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5.グァルディオラの魔法レッスン【実践編】と次善の神さま

 だいぶ前に感想をいただいたのに反応もせず、申し訳ない。

評価してくださったり、お気に入りに入れてくださったり、感想をくださったりした方、この場を借りて御礼申し上げます。





「――魔法の使用に体内の魔力容量から魔法エネルギーを取り出して作用させるという制限がある以上、その展開場所がどうしても体表面上に限られるってのはわかるかい?」



 再びツヴァイヘンダーを杖に仁王立つルディオラさんは語る。



「前にも言った通り、魔法エネルギーってのは世界中に遍在する。だけど、それはそのままでは魔法には利用できなくて、一度体内に取り込むってことをしなくちゃならない」



 何故かは知らないけどね、とルディオラさんは肩をすくめた。



「この体内に取り込んだ後の、魔法に利用できる魔力のことを専門的には変性魔法エネルギー――denatured magic Energy、D魔法エネルギーって言うんだけど……これは非常に――もともと同じものなんだから当たり前の話だけど――元の魔法エネルギーとの互換性が高いんだ。つまり体内から取り出した際にあまり体表から離れさせると、大気中に存在する他の魔法エネルギーと混ざって、すぐに元の魔法エネルギーに戻ってしまうっていう性質を持つのさ」



 そこで息が切れたのか一呼吸置いてから、だから、とルディオラさんは続けた。



「だから、それを防ぐために基本的に魔法ってのは体表面上――一番イメージしやすいのは手のひらだね。理論上は手の甲でも、足の裏でも、角膜でも、どこででもできるけど――で展開、そしてそれを放つ、撃ち出すというのが基本スタイルになるわけさ。ってことで――」



 晴天の下、突然垂直に掲げられたルディオラさんの手の先に、炎の渦が巻き起こる。

それは手のひらの上で回転するごとに小さく圧縮されていき、すぐに硬球ほどの小さな火球となった。



「んじゃ、行くよ! よーく見ときな。これが火の初級魔法――Flame(フレイム)だ!」



 そう言って振り下ろされた彼女の手のひらからそれは虚空へと撃ち出された。







 火球は土埃を巻きたてながらまっすぐ飛んでいく。

かなりの速度で飛んでいるのにも関わらずその炎はわずかにもぶれることなく、球体をきれいに維持したままだった。

そして瞬く間に広場を飛び出したそれは、轟音とともに一番近くの煉瓦造りの家の壁にぶつかった。

その瞬間、圧縮されていた火勢が開放されて、大きく膨れあがりはじけ飛ぶ。



 突然の衝撃に腰を抜かした家主がわたわたと家から出てくるのを傍観しながら、ルディオラさんは言った。



「……うん、こんな感じだね。――次、お前さんがやってみな」


「いや、やってみなと言われましても……」



 結局、魔法の使い方自体の説明はなしですか?



それと誰だか知らない人の家の壁がものの見事に崩れ落ちてますけど……いいんすか?






 視界の端に映る、自宅の壁の惨状を知ったのか鱗を真っ白にして燃え尽きて(・・・・・)いる家主。



これも火の魔法の効果だったりするんだろうか? と思ってみたり。










 結論から言えば、もちろん、それが魔法の効果なんかであるわけもない。



そして本題の魔法の使い方については……魔法自体の説明は簡単にできるけど、使い方自体の説明はできない、というのがどうやら普通のことであるらしい。ルディオラさんいわく、魔力容量はそもそも生物に自然と存在する器官のようなものであり、それを使う説明などできるわけがない、と。筋肉の構造やどういうメカニズムでそれが働くのかを説明できても、あまりに当然として使っているために筋肉の動かし方自体を説明することはできないのと同じらしい。

 それでもあえて使い方を説明する言葉を探せば……感覚? になる、と。





「自分の指を見て曲がれと念じても指は動かないだろう? だけど、わざわざ頭の中で指を曲げようなんて考えなくても、曲げれば(・・・・)曲がるもんさ。魔法の使い方もそういう感覚だね。ってわけで、習うより慣れろ! やれ!」






