出発、いざゲーテヴォルグへ
「よし、準備は整ったから出発するか!隣国のゲーテヴォルグまではだいたい5日くらいでつくからな」
ダイの伝手で目的地が同じ行商の荷台に乗せてもらある事になった。冒険者だけあって顔が広いのね。
話を聞いたらダイは個人で行けばBランクほどの実力があり面倒見もいいとのことでいろんな人から慕われているそう。それは顔も広いわけだ。
今回の護衛を紅蓮に頼めたことは大当たりと言ってもいいくらいの事かもしれない。私たちだけじゃ馬車に御者に冒険者にと結構な金額をかけることになっていただろう。
「これはお食事は美味しいものを振る舞わなきゃいけないわね」
「アリア様、初めての荷馬車での移動なのであまりむりをしないでくださいね」
つい気合を入れたら皆が心配そうにしている。でも私はやっとこの世界で料理ができる事に喜びが溢れているのよ。大鍋も買ってきた事だし、行商の方たちにも振る舞う事にした。
初めての馬車の荷台へ乗る事に一苦労はしたもののヒナに手伝ってもらって乗り込む。
「アリアさん、荷馬車だから座る場所はここなんだけど大丈夫かな?多分だけど荷馬車なんてなった事ないよね」
心配そうにヒナが声をかけてくれた。私たちが座る場所は荷台の荷物を乗せた後ろなので狭い上に直座りだ。
「大丈夫です。さっそくこれを使う時がきたわ」
リュックに詰め込んだ毛布を出して床の上に広げてみた。
「あら、準備がいいのねぇ。というよりリュックにこの毛布しか入れてないじゃん!え、どういう事?」
「ふふふ。大丈夫ですよ。ちゃんとみなさんのお食事はありますので」
「アリア様、そういう問題ではないと思うのですが…」
いいのです。旅はまだ始まったばかりなので全てを今話さなくても。この紅蓮の方たちはきっとこれから長い付き合いになる、そんか気がするの。
元王女の直感というやつよ。