XNUMX(18)タクシー ~(19)ガネーシャ
(18)タクシー
終電間に合ったのに、すぐタクシーに乗っちゃうのはタレントの時の癖が抜けてない証拠だなぁ、貯金はまだあるけどもう無職なわけだし気をつけないと・・・そう反省しながらセーラは、車内から街の灯りを見るともなく眺めていた。行きかう人の中にも何人か(XNUMX)のバッグを持っている人がいた。・・・ホントに流行ってるなぁ、ワタシがこのバッグを使い始めた頃は誰も持ってなかったのに・・そういえば、いつからこのバッグ使ってるんだっけ?事務所を辞める前から使ってた気はするんだけど・・彼と再会してからだっけな?・・・でも、彼は何かを隠してる、ワタシに全てを話してくれていない・・まぁ、それはワタシも同じだけど。マキソンが別れ際に、指で書いてきた文字は、あの時だと思ったけれど、一瞬だったし、今思うと確信が持てない。でも、証拠はないけど、確信が持てる事もある。あの日会ったマキソンは、絶対にワタシの知っているマキソンじゃない。マキソンが変わったんじゃなく、マキソンじゃなかった。・・・あれは一体、誰だったんだろう?・・この感じは彼にも上手く説明できそうにない。それに、その事とマツシタ君の件が関係あるかは分からない。今は曖昧な事を共有して複雑化させるのは良くない気がする。それが一つに集約するモノなのか、別々の出来事なのかもワタシにはよく分からない。どんな事にも伏線があってそれを回収出来るのはエンタメの中だけ、現実もそうなると思うのはきっと人間のエゴだ。・・・だけど、少し前からワタシの周りの世界が、これまでとは少し違うように感じる。この感覚は、ずっと前にも感じたことがある・・・とにかく、地元に戻る前に少しでも彼の力になれるといいんだけど・・いや、これから自分自身が生きていく未来の為にも・・・と、その時、XNUMXのバッグの中でセーラのスマホが鳴った。運転手はセーラが電話に気を向けるよりも先に「どうぞ、出てください」と言った。
「あ、ありがとうございます、じゃあちょっと失礼して・・・」
「もしもし?」
「セーラちゃーーん?ボクでーす、どもどもー」
この深夜とは思えないテンション。
「はい?」
「やだなー、忘れちゃったのー?、地元のよしみじゃなーい、冷たくしないでよー」
「もしかして、ナミチさん?」
「そうでーす、波平のナミ、地球のチで、ケンイチでーす!」
「名前の方になっちゃってるじゃないですか、相変わらずお元気そうですね」
「はい!どもどもー」
電話はカメラマンのナミチだった。セーラのグラビアを担当した事もあったが、元々はファッション・フォトグラファーで、この業界では知らない人間はいない。還暦ぐらいの年齢で(年齢不詳)季節関係なく、いつも真っ黒に日焼けをしていて、とにかくエネルギーに溢れている。セーラは少し暑苦しいと思いながらも、シンプルな思考のこの男の事は嫌いではなかった。さっき最初に知らないフリをしたのも、もちろん二人のいつものノリだ。
「セーラちゃんはー?」
「元気ですよー」
「おー、それはなによりでーす、でも、このお仕事、本当に辞めちゃったのー?」
「はい」
「復帰する気はないのー?」
「あはは、ないですよ。もう地元に帰るんです」
「そっかー、我が麗しのT県だねー。じゃあさ、お願いがあるんですけど、一回だけ、ラスト一回のつもりでボクの仕事手伝ってくれなーい?」
「えー!・・・なんですか?」
セーラの悪い癖が出た。頼まれごとを簡単に断れないのだ。人の思考回路は何度失敗をしようとも中々変わる物ではない。
「あのねー、ファッション雑誌なんだけど、ひとつのブランドの特集をやるから、年代別のモデルを用意して撮影をしてくれって依頼がきてさー」
「へー」