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次善の神さま


4.グァルディオラの魔法レッスン【実践編】と次善の神さま


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 ……と言われて手を掲げてから、はや数時間。




腕がだるくなるだけで、うんともすんともいかなかった。

なんて言うか、全くできる気がしない。

 途中で、別のアプローチ――



「火ってのが燃焼反応の副産物だってことは知ってるかい? そもそも燃焼反応ってのは物が燃えるっていう化学反応のことだけど……化学反応ってのは物質が分子・原子レベルで結合、あるいは分解されて新しい物質に組み換えられるっていう現象だから、燃焼反応(それ)は簡単に言えば、ある物質が酸素と反応して分解され、水と二酸化炭素とプラスアルファという、より安定している物質に組み替えられる反応ってことになる。そして、その組み替えられる際、物質が安定化したために出てくる余剰な結合エネルギー――化学エネルギーが光エネルギーと熱エネルギーに変換されたもの、それが火と呼ばれる副産物(もの)さ。……そうだね。物質ってものが分子の集合体であるってことは知ってるだろう? そもそも物質にはエネルギー状態が低いほど安定になるという性質があるけど、逆にエネルギーが全くなければはじめから存在できないという性質も持っている。それは分子の集合体をつくる時に分子同士をひっつけさせるための『のり』――いわゆる化学エネルギーが――(中略)――つまり、その余った『のり』が光エネルギーと熱エネルギーに変換されたもの、それが火の正体ってわけさ。だからD魔法エネルギーをその二種類のエネルギーに変換するってのが、火の魔法の基本ってことになる。わかったかい?」



 という魔法というよりもむしろもう化学だろみたいなアプローチも試してみたが駄目だった。

他にも……



「メ○、メ○ミ、メ○ゾーマ、カ○ザーフェニックス! 天○魔闘! 灰になれ!」



 いわゆるイメージ戦法。

本来は魔法に呪文など必要ないが、自分が一番火をイメージできる言葉を詠唱して発動の補助にするというのも試してみたが――



「フ○イア、フ○イラ、フ○イガ、メ○トン! いっ○みーまーりお!」



 まるで駄目。

叫びは広場にむなしく広がり、あいつ何してんのみたいな目でリザードな人たちに見られただけだった。




「火遁、豪○球の術! マ○ラギ! ジ○ポーライター! マズルフラッシュ! チ○ッカマーン!」 



 ……むしろ軽く心が折れた。







 そんなこんなで数時間。

ルディオラさんもいろいろと細かな助言をしてくれたが、中々うまくいかない。

 広場の真ん中に座りこんで、二人でどうしたものか頭を悩ませる――



「……何だか良い具合に煮詰まってきているようだな」



 そんな時にシャリスは話しかけてきた。

……日陰であの変な本を読んでいたんじゃなかったのか? と思ったが口にはしない。ああ、しない。だって変に邪魔して、また神剣で殴られたりしたくないんだもの。……あれ?




//=================================================



すてーたす(真)



 米屋 守鷹(かみたか)  高校生 Lv.17




 武  器:---

 頭部防具:---

 腕部防具:---

 胴部防具:ぬののふく

 脚部防具:かわのくつ

 装飾品1:チタンフレーム・メガネ

 装飾品2:女神への恭順(・・・・・・)(呪) ←




 ○女神への恭順


 入手と同時に強制的に装備される一種の呪いの装飾品らしい。

これを 装備していると 天の女神の加護が得られるが その代償に無意識に女神への恭順が 付加されるようだ。これを 装備できるのは かみたかのようだ。店屋に売ろうとしても 値段は つけられないだろう。と言うか 絶対に装備から外せないので そもそも売れない。



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 なんか今心に変なベクトルが作用したような――








「ああ、シャリス。すまないね、中々うまくいかなくて……せっかくのあんたの頼みなのに――」



 自分の中の違和感に首をひねっていると、ルディオラさんが軽く肩を落としてそう言っていた。

シャリスが苦笑しながら、ルディオラさんの肩に手が届かなかったのだろう――上腕をたたく。



「いや、かまわんさ。これはある程度予想していたからな。生まれてから17年間も魔法を使ってなかったんだ。大方、魔力容量が錆びついているのだろう」



 筋肉だって数日使わないだけで萎縮し始めるだろう?

