表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
科学文明探訪【Web版】  作者: 橋本禰雲
第一章 群青
3/42

つむぎが正木とリンの仲間になってから一番驚いたのは、やはりゲートの存在だった。


つむぎが生まれ育った星は魔法使いの文明だったが、まだゲートを行き来する魔法界に属しているわけではなかった。人々は魔法を使って暮らしてはいたが、古代人が残した宇宙に張り巡らされたゲートの大魔法の存在は知らなかった。


 ゲートは設置されている星としても遺跡という形で認識される。古い石造りの遺跡の内部に、知らなければ何に使うか分からない遺物が安置されているのだ。それを使う方法を知った魔法使いは、ゲートを使ってその遺物が繋がった次の惑星に、同じように設置されたゲートまで瞬時に移動できるのだ。


 ゲートを使った旅の途中でつむぎは疑問を口にしたことがあった。


「これって本当に宇宙の遠くにある星に移動してるの?なんだか大きいお屋敷の扉を通ってるくらいな感じ。すごく遠い距離を移動した感じはまったくしないね」

「リンもそう思うことある」


「ゲートの大魔法は、」


 正木が説明しようとした。


「古代人が残した遺物の中で最も偉大で最も巨大な魔法でできている」


 つむぎはその時ゲートを通った遺跡の中で正木の説明に耳を傾けた。


「……」


 しかし正木はそれ以上は何も言わなかった。


「ねえ!どう偉大でどんなふうな魔法でできているのか説明してくれないの?」

「めんどうくさいな」


「無口な正木が説明してくれるって期待した私がバカだったわ」

「正木さまにそういうの、期待しちゃダメ」


 リンも少し笑いながら言ったものだ。


「……いつか、そういう話しが得意なやつに説明させるよ」


 むくれたつむぎの頭をぽんぽんと叩く正木であった。


「ちょっとお、子供扱いしないでよ。髪型もくずれちゃうじゃない」

「悪かった。ごめんごめん」


 正木は悪びれずに言った。


「もう!」

「……リンが聞いたのはね、ゲートはものすごーく遠く離れたところにある星と星を繋げてるんだって」


 リンが言った。


「ものすごくってどれくらい?」

「夜空にお星さまがたくさん光ってるでしょ。ゲートはそのどれかに繋がっているんだよ」


 リンが得意げに答えた。


「そんなはずないわ。あんなに小さい星に行っても意味ないもの」


「すごーく遠くにあるから小さく見えるんだよ」

「そうなの?ゲートを通ってもなんだかそんなにすごい遠くまで来た感じはしないよ。どのくらいの距離なの?何メートル?何キロメートル?」


「遠すぎてそんな単位じゃ答えにくいようだぞ」


 正木が言った。


「聞いた話しじゃゲートを一つ通ると百光年から千光年くらいは移動できるらしい」


「こうねん?」

「光の速さで進む距離の単位だ。百光年なら光の速さで百年進んだ距離のことだ」


「……リン、また正木がおかしなことを言い出したわ。光に速さなんてあるわけないのに」

つむぎちゃん……光にも速さはあるんだよ。リン知ってるもん」


「……?」


 このようにつむぎにはなかなか理解しずらいことが多かった。


「私はこういうことを昔から知っていた。科学文明の星の出身だからな。だがうまく説明はできん。これも今度詳しいやつに説明させよう」


 つむぎからの質問攻めにあうと正木はそう言って逃げることが多かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【Harugin Story Channel】
YouTubeでボイスドラマ配信しています
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