「色んな世代の代表の人に、そのブランドを着せて写真を撮るっていう企画でね、純粋なモデルじゃなくていいからって、ボクがブッキングも任されたんで、様々なジャンルから世代別に、色々な人に声をかけているんですよー」
「なるほど、例えばどなたとか?」
「十代はスケボーの世界チャンピオンになった夕奈ちゃん。二十代はイケメン俳優の伏田君、四十代はロックシンガーのジョニー・蒼、五十代はレジェンド女子プロレスラーのAJ若林って感じでーす」
「すごいメンバーですね、三十代は?」
「はい、それがセーラちゃんでーーす!」
「ええーー!!」
驚いた運転手が怪訝な顔でバックミラーを覗いた。セーラはそれに気付いて会釈しながら小声で電話に答えた。
「無理ですよー、ワタシ、今言ってた人達ほど有名じゃないし、それにもう辞めたんだから」
「関係ないよー、ボク、前にセーラちゃんのグラビア撮ったでしょー?1、2回しかやらなかったけど、もう一回ちゃんとキミをモデルに撮影してみたいって、ずっと思ってたんでーす」
「はぁ・・気持ちはありがたいですけど・・・」
「セーラちゃんは元女優っていう肩書で大丈夫でーす、素人になっても頑張っているアラサー女性を代表して、同世代を応援するって感じでーす」
「アラフォーですけどね」
「ごーめんなさーい!」
ナミチの声はスピーカーにしなくても車内に響いた。でも、この人はやっぱりなんか嫌いになれないとセーラは思った。
「もう一つだけ、ごめんなさーい、三十代の代表だけ、モデルを男女一人ずつ、ペアで使いたいと思ってまーす」
「というと?」
「男性の三十代代表は、元高校球児で、今はニュースのスポーツ・キャスターをやっているサイゴウくんでーす、サイゴウくんとセーラちゃんをツーショットで撮りたいと思ってまーす。セーラちゃんは背も高いから、サイゴウくんと並んで撮ったらカッコイイと思いまーす」
サイゴウ?・・セーラは野球に詳しくなかったが、夜のニュースでその顔は知っていた。すると・・・突然、頭の上で電球が点った気がした。
「えっ、・・その人ってもしかして、甲子園でピッチャー王子って呼ばれてたりしてました?」
「おー、良く知ってますねー、そのとおりでーす、要するにセーラちゃんとサイゴウくんはどちらも一度引退した、セカンドキャリアの鑑として使わせて貰いたいんでーす」
きた!とセーラは思った。あのピッチャー王子ことサイゴウくんに直接会える!これも止まった車を動かす動力源に違いない!彼はスポマガの編集長に、ワタシはサイゴウくんに会って話しを聞ければ、両方の車輪が動き出して、きっと物事は前に進み出す!今度こそ(特別な力)に近づけるかも知れない。
「あ、でも、サイゴウくんとワタシだとなんか一度失敗した組、みたいな感じで、ちょっと引っかかりますね」とセーラはジョークを言った。
「あはは、ごーめんなさーい、でもセーラちゃんを水着ではなく、服を着せてカッコよく撮りたかったのは本当でーす、ボクはずっとセーラちゃんはファッションの仕事が向いていると思ってました、これはまたとないチャンスなんです!同郷のよしみで何とかやってもらえませんか?」
確かにそうだ、ワタシみたいな無名の女優がファッション誌で取り上げてもらえる機会なんてまずない、引退したとは言え、これで有終の美を飾れる気がする。それに、何よりパートナーはマツシタ君の件と関係がありそうなサイゴウ投手だ。辞めたばかりで雑誌になんて出たりしたら、前の事務所関係者には白い目で見られるだろうけど、やる価値は大いにある。
「ちなみに雑誌はなんですか?」
「(アソート)でーす」
!!!、日本で最も有名なファッション誌だ!事務所に所属してた時にも、こんな大きな撮影の仕事を貰えた事はなかった。・・ああ、でも年内に引っ越す事を不動産屋さんに伝えてしまったんだ・・・
「あの・・撮影はいつ頃ですか?」
「おー、やってくれますか?約二週間後、12月の前半ぐらいでーす」
大丈夫だ、間に合う!