そう言ってシャリスはこちらに視線を向けてきた。



「同じようなことが魔力容量に起こったとしても不思議はないと私は思う。ましてや今回は期間が17年なんだ。それは頑固に萎縮していることだろう。――とは言え、その萎縮は筋肉に起こるような物理的なものではなく、精神的なものであろうがな」


「精神的な委縮?」



 違和感をとりあえず置いておいて問う俺に、シャリスがうなずく。



「そうだ。……まぁ簡単言ってしまえば、それは常識ということになると思う。魔法なぞあるわけがないという、な。厄介なことだが、おそらく幼いころから蓄積された無意識下での刷り込みでもあるのだろう」


「ふむ。確かにそれなら使えなくても不思議じゃない――でも、それじゃあ……なんでだい?」



 そこまでわかっていて何故わざわざ遠回りでもするかのようにわざわざ自分に頼むのか、とルディオラさんは問う。



「あくまでもそういう可能性がある、というだけだったからな。一応対策は考えてあるができれば使いたくない、というのが本音なのだ。グァルディオラに教わっているうちに自然と解消されるなら、それが一番だと思ったのだよ。……私の考えた方法は危険だからな」



 最後に聞き捨てならない言葉がさらっとついた。

だけど、文句の言葉が口から出ない。何これ? 恐怖? 恭順?



 自分の変調に顔をしかめていると代わりにルディオラさんが話を続けてくれた。



「危険? どんな方法だい?」


「異次元宇宙の常識が足かせとなるならば、それを超えるこちらの常識をそれに上書きすればいい。ま、要するに魔法という存在を少年の身体に叩き込むんだ。……無意識下の常識すらも塗り替えられるほど……嫌というほどな」


「……叩き込むって」



 もしかしなくても……教えるって意味じゃなくて、物理的に当てに来るってことか?



「……確かに危険だね。そんなことして大丈夫なのかい?」


「死ぬとか死なないとかという問題なら、大丈夫だ。少年の体はこの世界に召喚するために私が特別に用意した入れ物(からだ)だからな――最近のはやりで言えば……あばたーと言ったか? 私が死んでも変わりがいるかもしれないものというやつだな――だから、少しくらい欠けても、まったく問題ない。すぐに直せる。最悪全損したとしても、少年の魂はインテルファーゼに飛ばされて、新しい入れ物(からだ)に定着――いわゆるデスル○ラだな――するから、手加減する必要もないな」


「知らない間に勇者体質か、おい!?」


「勇者体質? まぁそうとも言うな。だが、これならあれだ。護身術も一緒に学ぶことができて一石二鳥だぞ? お得な感じがいっぱいじゃないか」


「絶対、それによって払われる犠牲は勘定に入ってないだろ!?」


「無論だ。犠牲になるのは少年であって、私ではないからな。――どうだろう? グァルディオラ。やってみないか?」



 シャリスは俺の言葉を軽く流してルディオラさんに話を振った。



「あんたが大丈夫だってんなら、私はそれでも構わないけどね……」



 そう言ってルディオラさんは(おもんばか)るようにこちらをちらりと見てくる。

その微妙な優しさが身にしみた。



「じゃあ、大丈夫だな。守鷹! 軽く体をほぐしておけ。すぐに始めるぞ」



 俺の意思は不在ですか、と思う。

しかし、思うだけ。反対することができなかった。何故か(・・・)



「……わかった」











 ☆ チュートリアル バトル ☆


 クリア条件:魔法を覚える


 制限 時間:∞


 フィールド:集落外縁及びその周林












 広場から村の外へと移動して訓練を始める。



「ルールは簡単だ。今から少年を狙って魔法を使うから、少年はただそれから逃げ続ければいい。それを続けれていればそのうち危険を感じた本能が目覚めて魔法も使えるようになるだろう」



 なんかえらいてきとーな気がするんだけど、気のせいか?



