15話 冒険者登録?!
冒険者...それは準軍隊のような立ち位置でありながら、旅人でもあるという微妙すぎる職である。だが、魔法や剣術に自信があったり、探索や土地の知識があったりする人間にはなかなか良い職業で稼ぎは悪いが、自由に生きることができる職業である。炭爺も昔冒険者で、白龍の剣というチームで一時期旅していたらしい。その登録をしようとしていたのだが...
「で?こいつはなんだ?リーコンよ?」
身長160cmくらいだが白く長い髭をした怖い老人が俺の目の前に今いる。よく見たら左顔に何かに引っかかれた古傷がある。
典型的なヤクザだ。
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「なるほどなぁ。魔石の異常反応。予言のこともある...よし。
ああ。なんだ?アレイと言ったか。お前にはテストを受けてもらう。」
「て...テストですか?」
正直テストに自信はない。以前炭爺に魔法分野と算術のテストをやらされたが結果は見るに堪えないものだった。
「って言ってもうちの組に今欲しいのは戦える若いのだ。実技テストで行かせてもらう。」
実技テスト...戦うってことは魔法のテストってことか俺初級中の初級魔法ファイアーボールしかできないよ。
「確か近山にドラゴンが出没したという噂を聞いた。」
シロドラのことだ。軍や冒険者を募って討伐隊を作っている記事を見た。
そういえばシロドラと俺のことを目撃した人が通報して俺の懸賞金が上がってきている。そろそろ寝込みを襲われていてもおかしくない。
「単刀直入にいう。そのドラゴンを討伐隊と共に討伐し、その首をもってきて欲しい。」
「...!いいですよ。」
俺には策があった。
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流石の俺でも手懐けたシロドラを殺すようなことはしない。逆だ。シロドラに肩を貸す。そして全面的に国と対立。あとはレベル上げに遠征に行っている勇者が帰ってきて復習。
そういうわけだ。
っということで冒険者ギルドに来た。冒険者ギルドでギルド登録さえしてしまえば討伐隊に参加できる。
ってことで登録登録ー。
「すいません。ギルド登録に来ました。」
ギルドのフロントさんは巨乳だ。各国冒険者ギルドのフロントは巨乳でないといけないという変態的暗黙の了解だ。
「はい!かしこまりました。まずはプロフィールカードという身分証のようなものを作ります。こちらの魔石に翳してください。」
プロフィールカードは全国で使える身分証のようなものだ。俺のように親に捨てられても冒険者ギルドでこのプロフィールカードを使えば基本的に金が稼げる。
手のひらサイズの青い魔石に手を付けると目の前にカードが出てきた。
名前-アンド
剣技量-10.5
魔力量-??????
「...」
あれ?お姉さん?俺のカード見て固まってますけど?
「え?あの?
...きゃああああ誰かああ!」
そうか!名前!しくじった!
「ええいままよ!」
俺はカードを引ったくり、きちんと準備しておいたお金を置いて飛び出した。登録はできたんだ。これさえあればこっちのもんだ!
後ろから大人が追いかけてくる。そしてその後ろにはまっすぐ空に赤色の光が上がっている。おそらくあれは通報魔法。杖があればだれでも出せる。
「クッソ。空兵隊か。」空には小さなドラゴンや空飛ぶ馬に乗った兵隊が旋回しだした。
「いたぞ!あそこだ!」
兵士の声が空から聞こえた。もう見つかったのか。
俺は狭い通路に逃げ込む。全速力で逃げるが上から見られている。
ファイアーボール!
ファイアーボール!
ファイアーボール!
無意味か。
地上戦は無駄だと悟り、俺は地下井戸に飛び込んだ。幸い水が溜まっていて落下死はしなかった。
井戸から這い出て休憩していると、また見つかった。やはり上だ。毎度上から見つかる。やってみるか。俺は何度も同じ団地をくるくると回り逃げた。
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「動くな!キサマは包囲されている!」
全員が杖持ち。詠唱もしている。俺が逃げたところで意味はないだろう。じりじりと追いつめられ、壁に追いつめられる。
俺は思った。
勝った。
「なにを笑っている!計画的反逆罪でアレイを逮捕グはぁ!」
掛かった!俺は同じ団地をくるくると回ってそこら中に簡易罠を仕掛けまわっていた。そしてここ周辺は罠だらけだ。
「キサマ!罠...だと?皆!動くな!罠だ!罠があるぞ。だが落ち着いて地面を見れば所詮は罠だ。落ち着いて近づけ。」
あ。こいつわかってないな。俺の--罠レベル10--を。毎日寝る前に罠を仕掛ける練習を繰り替えしたらここまでレベルが上がった。
そしてここまでレベルが上がると、罠を投げて設置ができるようになる。そして罠は基本見えない。
「グギャァァァ!」
威力も上がっていて指が何本か折れる。変な方向に折れるから治る確率は低い。
「動かない方がいいよ。後悔するから。」
「うるさい!
騎士である我の力を闇へ!魂は天へ。肉体は地に還元せよ。そして世の理を読み解き、罪深き者に粛清を!今一度我が魔力に応えよ!
召喚魔法!
雲天雷聖!!」
騎士団の召喚魔法か。だがその獣の召喚位置!
「ガオォォ。ギァァァァ!」
出オチっすね。
「ファイアーボール!」
「騎士である我の力を読み解き防御....ギャァァ!」
魔法のレパートリーについてはマジで考え物だな。
「落ち着け騎士団!あいつは弱魔法しか使えないっぽいぞ?消し飛ばせ!」
遠距離なら勝てることがバレたか。
痛いけど仕方がない。
「ファイアーボール」
「んなぁ?!あいつ自分に向かって炎魔法を!」
熱い。痛い。でもこれなら。
「お...おい。あいつこっちに走ってくるぞ?逃げロォアガァャ罠...カァ。」
逃げたら見えない罠にかかる。でも止まってたら燃やされる。でも...
「騎士団を舐めるな!デュアルソード!」
俺の腕が空高く飛び上がったと思ったら両手がなくなっていた。デュアルソードとかいう技。何の誤魔化しでもないシンプルな剣技だ。
魔力は心臓から血液を流れて放つ。だから最も強力な魔法は手ではなく舌からの一撃。なぜそうしないかかというと、口内で魔法を発動すると、スペース不足で顎が外れてしまい、最悪の場合死ぬからだ。これは魔法を使うときに気を付けなければならないことの一つだ。
だが俺は不死身。
「ファイアーボール。」
「な...なにぃ!口内に炎だとぉ?!死ぬぞお前。」
案の定火傷だ。いや。溶けだしている。だがしかし!
「うおおおお!」
口を口笛を吹く形にして鼻で吸った空気を口から吐く。そうすることで火を吐くことができる!
「あ...あいつ火を吐いているぞ!さては魔物か!」
俺は火のバリケードを作り、一番弱そうな奴の喉にナイフを突き立てた。もちろん手がないのでナイフは咥えている。炎で持ち手が溶けて、内部の鉄が露出。唇に高温の鉄が触れてて死ぬほど痛い。
「た...タイチョー!助けてくだせうえぇ。」
「動くなよ。こいつの喉にナイフが刺さるぞ。」
そのまま人質の背中に隠れて俺はナイフを突き立てたまま自分の罠にわざとかかった。
もちろん俺は大量出血で命を落とした。