「日程的には平気そうなんですけど、意外と急なんですね」
「はい、実は他の世代の撮影はもう済んでまーす」
「あ、そうなんですね、分かりました、じゃあ身体のライン整えておきます」
「おおっ、オッケーですか?ありがとうー!詳しいスケジュール、すぐ送りまーす」
「はい、待ってます。」
「では、またー・・」
「あ、ちなみにその特集ブランドって?」
「あれ?それもボク言ってなかったですか?ごめんなさーい、XNUMXでーす」
「ホントですか?やったー、大好きなブランドです!バッグ、デイリーで使ってますよ」
「よかったでーす、ではスケジュール、明日中には送りまーす」
「はい、よろしくお願いします」
「よろしくーどもどもー」
タクシーはセーラのマンションの裏側に到着した。運転手は車内での電話以降、極端に対応が冷たくなったので、セーラはお釣りをチップとして貰わなかった。
(19)ガネーシャ
一九三五年 六月 二十X日
遂に灰烏家の人間達が明後日、村に集まる。本家直系の12人とその親族約30名。そこで次期当主、お継ぎの儀が行われる。先代が亡くなって早一年、現在当主は先代の妻であった、咲千代が務めているが無論、咲千代には特別な力、御手数はない。ただお継ぎを口伝する役目がある。候補者は三名に絞られており、灰烏家直系の代表者達と咲千代でお篭り(オコモリ)を行い、最終決定をする。お篭りとは本家の裏にある山の中に建てられた藁葺き屋根の小屋で、囲炉裏を囲んで数日間に渡って行われる会合のことである。初日、二日目、三日目までは前就の儀と呼ばれ、全員が小屋の中で同じ物を食い、同じ場所で寝泊まりをする。そののち、男女共に褌のみを着用し、神木の枝を炊き上げた炎の前で次の当主を決めるべく話し合いをする。数時間で終わる場合もあるが丸一日以上かかる場合もある。新しい当主が決まると、小屋の屋根の一部を開き、炊き上げの煙りが一斉に天に立ち昇り、村中にお篭りの終了が告げられる。会合が済んだ後、代表者達はそれぞれ家に戻り、一泊し、翌日、本家の御前大広間にて先代当主から村人達に新しい当主のお披露目、お継ぎ口伝が行われる。灰烏家の血縁者は、誰もが多少なりとも御手数の力を備えているが、候補者達は中でも特に能力が秀でている者が選出されており、当主に選ばれなかった者はお継ぎの儀の後、御手数を奪われる事が決まっている。同じ代に強い能力者が複数人いることは危険であり、当主の立場を安定させる為には当然必要な事である。そして当主選定から漏れ、能力を奪われた物は村を出る。それが灰烏家とこの村の掟である。一比己は当主になりたいとは思っていなかったが、その掟を何よりも恐れていた。今更、御手数なくして自由に振る舞えねぇ他の土地におんだされるなど、溜ったもんじゃねぇ、それなら死んだ方がマシだ、と。
2010年 12月初旬
長引いた風邪も治り、スポーツファイト・マガジン誌発行元の林屋出版、林屋健三社長とのアポイントメントも無事に取れたので、俺はそれまでの約一週間を日雇いのバイトで食いつないでいた。セーラは何やら忙しそうにしていたし、俺は特段やることがなく、手っ取り早い収入を求めていた。(とは言え、B級雑誌の雇われライターはもうまっぴらだ。)短期バイトの派遣サイトに登録し、まず交通整理を二日、その後、複合商業施設の警備員を一日、それから清掃業を2回。一日目の清掃で派遣された場所は近所の公園だったが、二日目の昨日行った場所は、郊外にあるうらぶれた小さな遊園地だった。都心部からのアクセスは多少面倒だが、ベッドタウンとしては発展している地域で、最寄り駅は俺も何度か仕事関係で利用した事がある駅だった。だが、近くにそんな遊園地がある事など全く知らなかった。