8話 死なない生物は木こりの家へ
「うおおおおおおおお!助けてくれえええええ」
俺は今。
ヘルスパイダーという生き物に追われています...(´;ω;`)
あれから調子に乗って罠をそこらじゅうに仕掛けていたら、ヘルスパイダーの縄張りに入ってしまい今...
それにヘルスパイダーって早えええええ!
余裕で俺に追いついて噛みつこうとしてくる。盾で凌いでるが、いつかは...
!
斧がどこからか飛んできた。
「ギエェェェェ」
ヘルスパイダーの胴体にまっすぐ刺さった斧は、ズズズという音とともに上の方に飛んで行った。
上からおっさんが降ってきた
「あんた見ない顔だな。王国の反軍かい?」
反軍とは王国を潰そうと企む組織のことで、反軍だとわかったら即死刑だ。
「いや。ただの旅人だ。...その斧って?」
先ほどの斧。ヘルスパイダーに刺さった後、斧の方から持ち主に戻っていった。持ち主はおっさんで背が小さい。炭爺のようだが、人族のようだ。
「魔道具みたいなもんだな。お前さん精霊ってわかるか?」
「あ、はい。精霊って伝説の五霊の一人で自分の分身霊を出せる魔物?魔族?ですよね?」
「まあ間違ってはないな。
精霊が伝説の五霊であることはあってる。でも精霊様はな
神様だ。」
...
「なんだ?お前。驚かないのか?神だぞ?」つまらなそうなさみしそうな声だが騙されてはいけない。こいつが美少女とかならまだしもおっさんだ。おっさんが寂しそうにしてもかわいくないのだ。
それに神って。もう見たよ。実際にな。
俺が一人で苦笑していると、おっさんは目を光らせていった。
「あんたちょっとうちの家へ来な。面白い話を聞かせてやるよ...っというか見せてやるよ。」
そういってスイスイと木の上へ入っていった。
まさかのツリーハウスか。ツリーハウスの木は周りの大木よりはるかに大きく、改造されていた。
大きな木を梯子で登っていくが、高さが何十メートルもあるので怖くてたまらないのだ。もしも落ちて絶命しなかったら痛いのなんの。
「あんたどっから来たんだ?見るからに人族だろ?」
一人で青い顔をしているとおっさんが話し始めた。
「僕は南にある村から歩いて王都に向かっていてまあヘルスパイダーにやられそうになってました///」
おっさんはガハハと大きな笑い声と共にツリーハウスへと入った。
「で?なんで南の村からわざわざ?」
おっさんの手をつかんでハウスへと入った。ツリーハウスにしては多きな部屋で、本棚などもあった。
「村で薬が足りなくなって...それで」
「おいおい。薬屋なら一昨日南へ向かったぜ?」
……
「大きな魔物も出て...」
「勇者様御一行が南に向かわれたが?」
……
「まあまあ。いろいろあったんですよ。」
おっさんは睨んでくる。おそらく国王派閥の人間で勇者たちに賛成しているんだろう。
「それで?面白い話っていうのは?」
俺は場をかき乱すべく、話題を変えた。人は自分の話を好むからな。こういう話の振り方には弱い。
「ああ。精霊様の話だな。精霊様の分身霊はな?物に降臨させることができるんだ。例えばこの斧には攻撃的な精霊が宿っているからこんなに強いんだ。」
「命が宿ってなかったら何にでも降臨させられるんですか?」
「ああ。家に宿らせてあったかくしたり逆に涼しくしたり。死人の体を利用して従えさせることもできるが...」
「が?」
「召喚にはコストがいるんだ。」
「コストって?」
「スキルだよ。」
「スキル?!つまりおじさんは技能者なんですか!」
「いや。俺は技能者じゃない。勇者様の一人に魔法使いがいらっしゃるんだが、その方が精霊様から加護を受けてな。精霊を召喚できるそうだ。私の斧もその時にもらった。精霊の神と会話をして知ったらしいぞ。すごいよなぁ。神と会話...」
おっさんは上の方を見てぼんやりとしている。今のうちに出発を……
「魔法使いの勇者の名前は確か...」ピタッ
「隆様という名前だったなー。とても良い方だった。」村を一瞬のうちに火の海にできるのは魔法。
許さない...