「じゃあ、準備はいいかい? 始めるよ」



 そう言ってルディオラさんは身構えた。










 まず飛んできたのはさっきと同じ火の玉――フレイムって言ったか? それが6つ。


しかし、高速で飛んでくるにしても所詮その軌道はまっすぐだ。

だから、それなりに距離があいていれば簡単に避けられる――








 ……はずだった。



「ほぐわっつ!?」



 6つの火の玉をよけきったと思った瞬間に、みぞうちに軽い衝撃が走る。

それほど威力はなかったけど、こふっと肺から空気が抜け出て、息が乱れた。



 何とか呼吸を整えて顔だけあげてみれば、ルディオラさんが目を丸くしてこちらを見ている。

そして、彼女はシャリスの方へ振り返った。



「シャリス?」


「誰も私が参加しないなんて言ってないだろう? グァルディオラ」



 シャリスは眉ひとつ動かすことなく、こちらをまっすぐ見たままそう言った。



「そして、守鷹。何が起こったのかわかっていないようだから説明するが、今のは火の魔法の中に不可視の風の魔法を混ぜ込んだんだ。次からはもっと(しぬ)気で逃げろ。避けるんじゃない。逃げろ(・・・)。言っただろう? 常識をたたき壊すんだ。生半可なことではどうにもならん。身構えて避けるなんて甘いことをするな。次からはかまいたちを混ぜるかもしれない(・・・・・・)。気づいたら腕が飛んでたとかいうことになりかねないから注意しろ」



 本気だ。この人。

目が本気の色をしている。



「……仕方ないね。カミタカ、いっちょ覚悟を決めな!」


「……りょーかい」






 火に土に水に風、こちらに向かって飛んでくる魔法から逃げる。

背を向けて走ればすぐ近くの森にでも隠れられるのだろうけれど、飛んでくる魔法がそれを許さない。そもそも飛んでくる量も半端ないし、撃ち出される頻度もえげつない。回避するのに必死で、魔法を撃ち出す二人の姿を確認することすらできない。仕方ないので、ルディオラさんたちの周りを大きく円を描きながら回って少しずつ距離を取っていくことにする。おかげで気分はもう地球の引力から逃れたい月そのものだ。

 時々魔法が身体をかすめるが、そこら辺は手加減してくれているらしく、そこまでひどい怪我にはならない。


 しかし時々飛んでくる雷。

ちょっと強烈な静電気程度の威力ではあるけれども、光と同じような速度で飛んでくるものをどうやって避けろと? 絶対シャリスだろ、これ撃ってるの。



「あだっ!?」



 バチッという音とともに刺さるような痛さを感じて倒れこむ。

どうやらまた雷の魔法に当たったらしい。



「立ち止まるな。火だるまになるぞ」



 その言葉とともに飛んでくる火の玉を前回り受身の要領で(・・・)――



「要領と言うか、お前のそれはただの前転だろう?」


「人のモノローグに文句付けんな!」



 だが、あえて内容は否定はしない。

別に自分でもそうかなぁって思ったわけじゃない。

同じだと思うからだ。

前転も、前回り受身も。そんな変わらないって。



「……いや、全然違うと思うよ。カミタカ」



 何故かルディオラさんにも思考を読まれた。

……シャリスは曲がりなりにも女神だし、あるかなとは思っていたけど。何故?



