聖女の末裔
「これが伝説として残っているシュペルハーゲンの話です。何百年も前から伝えられている話なので眉唾物かと思っていましたが…今回の事が伝説の聖女様と全く同じなのでもしかしたらアリアさんは聖女様の末裔の可能性がありますね…」
「アリア様、私も僭越ながらそう思わざるを得ません。収納ポシェットといいピアスといい魔道具は世の中に出回っているものではないのです」
ミナにそう言われて驚いた。確かにこの品を持ってきたお母様の遺品が保管されている部屋は城でも父である陛下と王太子のお兄様、そしてお母様と私しか入れない。
王妃様でも入れない部屋となっていて厳重に警備されている。
「私が知っている限りでは魔道具師という方は未だかつてお会いしたことがありません」
「そんな…シュペルハーゲンがお母様の故郷だとして、何故お父様とお母様は結婚できたのかしら…」
伝説の国。まず普通の人間じゃ見つけることすら許されない国として実在しているかもわからないというのに。
「そればっかりは本人に聞いてみねぇと誰もわからねぇよな」
ダイさんがお手上げだと言わんばかりに両手を上げる。
お母様がなぜ幻の国と言われた場所からマグダリアで結婚出来たのか…しかし魔道具と言われるものが城に保管されていた事からお父様はきっと全てを分かった上でお母様と結婚している。そして、腹違いと言え王太子であるお兄様もきっと知っている。
「でも今はお父様も床に臥せっていますしお兄様にお会いする事も難しいでしょうから、この事は一旦考えることはやめましょう」
「そうですね。今はアリアさんはご自身のされるべき事を優先してください。きっとこの事が紐解かれる日も来ますでしょう」
サミエルさんに言われみんなが頷く。今は何よりも自分の事と、全てを捨てて着いてきてくれたミナと共に生活ができるようにすることが最優先しなければいけないこと。
そっとミナが手を握った。
「アリア様、私の事はどうかお気になさらないでください!全て覚悟の上でアリア様についてきたのです。それに騎士団長様からもアリア様が心安らかに過ごせるように仰せつかっています」
任せてくださいと自分の胸を叩くミナについ笑ってしまった。
「騎士団長ってユリウス・グレンジャー様の事?」
ヒナさんが乗り出して聞いてくる。
「そうです。私が子供の頃から常に側で守っていただいていました。彼とはお兄様も含めて幼馴染なのです」
「ユリウス様って言ったらとーってもかっこよくて平民の私たちの間でも有名だよ!遠くからしか見た事はないけどすごくモテるのに全然なびかないし、なんなら笑わない氷の騎士様!!」
なんと。ユリウス様にそんな呼び名がついていたとは…でも、ユリウス様が笑わないなんて。
「とっても素敵な笑顔をされる方なんですよ」
「ちょ、え?ユリウス様って笑うんですか?」
ヒナさんが驚いた顔をしている。全く笑わない方なんていないんじゃないかしら。
「アリア様とは幼馴染としてお二人とも子供の頃から一緒にいますからね。アリア様といる時のユリウス様はよく笑顔を見せているんですよ」
「お兄様とユリウス様くらいしか近くに男性が居なかったのでよくわからないんですが…ユリウス様は最後まで私を気にかけていただいてとても感謝しているんです」
それからヒナさんには下町で人気のある棋士の方のお話やユリウス様がどれほど人気があるのかなどいろんな話を聞かせてもらった。




