高校生編
春。
高校の入学式。
娘は少し大人びた制服姿で、少し恥ずかしそうに微笑む。
悠斗はカメラ片手に、またもや動揺を隠せない。
(……こんなに成長して……でも……俺のだいっき……)
河合が隣で笑う。
「斎藤くん、また泣く準備はできてる?」
「……準備できてない……)
学校帰り。
娘が部活の話を楽しそうに話す。
「ぱぱ、バスケ部に入ったの!」
「……おお……かっこいいな……」
河合が茶化す。
「斎藤くん、青春真っ盛りだね♡」
夜。
娘がちょっと大人っぽくなったことに気づきつつも、
「ぱぱ、ずっとだいっきだよ!」
と笑顔で言ってくれる。
悠斗は胸がいっぱいになる。
(……省エネ男子……まだまだ続く……幸せ……)
省エネ男子、動揺と優しさのはざまで
ある夕暮れ。
リビングで悠斗がテレビを見ていると、
娘が静かに話しかけてきた。
「ぱぱ、話があるの。」
(……なんだ……?)
娘は深呼吸をして、
「私ね、彼氏できたの。」
悠斗は一瞬、心臓が止まりかける。
(……彼氏……!?)
動揺しながらも、
娘の目をじっと見て言う。
「そうか……それは良かったな。」
娘は少し照れながら、
「でもね、ぱぱが一番大事だよ。だいっきだよ。」
悠斗はほっと息をつく。
(……ああ、俺はまだまだ……)
河合がニヤニヤしながら、
「斎藤くん、これが青春の一ページ♡」
夜。
娘が寝る前に、そっと悠斗の部屋に来て言った。
「ぱぱ、心配しないでね。私、ずっとぱぱの娘だから。」
悠斗は涙ぐみながら、
「ありがとう。だいっきだ。」
こうして省エネ男子は――
動揺しつつも、娘の優しさに救われて、
また新たな幸せを胸に刻んだのであった。
省エネ男子、受験戦争の波に揉まれる
冬。
机に向かい勉強する娘の姿。
「ぱぱ、今日もがんばるね!」
悠斗は熱いお茶を差し出しながら見守る。
(……成長したな……勉強……無理だけど……見守る……)
河合が横でニヤリ。
「斎藤くん、受験戦争に備えろ♡」
毎晩遅くまで続く勉強。
疲れた娘がリビングにふらりとやってくる。
「ぱぱ、甘いもの買ってきてくれる?」
「……はい……すぐ……」
甘いものを差し出すと、娘は満面の笑み。
「ありがとう、ぱぱ!」
受験当日。
学校の門の前で見送る悠斗。
「自信持って、がんばれ!」
娘は小さくうなずいた。
(……俺のだいっき……強くなったな……)
結果発表。
合格通知を手に泣き崩れる娘。
悠斗も泣いた。
「よく頑張ったな!」
河合が拍手。
「斎藤くん、涙腺崩壊最高点♡」
こうして省エネ男子は――
受験戦争を乗り越え、娘の成長に胸を熱くしつつ、
これからの新しい未来を見据えたのだった。
涙と笑顔の卒業式
春。
桜が舞う高校の体育館。
悠斗は河合と並び、娘の晴れ姿を見つめていた。
制服姿の娘は、大きく深呼吸して卒業証書を受け取る。
(……ずいぶん大人になったな……)
式の後。
娘がにこやかに悠斗のもとへ歩み寄る。
「ぱぱ、今までありがとう! これからもずっとだいっき!」
ぎゅっと抱きしめられ、悠斗は涙が溢れる。
「俺もだいっきだよ!」
門の外。
桜吹雪の中、娘は新しい世界へ歩き出す。
悠斗は静かに見送った。
河合がそっと言う。
「斎藤くん、これからも省エネは忘れずにね♡」
「……頑張る……」
こうして省エネ男子は――
娘の成長を見届け、新たな旅立ちに涙しながら、
これからも変わらぬ「だいっき」を胸に歩んでいくのだった。