7話 死なない生物は北を目指す
「ラフィー!」
朝日に照らされて俺は目覚めた。俺は確かに首を切断されたはず。喉を抑えて不死になったことを確信した。
周辺から焦げ臭い匂いがしたと思った瞬間我に返った。
すぐさま立ち上がり、神像の前まで走った。
だが焼き焦げた村人たちしかいなかった。その中には炭爺とラフィーらしき死体もあった。
頭が真っ白になる。涙が止まらない。一部の村人には傷もあった。
「はぁはぁ…落ち着け...落ち着け。」
俺は目を瞑り、深呼吸をする。
その瞬間脳内にあの片手剣勇者がみんなを殺す様子を想像してしまい、崩れ落ちた。
俺はいわゆるパニック症状に陥っていた。呼吸しても呼吸しても息が足りず、周りが見えなくなって世界が回って見える。
涙と鼻水と自分の泣き声で自分が悲しくなり、また泣く。
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「あ゛あ゛あ゛らふぃぃ!みんなあああああぁ。…………ぅぅっっっ。」
何時間ほどだろうか。散々泣いて頭の中で決心した。あいつらを潰す。徹底的に。
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俺は旅の準備を進めた。勇者を召喚したのは王都。王都に言ってあいつらから勇者の権限を剥奪してやる。
無言でリュックに物を詰める。王都までの道のりには森があり、歩き続けて一日から二日かかる。
だが勇者を訴えることができるならやってやるさ。どちらにしろ旅はするつもりだったからな。森には魔物が出る。草原にいるスライムより強い下級ゴブリンがいる。下級ゴブリンは炭爺みたいな上位ゴブリンと違って頭が悪い。だがその代わり性欲と支配欲が強く、群れに囲まれたら旅人はやられてしまう。捕まったらペットにされるか殺されるか。女だったら繁殖の糧にされる。それに下級ゴブリンは魔族ではなく魔物だ。魔物は本能のまま動いたりする動物みたいなやつら。だが魔法が使えたり、魔力を持つ。上級ゴブリンのような奴らは魔族と呼ばれていて、魔物の亜種という感じで高度な頭脳を持つ。魔物の派生であるからゆえに人間とはだいぶ違う見た目だ。
村でも被害者が一時期出た。その時はフィンっていうやつが...
...
やばい。涙が出てきた。
俺は涙を拭い、森へ入った。
!下級ゴブリンだ。俺は作っておいた即席罠を設置する。踏んだら挟まって負傷する。それだけだが、ゴブリン程度ならやれるはずだ。
俺は設置した後、リュックからナイフと砥石を出して音を出すとこちらに気が付いた。
「ギ?バギャ!ギャャャャ!」
この断末魔。おそらく罠に引っかかった。
早速どんな獲物かを見ると、身長は140くらいのグリーンゴブリン。細い脚に俺の罠がかかって血が出ている。魔物の特徴の1つとして血液が青いのというのがある。昔、不老不死になれると信じて飲んだ人が寄生虫にやられる事件も起こった。
事件...村...考えたくない。そのための旅だからだ。
そんな中潤む目のに見覚えのない黄色い何かが映った。
EXP+30
と書いてある。.....
って消えた。あれは経験値か?罠ではめただけでまだ殺してないのに。まさか経験値ってその名の通り経験でもらえるのか。勝手に戦いでもらえるものだと思ってた。
視界に非物体なものがあるってのは不思議なもので、楽しくなって3つほど罠を作るとレベルが上がった。
===LEVEL上昇==
レベル1→レベル2
スキル取得-罠作成レベル2
視界の端にレベル2と書かれている。これからは視界の端っこにレベルが表示されるようだ。っていうかレベルが上がったらレベルアップに必要なEXPの数が増えるっぽいな。今罠作ったらEXP+10って減ってる。
うむ。新スキルの詳細が気になるな。気になって作業に集中できてない。
俺は何処を見るでもなくぼんやりと罠作成レベル2という文字をみつめた。シュッと軽い音がしてまるでパソコンのプラウザのように視界に大きくアイコンが表示された。
---罠作成レベル2---
罠の制度が上がり、より大きな罠が作られるようになる。罠の威力も上げられ、設置事故もなかなか起こらなくなる
「まじかよ!」
俺は森の中で一人叫んだ。罠の設置事故とは罠の設置中にミスで自分が引っかかってしまうことだ。これは罠師には稀にあることで、ワンチャン腕ごともってかれる人もいる。落ち着いて設置すれば設置事故なんて起こらないんだが、追われているときや、初心者は設置事故りやすい。
俺もまだ未熟で炭爺から教わっていたからこれはうれしい。
「よっしゃ!」
そして森の深部へと進んだ。深部は大木の森だ。一つ一つの木が直径9mほどの大きさで驚いた。
目指すは北。王都だ。




