宿のご飯
受付で宿帳を記帳して部屋へ通された。
「アリア様が私と同じ部屋なんて…今からでも一人部屋にした方がいいのではないですか?」
「あら、だめよ!これから宿に泊まり続けるんだからそんな無駄遣いは許しません」
二人部屋といっても部屋は割と広くて綺麗なので何も気にならない。ベッドだって一人ずつ用意されている。安い宿に泊まると雑魚寝もあると聞くし、いい宿だと思う。
「早速お楽しみの食事をしましょう!宿のご飯とってもたのしみだわ」
「そうですね!なんと言っても海の近くなので今までに食べれなかった料理が食べられると思いますよ」
魚はこの世界でも鮮度が重要なんだけど、流通が発達していないせいで生のものは運ぶことがとても難しい。王族といえど魚料理を食べられる事は滅多になかった。
宿の食堂へ入るとお昼は少し過ぎているので人もまばらになっている。
「メニューはないのねぇ」
メニューというものが無くその日によって出てくるものが違うみたい。前世でいうところの日替わり定食ということかしらね。
「おまたせしましたぁ!」
元気のいい女の子が大皿を二枚持ってきた。
「これは…」
「なんだか思っていたものと違いますねぇ」
運ばれてきたお皿にはパンと葉物の野菜、油でベタベタのなんだか分からない白身魚がのっている。
味は…無い。無いわけじゃないのだけど少しの塩味のようななんとも言えない薄味のもの。
ドレッシングという概念がないのかサラダには何もかかっていないので塩味の油をつけてカチカチのパンと共に食べた。
「うぅ…申し訳ありません…気持ち悪くなってきました…」
ミナがハンカチで口を押さえながら言う。
たしかにここまで油が主張をしていると気持ち悪くなるわね。申し訳ないけれど完食する事は無理そう。
お金を払い私たちは宿ではなく外で食べることにした。
「宿はとてもいいですけど、これからご飯困っちゃいますね」
「とにかく今日食べるものを探して明日からは私がつくることにしましょう。…あら」
ギルドに行ってご飯が食べれるお店を聞いてみようと思い中に入ると見慣れた紅蓮の三人がいた。
「お!アリアさんとミナさんじゃないか。どうした?」
ダイさんが私たちに気づいて声をかけてくれたので今しがたあった事を伝えた。
「あちゃー、あそこの宿ご飯がだめだったか。ごめんね、私たちは宿でご飯食べないから知らなかった」
ヒナさんがしょんぼりしている。
「仕方ない、今までのアリアさんの暮らしとアリアさんの料理の腕があったらそこらの飯では満足できないと思うぞ」
ジーンさんの言う通りお城で出てくる食事は有名なシェフ集団が作っているし、前世の記憶を取り戻した私は下が肥えているので自分で作った方が美味しい。




