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追放された元お姫様



 「さて、みなさんこちらの器とスプーンをもってならんでくださーい」


 ミナの号令で行商の人と紅蓮のメンバーが並ぶ。


 道具屋で余分に買い込んだ食器を置いて大鍋に大量に作った芋煮を入れていく。この世界に白米がないのかわからないけれど麦が売っていたのでたくさん買っておいたものを炊いて横に置いた。


 前世でサラダやスープに麦を入れて食べていたので今回も応用してみたけど美味しかったから希望者に好きなだけ入れてもらったら見事に全員でした。



 焚き火を数箇所用意してそれぞれ焚き火を囲んで座りながらの食事が始まった。

私たちの焚き火には紅蓮のメンバーと行商のリーダーサミエルさんが座っている。


 「おいしーい!ちょっと何このスープ!すっごく美味しいよ!」


 「任務中に暖かい食事が取れるとはおもわなかった」


 「長い事冒険者やってるがこんな依頼主は初めてだぜ…」


 「いやはや驚きました!私たちの食事まで用意していただいてさらにこんなにも美味しいものを出してもらえるなんてありがとうございます」


 とても喜んでくれたみたいで安心した。


 「姫様がお料理を嗜まれているとは初めて知りました……はっ!すみません!」


 ボソっとミナが呟いてしまったみながサーっと顔を青くしながら謝ったが時すでに遅し。


 「おいおい…まじかよ。受付の嬢ちゃんに訳ありかもとは聞いていたがまさか最近噂になってた追放された姫さんてアリアさんの事なのか?」


 ダイさんが目をまん丸にして行商の人たちに聞こえないように小声にして聞いてきた。



 「ちょ、ちょっと待ってください!そんな重要な話を私が聞いても大丈夫なのでしょうか」

 

 慌てたようにサミエルさんが問いかける。隠しておくつもりだったけどいつかはばれてしまう事なのと重要秘密事項と言うわけではないので私が追放されるまでの事やお母様やお父様、お兄様とのやり取りを四人に話した。


 「これが噂になっている事の本来の内容です。元王女といえど今はもう平民のただのアリアですので皆さんにはこれまで通り接してもらえると嬉しいです」


 「王族こえー…」


 「アリアさん、そんな大事なことを話してくれてありがとう。平民になったって言ってもこれは絶対私たちから誰かに話すことはないから安心して」


 「そうだぜ!冒険者は依頼主の秘密を守ることも仕事のうちだ!」


 「商人も同じです!」


 「皆さんありがとうございます。私はお城から出るのが初めての何もできない娘で味方もおりません。きっとお力添えをと乞い願う事もあるやもしれませんがよろしくお願いいたします」


 立ち上がり四人へ心を込めてカーテシーをする。


 「ふふふ。こんな素晴らしいカーテシーをする人を見るのは初めてだからなんだか照れちゃうね」


 「物腰や話し方が違うとは思ったが本物とはなぁ。まぁ、サミエルはゲーテヴォルグで一番て言われてる商会の会長だから困ったことがあったら相談したらいいぜ!」


 「一番だとはいいませんがそれなりに大きな商会ではありますのでお困りの際は必ずやお力になります。紅蓮の皆さんも名の通ったチームなので頼もしい味方ができましたよ」



 味方がいないと言った私に対して送られた言葉。これほど心強い言葉をもらったことがあっただろうか。


 隣国までの旅路の最初の晩に私たちは素晴らしい味方を手に入れた。


 



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