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最弱保健委員の己己己己さん  作者: 古丹那 リタ
第14話(8月第2週)
44/55

14-2「部屋遊び」

「ふぅ~……だいぶ進んだよな、宿題。わかんないとこ教えてくれて助かってるよ己己己己」

「いえいえ、こちらこそ」

 午後3時すぎ。ローテーブルを共有して夏休みの宿題を広げあっていた看谷と己己己己は、一区切りつけて体を伸ばした。

 そう。そもそも己己己己が看谷家へやって来た目的としては、腰を据えて夏休みの宿題をやっつけることなのだ。

(隣の席のよしみっていうか? 学校でもこんなふうに教えあうことあるんだから……うん、まっとうまっとう。健全健全)

 始めてしまえば何をドギマギする必要があっただろう、集中に集中を重ねてもう2時間経っていた。

「一休みしませんか? お土産に、夏バテ予防に効くオクラのピクルスを作ってきたんです」

「もうちょっと中学生らしいものつまもうぜ……。下でなんか探してくるよ」

「じゃあピクルスは家族でどうぞ。絶対食べてくださいね」

 「はいはいありがたく」。オクラと酢がみっちり詰まったビンを持って、看谷は1階のキッチンへ。

 やがて茶菓子を調達して部屋に戻ると、己己己己は主にゲームグッズが収まったコレクションケースを見上げていた。

「看谷さん看谷さん。いつも話してる『ファイナルレジェンズ』って、私でも遊べるゲームでしょうか」

「おっ……! 興味あるのか? あーいや、でもどうかな……普段ゲームやらないやつにはとっつきにくいかも」

「よかったら見せてくれませんか?」

 看谷は「いいぞー」、おもわず声を弾ませながらゲームを起動させた。

 看谷のアバターキャラである青年騎士がモンスターまみれのダンジョンを進撃していく……。

「やってみるか? ほい、いまはソロだから誰にも迷惑かけないし好きなだけ死んでいいぞ」

「え、え、あうあう、いきなり渡されても……あっ。もうやられちゃいました……」

「はは、わるいわるい。ちょっとイジワルだったな。ちなみにこれでもチュートリアルエリアだ」

 己己己己は何度かリトライしたが、コントローラーのボタンを目で確認しながら押す典型的なゲーム初心者だった。

「な、ハードなゲームだろ。だから安藤も黒瀬も挫折しちゃってさ」

「むむむ……私、がんばります。お父さんが同じゲーム機持ってたと思うので、お願いすればたぶんなんとか」

「い、いやいや。そんなムキになるなって。ゲームは楽しむものでがんばるものじゃないぞ……そういう人間もいるけど」

 看谷は己己己己の手からコントローラーを回収する代わりに、みたらし饅頭の最後の1個を掴ませてやった。

「そうだ。このゲーム、すごく自由にキャラが作れるんだよ。おまえにやらせたらおもしろキャラができるかも」

 タイトル画面に戻ってキャラクター作成画面を開くと、己己己己は「ほほう」と興味深そうで……。

  ◯ ◯ ◯ ◯

「できました」

 武芸の締めのようにコントローラーを置いた己己己己に対して、看谷は唖然としていた。

 ……己己己己そのものの魔法使いが、画面の向こうでニッコリしていたからだ。

「って己己己己じゃん! なんでキャラ作りだけこんなにうまいんだよ!?」

「こんなふうにメイクやオシャレそのもので遊ぶゲームも多いんですよ。女の子のゲームって」

 己己己己は、まさに自分の分身じみたキャラデータをちょちょいとセーブしたのだった。

「さてと。もしかしたらいつか、この子が旅に出るかもなので……看谷さん? 大切にもらってあげてくださいね」

「デ……データだけは残しておいてやるよ……それだけな!」

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