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最弱保健委員の己己己己さん  作者: 古丹那 リタ
第14話(8月第2週)
43/55

14-1「ゲスト」

 昼ごはんを食べ終わって午後1時ジャスト。看谷 悠斗は、登下校に使う住宅地の小路にいた。

 何の変哲もない分かれ道は、学校の帰りに彼女と家路が分かれるという意味で1つのゴール地点だった。

 けれども今日、ここは彼女とのスタート地点だった。

「よ……己己己己。べつにここで待ち合わせしなくてもさ、オレんち知ってるじゃんおまえ」

「こんにちは看谷さん。ダメですよ、正式に招待してくれる約束なんですからエスコートしてくれないと」

「エスコッ……いやべつに約束はしてないしっ。風邪の時のお見舞いの礼、ちゃんとしろって母さんにも言われたし!」

 先に着いていた己己己己 癒子を、今から家に招待するスタート地点だ……。

 女子を家に連れていく。その響きだけで看谷はもう膝を付きそうだったのに、己己己己と対面するとさらに緊張した。

 今日はセーラーワンピースにサンダルを纏った彼女が、麦わら帽子をちょいと整えた仕草を見ただけで……火照った。

「……おまえって、そういうのも着るんだな」

「わあ。ありがとうございます、いちばんのお気に入りなんです。このセーラーワンピース」

(って、な、なに言ってるんだよオレは。こんなの学校の制服とそんなに変わんないじゃん)

 この夏休みの中で、ブラウス姿やタンクトップ姿なんかも見ているのに。……彼女が女子なのだと一際感じてしまうのだ。

 とにもかくにも、看谷は己己己己を連れて我が家へ到着した。

「先に言っとくけど、父さんも母さんも出かけてるから」

「看谷さんのえっち」

「はあ!? うあ!? 挨拶しなくてもいいぞって言ってるんだよバカ! バカ!」

「冗談です。私、身持ちは固いですから」

「わかってないだろっ」

 靴を脱ぎ捨てた看谷。2階への階段を昇りながら手招きすると、玄関でジッと待っていた己己己己はやっと上がってきた。

 そうしていよいよ、看谷の部屋へ通したのだ……己己己己を、女子を。

「へえ~。ふうん……ですです」

「ジ、ジロジロ見るなよ。珍しいものなんかないぞ」

 入るなり己己己己は部屋を見渡したが、彼女が来るからといって何か変えたわけでもない。……掃除しただけだ。

「日当たり良好、整理整頓、いいですね。勉強机から視界に入る位置にテレビやコレクションケースがあるのは良くないですけど、特にベッドの配置は日照的にも風水的にも完璧な配置だと思います」

「とうとう風水とか言い出したよこの保健委員」

「ぼっふん」「だっ!?」

 己己己己、ベッドにヘッドダイブ。

「おおおおいおいおいこらこらこらぁぁ!? おまっ、ちょっ、いきなり何して……!?」

「あう……日射病かもです。早めにお昼食べて早めに家を出たら、約束の2時間前には待ち合わせ場所に着いちゃって」

「2時間ずっと待ってたのかよ!? ああもうバカすぎるっ、とにかく麦茶でも持ってきてやるから!」

「あうああ……ふかふかのベッドが、汗びっしょりのカラダに逆にキモチイイです……」

「うああああやめろおおおお!」

 看谷は掛け布団ごと己己己己を引きずり下ろした。

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