「阿呆、考えている暇があったら身体を動かせ」



 飛んできた水の塊をすんでのところで避ける。

背中に水しぶきを感じながら、二人の方を見れば、ちょうど次の魔法を放つタイミングだった。その両手の10本の指から。



「どこのフ○ンガー・フレア・ボムズ!?」



 後ずさりながらできるだけ距離を取り、計20個の魔法、火やら風やら土やら水やらを一つずつ避けていく。しかし今度は油断しない。できるだけ二人から目を離さない。

 案の定、前の魔法を消化しきる前に、二人は次の魔法を撃ち出そうとしていた。

まずルディオラさんがその両手から10発放つ。次にわざとタイミングをずらしてシャリスが撃ち出してきた。


 まっすぐ飛んでくる10の魔法をさばききる。

範囲外に逃げるだけの暇はないので、そのままの場所でシャリスの魔法から逃れようと小さくサイドステップした――



「なっ!?」



 途端、その魔法が軌道を曲げた。バックステップをする暇もなく、背骨が折れんばかりにのけぞるようにして避ける。



「誰も魔法の軌道を曲げられんなどとは言ってないぞ、少年」



 いきなりくねくねと曲がり始めた魔法を体勢も何も度外視して必死に避けるが――



「い゛っ!?」



 5、6発避けた時点で背中に火の玉がぶち当たられ、その爆発で吹き飛ばされる。

しかも何メートルか転がった後、連撃の水の塊で強制的に消火され、そして駄目押しに感電させられた。

 いくら威力を抑えているといっても痛い。

一回被弾すると立て続けにダメージをくらうのも痛い。



「た、タイム! ちょっ、無理」


「現実にポーズはなしだぞ、少年」



 そう言って無情にもシャリスは次の魔法を撃ち出した。



「……シャリス、あんたも大概ストレスがたまってるみたいだね」



 呆れたようにルディオラさんがつぶやくのが聞こえる。



「ルディオラさん! そんなこと言ってないで止めて! 止めてください! その駄女神を――」


「案ずるな。ちゃんと向こう(インテルファーゼ)に着いたら、あの言葉を言ってやるから――」



 その時、極限状態の脳裏に何故か小さなシャリスが現れた。

そしてそいつはにんまりとした笑顔で俺に告げる。




 ――おお、かみたかよ! しんでしまうとは ふがいない……





 その言葉を聞いた瞬間、俺は――








//=================================================



 ちゅーとりある ぼーなす!



 かみたか は 10050のけいけんちをえた。


 ぱらららーぱっぱっぱー。


 かみたか の レベルが 18にあがった!

たいきゅうりょくが 609あがった。まりょくようりょうが 32あがった。

ちからが 7あがった。まりょくが 4あがった。

すばやさが 7あがった。こううんが 0あがった。

たいじゅつが 9あがった。まじゅつが 6あがった。



 かみたか は 『らい』 の まほう 『Elec(エレク). Bias(バイアス)』 をおぼえた!

 かみたか は 『えん』 の まほう 『Burn(バーン) Flame(フレイム)』 をおぼえた!

 かみたか は 『ふう』 の まほう 『Wind(ヴィント) Gale(ゲイル)』 をおぼえた!

 かみたか は 『つち』 の まほう 『Dirt(ダート) clod(クラッド)』 をおぼえた!

 かみたか は 『みず』 の まほう 『Aqua(アクア) Surge(サージ)』 をおぼえた!

 かみたか は 『ひと』 の まほう 『Reinforce(ラインフォース)』 をおぼえた!



//=================================================






「オオオォォ、燃え上がれ! 俺の――」


「む!? ネタに走るのか。こんなアホに殺されてたまるかとでも言うかと思ったんだが……」



 シャリスが何か言っているが気にしない。



「――コ○モォ!」



 その言葉とともに全身が軽くなるのを感じる。

どんな魔法かはわからないが、確かに何かは発動したらしい。


 その軽さのまま、全力で後ろに倒れこむ(・・・・・・・)