園自体は物凄く古いわけでもなく、ただただ閑散としていた。清掃したのは日曜日だったが、どう見ても客よりスタッフの方が多かった。もちろんアトラクションを待つ人間はいない。好きな時に好きな物に乗れる。ただその時、スタッフに面倒くさそうに対応されるのだが・・・。俺は園内ではなく、子供が乗れるパンダやポップコーン製造機やカート等がしまってある巨大な倉庫の清掃を、数人の日雇い達と共に任されていた。それはそうだ、おもての掃き掃除ぐらいならスタッフがやればいい。あれだけ暇なら、わざわざ外部の人間を雇うまでもないだろう。午前中の清掃を寒空の中、真水で行い、俺は風邪がぶり返すのではないかと心配したが、実際には力仕事のようなもので、終始汗だくになっていた。それはそれで体調を壊すリスクもあるのだが、その頃には日雇い仕事のルーティンにも慣れていて、俺はタオルや下着の着替えを多めに持っていた。昼休みになり、人目のつかない所に行ってびしょびしょになったインナーのTシャツを着替えてから、園から支給された冷たいお茶と、おかずの少なすぎる弁当をそこのベンチで食べていた時、この遊園地独自のキャラクターの着ぐるみを被った人間が同じタイミングで休憩にやって来た。そのキャラクターはゾウと言えばゾウなのだが、どこか奇妙だった。まず全体的に黄色っぽく、中華帽子のような物を被り、顔は手塚治虫タッチでカワイイのだが、よく見ると背中にもう二本腕が生えていて、子供は気づかないかも知れないが、大人から見ると中々グロテスクなルックスだった。キャラクターの名前はガネちゃん。胸に園児のような名札を付けていた。それを知れば、ああ、インドの神様ガネーシャから取っているんだなと気が付くわけだが、知らない人間が見ると(阿修羅ダンボ)ないし(闇落ちしたサトちゃん)のように見える。ガネちゃんは園内でバルーンを配っていたが、あまり捌けなかったようだった。俺の座っていたベンチの一つ空けて横にあるベンチに座り、余った風船を一時的にまとめて手摺りに結び付けると、どこからか持ってきた二本の缶コーヒーの一本を俺にくれた。俺はお礼を言ったが、ガネちゃんは無視してさっき風船を結んだベンチに腰かけた。俺は残った弁当を急いで食べ終え、一緒に来た他の日雇い達にばれないようにコーヒーを一気飲みし、缶をゴミ箱に捨てた。その間、ガネちゃんは隣のベンチで足を組み、着ぐるみを脱ぐわけでもなく、コーヒーを飲むわけでもなく、ただ茫然と観覧車の方に鼻を向けていた。どこに目の穴が開いているかは分からなかった。
急いで弁当を食べ終えたせいで、休憩時間が余り、その場所に他の人間も来なそうだったので俺は何となくガネちゃんに話しかけてみた。
「コーヒーありがとうございます。他の人間に支給された以外の物がバレるとまずいんで一気飲みしちゃいましたけど、温まったし、何だかとても美味しく感じました。」
するとガネちゃんは左側の二本あるうちの、(本当の腕)を入れているであろう手を上げて返答してくれた。きっと子供の夢を壊さないように、しゃべらない癖がついているのだろう。
「ここは長いんですか?それとも我々のように派遣されて?」
俺は俺で、いつもの癖で取材のような口調になってしまった。しかしガネちゃんは特別嫌そうなわけでもなく、また左手を上げて、いやいやというような素振りで掌を小さく振った。しかしどういう意味の(いやいや)なのかは分からなかった。長くもなければ派遣でもないといったところか。相手がしゃべらないつもりならイエス・ノーで答えられる質問でなければダメだ。普段は何をしてるんですか?など、答えられるわけもない。
「普段は何をしてるんですか?」
「・・・・」
案の定、無言だった。分かっていたが、俺は試してみたくなってしまったのだ。
