侍女のミナです
お城を出た私は王都を出るために馬車に乗るために辻馬車乗り場へ向かった。
子どもの頃から平民のふりしてお兄様に町へ連れ出されていたから馬車乗り場などはわかっているし、変装は得意だった。
「ひめさまーー!!!!」
後ろから呼ばれて振り向いたらそこには大きい鞄をもった専属侍女のミナがいた。
「ミナ!あなたどうしたの?」
「私は姫様の専属侍女でございます。なのでどこまでもご一緒するのです!」
ふんす!と鼻息荒く凄い勢いで話すミナ。しかし彼女は17歳の若さで結婚適齢期である。
これからどうなるかもわからない私の人生に付き合わせることなんで出来ない。
「だめよ、すぐにお城へ戻りなさい。あなたはこれからの人生があるの。どうなるかわからない私についてきてはいけないわ。もうお給料だって払えないもの…」
お金を持ってきたと言っても侍女を生涯雇えるお金は私にはないのだから。
「大丈夫です!お給金はいただきません。私は家族もいませんし、下女のいじめられていた私を専属にして家族だと言ってくれたのは姫様なので私は姫様の家族としてついていくのです!」
そしておもむろに鞄をあけてジャラジャラとお金がたくさんはいった袋を見せてきた。
「姫様の話を聞いて辞表を出してすぐにお城を出る準備をしていたらユリウス様が来て『幼い頃から大切にお守りしてきたお方です。どうか寂しい思いをしないようにしてあげてほしい。私はすぐにお助けする事ができない』と言ってこのお金を預かってきました!ちなみにこっちはユリウス様から退職金としていただきました」
もう一つ袋を出してニコリと笑うミナ。
ユリウス様から預かったお金を受け取り中を開くと平民が持つには多すぎる金貨と一通の手紙が入っていた。
《必ず会いに行く》
「ダミアンお兄様…」
ダミアンお兄様の筆跡だった。
「姫様とすれ違いでお戻りになってユリウス様に託されたとお聞きしています。王太子殿下はこの混乱状態を鎮静させるために身動きが取れないのです」
「そう…そうよね…
お父様がご無事で何事もなくおわればいいわね…」
もう私には関係のないことだ。15年間育ったお城だけど、辛い事の方が多かった。
グッと固く握った拳をそっと優しく握られた。
「大丈夫です。これからは楽しいことばかりご自分で見つけて過ごしていけるのですよ」
まだ先の見えない旅は始まったばかりなのです。とミナは楽しげにしている。
「よーし!!海よ!海の見える無駄な町へいきましょう!美味しいものをたくさんたべるわ」
その意気です!こんな事になっても家族だと一緒に居てくれるミナに私は励まされ先へ進む。