そしてその場でうつ伏せになった後、匍匐前進の要領で森に向かって逃げ出した。

頭の上をこちらをねらっていた魔法たちが通過するのを感じる。



「匍匐前進の要領というか、匍匐前進そのものではないか」


「だから! 人のモノローグに文句付けんな! いきなりマ○リックスみたいな曲芸避けができるかっってーの!」



 ルディオラさんの苦笑が聞こえる。



「まぁ判断は悪くないけどね。……でも、土の魔法の存在を忘れてないかい?」



 その言葉とともに大地が震えだす。

そのあまりの激しさに身動きが取れない。

この局所地震。震源地はルディオラさんの足もと――魔法だった。



「ちょっ!? 今、魔法使えたよね? 条件クリアしたよね? なんで――」


「――こっからは護身術の訓練さ」



 何だか語尾に星が飛んだ気がするのは気のせいだろうか。

地震が収まると同時に火の玉が、水球が、土くれが雨あられのごとく飛んでくる。



「マジですか!?」



 すぐに立ち上がって、頭を抱えて森へと全力疾走する。



「お前に闘いの技法なぞ望んではいない。満足に剣も握ったことないような奴にそんなこと望むべくもないだろう? 刃物なんぞ持たせようなら逆に危険だということぐらい誰にでもわかる。私がお前に望むのは、有事の際に逃げ出せるということ、ただそれだけだ。相手の攻撃を避けて避けて避けまくり、そしてその場から逃走する。それさえ出来ればそれでいい」


「護身術ってそういう護身術かよ!?」


「そーいう護身術だ、というか、この場合は遁甲術というべきか? よかったな。ある意味、忍術だ」


Burn Flame(ふざけんな)!」



 思わず入れたツッコミに何故か火の魔法が追加発動した。

それはまっすぐシャリスの方へと飛んでいき、そしてシャリスにあたる寸前でかき消える。



「魔法をツッコミで使えるようになるなんて中々の進歩状況じゃないか。しかも豪○球の術。……くくく」



 む、むかつく。



「ぼさっとしてんじゃないよ! 死にたいのかい!」



 ルディオラさんの警鐘に火の玉が飛んでくる。

それをあわてて避けながら、森の中に駆け込んだ。











「死ぬ。軽く死ねる」



 あの後、戦いの舞台は森の中に移り、そこでシャリスとルディオラさんに追いかけまわされた。

いくら魔法が使えると言っても、所詮はサバイバルゲームすらやったことのない素人。何度死ぬような目にあったことか。それでも、なんだか色々な意味でずたぼろになりながらも、二人から逃げ切り、集落の前まで戻ってきた時には日が暮れていた。そこでチュートリアルの終了を宣言されたが、その理由が『日が暮れたから』だった。暮れていなかったらいつまで続ける気だったのか、考えるだに恐ろしい。



「まぁ、こんなものかね」


「ああ、さすがにたいていのことには対処できるようになっただろう」



 息絶え絶えな俺に比べて、追い回していた方の二人は汗一つかいていない。

二人で軽い小話までしているぐらいだ。聞き取るだけの気力はもうない。







//=================================================



 ちゅーとりある ぼーなす!



 かみたか は 30010のけいけんちをえた。


 ぱらららーぱっぱっぱー。


 かみたか の レベルが 20にあがった!

たいきゅうりょくが 1262あがった。まりょくようりょうが 68あがった。

ちからが 13あがった。まりょくが 10あがった。

すばやさが 15あがった。こううんが 1あがった。

たいじゅつが 20あがった。まじゅつが 14あがった。



 かみたか は 『ひと』 の まほう 『Melody(メロディ)』 をおぼえた!



//=================================================







 しばらくそのまま野っぱらに倒れ伏していたら、ルディオラさんがおっしゃった。



「さて、魔法の講義も終わったし、次はここら辺の地誌のレクチャーだね」






 ……え?


まだ続くんですか? この授業。







 続きます。


と言っても次は短いはず。

そして次で説明も終わるはず。


次の次でターゲットも出てくるはず。


ま、所詮、予定は未定ですけどね……。



 この小説にはプロットなどと言う上等なものはありませんので、その場で方向性が決まります。(さすがにキューピッドのくだりは初めから決まっていましたが、あとどういうオチになるかも)

ですから更新も遅く、いろいろと迷走するはずですが、どうぞよろしくお願いいたします。




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