「寒い時はいいですけど、夏なんかはそれ着てるのキツイでしょう?」
また(いやいや)だった。これは夏でも大丈夫という意味なのか、はたまた夏場はやってないよ、なのかは分からない。しかし、ガネちゃんは季節の事は気にならないようだ。
「ガネちゃんって、ガネーシャから取ってるんですよね?」
頷き。
「この遊園地は、インドとかヒンドゥー教とかと何か関係があるんですか?」
いやいや。これは(そうではない)なのか、(知らない)なのか・・。
「誰がデザインしたキャラクターなんですかねー?」と答えないであろう、質問をしてみると、ガネちゃんはまさかの(頷き)を返してきた。これは(オレもそう思う)なのか、(知っている)なのか・・。試しにそのキャラを作った人を知ってるんですか?と訊いてみると、意外にもガネちゃんは再び頷いた。
「へー、知りたいなぁ」と、声を出す期待を持って言ってみたがやはり無視された。
まぁそれは、帰りにでも園のスタッフに訊けば教えてくれるだろう。そろそろ休憩も終わる頃だったので、俺は缶コーヒーのお礼をもう一度言い、席を立った。ガネちゃんはまた軽く左手を上げて返答してくれたが、少し離れてから振り向いてみても、ずっとベンチで足を組み、最初の体勢から微動だにしていなかった。もしかしたら部外者がいる間は絶対に着ぐるみを脱いではいけない、鉄の掟があるのかも知れない。俺がいなくなったらきっとコーヒーも飲むだろう。
それなりにキツかった肉体労働が夕方に終わり、現地解散で園を出る寸前にさっきの事を思い出し、入口にいた瞼の重そうで不愛想な若い女性スタッフに「ここのゆるキャラでガネちゃんっているけど、あれをデザインした人って誰ですか?」と訊いてみたら「知らないっす。そんなのいましたっけ?」と言われたので興醒めして、真っ直ぐ家に帰った。
そんなわけで数日間のバイトで何とか年を越せるギリギリの収入を得たわけだが、あれ以来俺は、例の着ぐるみの事が妙に気になっていた。なぜ何人かいた清掃バイトの中で俺にだけ優しかったのか?なぜ自分は温かいうちに飲めないのに缶コーヒーを俺の分まで買ってきてくれたのか?なぜしゃべらないのに質疑応答に丁寧に応えてくれたのか?そもそもどんな人間が中に入っていたのか・・ああ、声さえ聞ければ大体の年齢や体格が推測出来たのに。しかし、人生にはああいった不可解な出来事が往々にして起きる。一時期、俺はそういう話を集めた本を出版しようとさえ思っていた。その為に、会う人会う人「今思うと、あれって一体何だったんだろう?っていう出来事ありますか?」と訊いて回っていた。まったく若気の至りだが、当然その本を作る気はすぐに失せた。というのも、その質問をすると大抵の人は、そういえば・・と言って1つ2つのエピソードを簡単に話し出すのだ。要するに、そんな事は誰にでもある、のである。もちろん中には映画になりそうなぐらいのとんでもない出来事もあったし、身の毛もよだつシンプルなオカルトもあった。生命の危機に繋がる危険な話や、記憶に留めるまでもない、取るに足らない話も・・。しかし、もうこうなると取材過多と言うか、素材過多で料理をする気にもならなくなる。誰に訊いても何かしら出てくるなら、飲みの席での与太話で十分だ。けれど、どうして人というのは(俺も含めて)不思議な出来事を自分では体験しているのに、他人から聞くと信じないのだろう?電波も見えなきゃ仕組みも分からない、スマホの検索結果は簡単に信じるのに。
俺は仕事部屋の椅子に座り「遊園地で掃除のバイトをしていたら、気持ち悪いゾウの着ぐるみに缶コーヒーを奢ってもらった・・・本を出すにしても、これはボツネタかぁ」と、独り言を言った。




