6-1「校外学習」
校外学習。
1年生の看谷たちの行き先は、山のほうにある牧場テーマパークだった。
「中1にもなって動物とふれあいでもないよなー」
「……………………(珍獣でも見るように首を傾げている)」
「いや動物嫌いなわけじゃないぞ。まあ、むしろ、うん、毛がフワフワなやつならワリとなんでも嫌いじゃない、ぞ」
「だったらスキって言えよー。アウトローぶりたいお年頃だなー」
「同級生だろ!」。看谷はジャージの肩を小突いてきた安藤の手を払い除けた。
学年主任の先生からグループ行動開始の号令が出たばかりだったが、みんなが散らばる前に担任の有住先生が咳払い。
「はしゃぎすぎて動物を怖がらせないようにね。大声で騒ぐ、急に飛び出す、目を合わせ続けるのも嫌われるわよ」
「そんなもんかなー……オレだったらべつにイヤでもないけど」
「どうして動物目線なの看谷くん?」
つぶやきを容赦なく拾われて、看谷はまばらな笑いの中で赤面した。
◯ ◯ ◯ ◯
「くそ……なんであんなこと言っちゃうかな。きっといつもより朝早かったからだ」
「寝言言ってないで次のチェックポイント行くぞー。あと黒瀬ぇ、そのカルガモちゃんたちいつまでついてくんのー?」
「……………………(肩をすくめている)」
テキトーにふれあいアクティビティを回りながら、旅のしおりの設問を消化していく。
「なんでやぁぁ! 次こそにゃんにゃんダービーでええやんかぁぁ!」
「ダーメ。金城さん、ゲーセンの競馬ゲームでもメダルぜんぶ吐き出すまでやめないじゃない」
と。彼女たちのグループとエンカウントしたのは、羊のふれあい広場にて。
金城と戸高が、どうやったものやらあお向けにひっくり返らせた羊の胸毛をワシャワシャしていた。
「おひさー。ガンバってるねーそっちもー」
「ぼちぼちでんなぁ」
「いやいやあ、己己己己さんほどじゃないよ」
2人が目を向けた先には、子羊がいた。
「騒がない、急に飛び出さない、目を合わせ続けない……」
首を傾げる子羊相手に、歴戦の潜入工作員じみた中腰歩きでにじり寄る己己己己が。
そして手が届く距離まで接近せしめると、彼女は握り拳の中に隠していたモノを目の前で広げた。
「どうぞ。お近づきの印に」
動物用オヤツの野菜スティック。園内価格300円。
ーーンンンンメェェェェェェィッッ!
「あうッッッッ」
「己己己己ぃぃぃぃ!? おもいっきり前蹴りされた!」
突然のオヤツ登場に興奮した子羊に飛びかかられ、おデコをやられた己己己己はぶっ飛んだ。
看谷がおもわず子羊を投げ飛ばしたら、飼育員にものすごく怒られた。




