15-2「縁日」
お参りを済ませたので、看谷と己己己己は夏祭りの屋台を回りはじめた。
まずは腹ごしらえにベビーカステラ。
「看谷さん。ほらこのベビーカステラ、彦星と織姫町の人形焼きですって。カワイイですね」
「おまえさ、石鹸が小さくなってくのも悲しいって言ってるのに食べられるの? こういうの」
「食べ物はべつに。たい焼きも頭から食べますよ、一思いに」
「『一思いに』とか言ってる時点で気にしてるじゃん」
良さげな屋台スナックがまたあれば道すがらつまむとして、縁日の醍醐味といえばやはり遊戯系の屋台だろう。
最初にチャレンジしたのはスマートボールだ。ビンゴゲームのように並んだ穴に玉が入った列数で景品が豪華になる。
「むふん。どうですか看谷さん、パーフェクトです」
「……己己己己ぃ。1コも穴に入ってないのに何がどうパーフェクトなんだ?」
「えっ。……穴に落ちたら死亡、ってゲームじゃないんですか?」
「ルール見ろよ! てか狙ってもできないぞフツー!?」
逆にスゴい、と店主から残念賞を2つ貰ってしまった。
次に挑んだのは射的。バネ仕掛けの銃でコルクの弾を撃ち出し、景品を倒すだけではなく棚から落とさないといけない。
「……ぷるぷるぷる」
「両手でトリガー握ってどうするんだよ、左手はもっと先のほう持たないと。支えきれないだろ」
「こうですか?」
「ああ違う違う、顔の近くまでそんな上げたら危ないって。こうだよこう…………って、ち、近いんだよバカ!」
「あっ」「痛ぁぁぁぁ!?」
己己己己の袖へ添えていた手を離したら、ずり落ちた銃に足の小指を撃たれたし。駄菓子1つも落とせなかったし。
そして金魚すくいへ。
けっこうな人数が水槽を囲んでいたので、スペースに余裕ができるまで遠巻きに待っていることにした。
「金魚すくいかあ。オレは己己己己の横で見てるだけでいいかな」
「あれ? あんまり得意じゃなかったり、です?」
「そうじゃないんだけどさ、金魚もらったからにはちゃんと世話しないといけないじゃん。水を入れ換えて、エサのやりすぎに注意して、急に寒くなる日は水温にも気をつけて。……そこらへんわかってなくて小さい頃に失敗してるから、もらいたくないんだよな」
……己己己己がまっすぐ見つめてきているとひしひし感じたので、看谷は横目だけで応えた。
「……なんだよ。生き物飼うのにメンドくさがるなよって、いつもみたいに言えよ」
「……私をもらった時は、川に捨てたりしないでくださいね?」
「うあ!? は、はあ!?」
「あ、間違えました、『私の金魚を』です。デメキンすくえたら看谷さんにあげようと思ってたので」
「だからいらないって!」
「ていうかべつに、金魚はいらないですって言えば普通に遊べるんじゃないでしょうか」
「なんかもったいないじゃんそれだと!」