「お前。勇者を殺す気か?」
「っっっ!急になにを?」
「私は見逃さなかったぞ!その一瞬の動揺!私がお前を止める!」
そういっておっさんは精霊斧を振りかぶって...
「うわっぶね!あぶねえだろ!」
部屋は精霊斧の衝撃でヒビが入り、今にも壊れそうだ。だが俺はここから出れない。
...まさか。ツリーハウスに誘い込んだのはそのため!こいつ...最初から気づいていたな!
俺は攻撃をよけ続ける。
「勇者様は私が!お守りするのだぁ!」
「っぅうがあああ!」
右腕が切られた。
「ッチ。畜生が!」
すぐに無き腕に魔力を送ると、血がつながり、飛んできてくっついた。
「っな!魔物か貴様!死ね!!死ね!」
先ほどのおっさんとは別人のように豹変した性格は、精霊にも影響しているのか攻撃の速度が上がっている気がする。
このままじゃ終わらない。そう思い、炎魔法を出すべく腕を伸ばす。
「ファイアーボール!」
魔法というのは単純なもので、簡単に無詠唱ができた。っとは言っても魔力を炎の属性に変換する癖で技名を言うのだが...
飛んでいく炎魔法はおっさんを包み込もうとするが、サイズが小さい。
「こんなチャッチイ炎!勇者様なら連射も可能だバカ者!」
簡単に精霊斧に切られてしまった。
だがそんな簡単にいくとも俺は思っていない。
「はぁはぁ、おっさん!最初から私が勇者派じゃないこと知ってただろ!なんで生かした!」
物影に隠れれながらしゃべるが息が切れそうだ。
「選別だよ」
「は?」
「国王のビラを見なかったのか?これから王国では派閥の反対組...つまり反軍の駆除を本格化することが決定したのさ。」
「はぁはぁ。俺は関係ないだろ。」
「いつから私が君を見ていたと思っているんだ」
!まさか。
「私はねぇ。君がヘルスパイダーに追われているのを見てたんだよ。ゴブリンを罠にかけて喜んでいたのも見た。」
「あれはEXP....」
「でも私は見てしまった。片手剣使いの秋吉様と貴様が戦うところを。炎が邪魔で最後まで見れなかったけどね。私はすぐに王国軍にこのことを言った。そしたらびっくり。
君...指名手配されてるよ。」
...え?
「あ、そうそう。名簿から君の母親が見つかったってさ。」
え!「それは...施設の?」
「いや。君を捨てた本人さ。」
「どうやって...」
「そりゃあ勇者を殺そうとした人族を調査するのも仕事でしょうよ。」
「軍はそこまで調べるのは不可能と言っていたのに...」
「君の母親が君になんて言ったと思う?」
……母上
「そんな犯罪者産んだ覚えはない。施設に預けたこともないし教育もしてない。ってさ!」
ぇっ
は……は?
「あ、そうそう。ちなみに君のママは再婚して息子がいるよ。幸せそうだね~。でもお金に困ってるらしくてさ。そんな息子がいるならお金を吐かせるって取り調べで!ほんとにうけるよね!」
……母さん??
俺の中の王国へ向かう目的としては実は二つあった。勇者を訴えることと、母上に会うこと。だがその二つの目標が一瞬で無くなった。代わりに一つ。目標ができた。
「お前?なぜそこまで知っている?なぜ俺に精霊の話をした?お前はなぜここに住んでいる?」
「おっと。死人に口なし。そろそろ死んでもらおう。」
男の足音が鳴り響く。
俺はあの国を
潰す。
シャン♪…………
鈴のような音がした
鐘の音のような気もする。
神秘的な音だ。
「っ!」
それから数秒間。無音だった。本当に何が起きたのかわからない。
後ろを見ると...
男は死んでいた。
半泣きで国を潰すために俺はまた歩き出した。王都についたら母さんに会おう。




