名人か何かなのか・・・」

 健三社長は2枚の鮮明とは言えない写真をテーブルに置いた。エレベーターを待っている帽子を被った長身の女性。全く顔の見えない後ろ姿の上方向からのアングルと、周りを伺うような仕草でほんの少し横顔が見えるショット。マスクと眼鏡も付けている。俺は詳しく見るフリをしたがそうするまでもなく、それはいつものキャップを被ったセーラだった。

「・・・うーん、ちょっと分かりかねますねぇ・・」

「そうですか・・残念です」

 俺は、職場にどなたか分かる方がいるんじゃないですか?と言いそうになって止めた。

「お力になれず申し訳ないです」

「いえいえ、この件は私の家族と貴方しか知らない事なので、後は警察に任せるしかないですね」

「そうなんですか?」

「はい。会社の人間も私が双子で、しかもその兄があの悪名高きカルト集団に関係する、GSW出版の社長だとは知りません。この事は出版業界でもほんのごく一部の人間しか気づいていないですし、それらはほとんど身内や私に近しい人間です。ですからその事を広めればすぐに口火はどこかと分かります。もし世間に知られれば我が林屋出版も(幸運の世界)と関係があるのでは?と思われてしまうかも知れません、それは色々と面倒な事になります、それだけは避けたい。」

 これは誰が聞いても分かる地雷だ、と俺は思った。それほど遠くない未来に大爆発する可能性がある。しかし今は健三社長がしっかりと圧力をかけているという事も分かる。もし俺が健三社長と面識がなく、このネタを仕入れていたとしたら特ダネだと思ってすぐに記事にしていただろう・・そしてきっと潰されていた。

「あ、葬儀の時に集まった親類の写真もありますが、見ますか?家族葬だったので・・」

 俺は興味がなかったが、健三社長はセーラの映った写真をバッグにしまい、代わりに一枚の集合写真のような物を取り出した。

「私はやっぱり紙の写真が好きでして・・・」

 それは、こう言っては何だが、ただ単に親戚一同、中高年が十数人集まっただけの写真だった。一人だけいる若者は会社で俺を案内してくれた健三社長の息子さんだ。その横にはモデル出身の奥様と思われる女性もいる。だが取り立てて赤の他人が見るべき写真ではない気がする。

「兄には友人らしい友人もいなかったので、家族葬という形になりました。まぁそのお蔭で滅多に顔を合わせない親戚と、長兄にも久しぶりに会いましたよ」

「ああ、そういえば以前、上のお兄さんのお話しをされていましたね。確かお父様の初婚の相手とのご子息だと。」

「そうです。我々とは8つ離れていますからね、その上彼は中学から全寮制の学校に入ってしまったので関係が希薄でした。同じ家の中で一緒に育ったのは生まれてから3、4年ですし、思い出もありません。その後もほとんど顔を合わせず成人になって・・あ、私の結婚式には来ましたけどね、それぐらいです」

「この背の高い日焼けした方は?」

 俺は場違いなほど色黒で白い歯の男性を指さした。

「それが林屋家の長男、雄一です。父が離婚してから母親姓を名乗っていますので、ナミチいう苗字ですが」

 ・・ナミチ・ユウイチ?

「もしかして、お兄さんはカメラマンですか?」

「そうです、よくご存知で。・・あ、まぁ兄もその世界では結構有名らしく、忙しい人間ですから貴方がご存知でも不思議はないですね。うちの出版物の仕事もやってるらしいのですが、私は現場とは接点のない人間なので・・」

 なるほど。何かが俺を中心にして回転し始めているというわけか・・・。

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