14話 死なない生物はヤクザと会う
「なるほどね。話は分かった。お前は杖を買うために金が欲しいんだな?今は大体25キンカか...上物の杖は確かにそれじゃ買えねえなあ。」低く、怖い声でリーコンさんは聞いてくる。
「そうです」「なあおめえ?家がないんだろ?うちに所属しろよ。」
「え?どういうことです?」「お前一目見てわかった。異質。とんでもなく異質な魔力だ。正直にいっちまうと今水ノ柱組は人手不足なんだ。それに杖に関してもこちらで何とかできる。」
「私は子供ですよ?組って会社ですよね...無理ですよ。」
「できるさ!お前の魔力は一目見ただけで直感でわかる。」
実は優しい人なのかな。
「でも僕ファイアーボールしか撃てないですよ。回復魔法もできないですし...役に立つとは思いません。」
「こちらで何とかできる。それに金。ないんだろ?働くってことは給料も出る。日給ドウカ数十枚だ。」
それはうれしい。だが...
「でも。それじゃ悪いです。そんなに良くしてもらっちゃ...
「ちょっとこっち来な。」
?リーコンさんが急にまじめな顔になり耳元にささやいてきた。
「あのな。お前。指名手配されてんぞ?」
あっ。忘れていたわけではない。最初は捕まると思ってコソコソしていたが、門番や警備兵に顔を見られても全然反応されなかった。
「アレン。その名前他に出してないよな?」
「え。はい。出してません。」
「これまで捕まらなかったのは、指名手配書に写真が載ってないから大丈夫だっただけだ。」
指名手配。そういえば森のおっさんがそんなこと言ってた気がする。「なるほど。で?僕を通報して懸賞金ガッポリとか?」
俺の懸賞金がいくらかはわからない。実際高くあってほしい。まあ高かったら狙われる確率も高くなるが、自分の値段だ。誰もが安い値段は嫌だろう。それになんかかっこいいじゃん?
「いや。別にお前をどこかへ売るつもりはないさ。だけどな?この水ノ柱組に所属してこの羽織を着ていれば通報もされにくいってだけだ。」
羽織...水ノ柱組の羽織は水色を基調とし、濃い青色のジグザグした模様に「水」っと大きな文字が書いてある。それにしても怪しい。おっさんの件もある。ここは慎重になったほうがよさそうだ。忘れるな俺ここは王都、一様敵の本拠地だと考えていい場所だ。「そういえば俺の魔力が異質って?どうやってわかった?」
「玄関に魔石があっただろ?あれ魔力のセンサーみたいな役割でな。他組の襲撃対策に置いてて、普通は無色か得意属性の色に光る。だがおめえのときは黒色だった。俺も初めて見たぜぇ。黒色なんて異質中の異質。俺が見込んで言っているんだ。お前はデカい玉になるぜぇ。」
筋肉の塊のようなおっさんだが、意外と饒舌だな。信頼は......
「お断りさせていただきます。ではっ。」
俺は逃げるように飛び出した。
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「はぁやっちまったな。」俺はあのあと水ノ柱組の組宿から逃げた後宿へと向かった。新しく、信頼できる宿だ。ドウカ5枚と先日のヨーヨー宿とは2ドウカの違いだが、まあ十分な違いだ。
「ようこそいらっしゃいました。冒険宿屋ティラスへようこそ。私ライブと申します。」
20歳くらい...いや耳の形がとがっているのを見るとおそらくエルフ族だ。エルフ族...炭爺が昔冒険者だった時にお世話になったことがある種族らしい。ちなみに炭爺が若い頃はどんな女もベッドの上では負けなかったらしい。エルフ以外なら...
どんなにドエロイと思ったら個人差があるのか、おっぱいはそんなにデカくなかった。
「ああ。私はアレイと申します。はいドウカ5枚」 「丁度ですね。お湯は追加料金ドウカ1枚。朝食は2枚です。あっそうそう。この宿冒険者が多いからトラブルにならないように...ね」
色気たっぷりな声だが残念だったな。俺は声の人じゃないのだ。
部屋に入って換気をした後、ベッドに入ると疲れて眠ってしまった。
「おいなんだて...ぇ!...お...はぁ?」
大きな怒鳴り声がしてはっと目を覚ました。眠ってしまったことに驚きつつも周辺を見渡す。泥棒ではないようだ。泥棒なら大声は出さないか。
大声が聞こえた窓の外に目をやると、大きな男が剣や弓など、街中ではあまり見かけなかった装備を持つ人に絡まれているのが見えた。あんな装備を持つのは冒険者だ。だが絡む相手を間違えてないか?どう見ても体格差があるだろう。だが大男は何も武器を持ってなく、魔法使いって感じでもない。まさかやられるんじゃ...
見殺しも気分悪いし、人助けだと思ってファイアーボールで加勢しようかと考えていたらチンピラが動いた。
「おい?おめえ口ねえのか?こっちは聞いてんだよ。金あんのかないのか。それだけを聞いてんの。」 「むう?」大男は動かない。「切るか...」その一言が微かに聞こえたと思ったら剣を振っていた。早い!
==ステータス==
HP-105
攻撃力-25
防御力-50
素早さ-25
魔力-????
俺の速さはこれくらいでおそらくあいつの素早さは軽く40は行ってる。ステータスの能力が無いから知らないだろうが、剣を振る速さがあそこまで早いのはとてもすごいことだ。
俺の興味は大男から速抜刀の冒険者にすぐに移った。だが、大男は並みの人間じゃなかった。
「...っえぇ?」
剣は確かに速かった。もちろん男の腕にその刃は入った。だが通常そのまま通っていく肉が固すぎたのだ。刃は皮...いや少しは肉に触れたほどしか入らず、大男がその腕に力を入れた瞬間刃は抜け傷口は何もなかったかのように閉じた。回復したわけではない。
「ち...調子に乗るな!おいみんな!連携だ!」
「むう。」
三人の冒険者たちが連携をとりだした。暗い冒険者街に殺意が漂う。「マイクは弓でサポート!サリーは付与魔法の後目くらましの炎魔法を食らわせろ!」
どうやらあの剣の男は柄に合わないリーダー役らしい。
「む...むう」大男は相変わらず攻撃しない。金は持ってることを確信しているらしい。ってかしつこいな。
「おい!マルク!ちゃんと狙って当てろ!めっちゃ外してるぞ!ポンコツがァ!おい!サリー!遅いぞ!」
「わかってるよ。今やるって。汝世界を創造した四元魔素の一つ。炎に命ずる。我が魔力を生贄に其方の力を宿したまえ!」
付与-火炎剣!
一方そのころ弓のマルクとやらが額に放った矢は簡単に弾かれてしまい半泣きでナイフを投げつけていた。付与魔法の攻撃も詠唱に時間がかかってしまっている。
「む...はぁ。」
む?一瞬でおっさんから強い魔力を感知した。あれ...あの人って?
「リーコンさん?!」俺は驚きを隠せずに声を出してしまった。しまった!
「ム?誰だ?」
俺は咄嗟に窓から離れた。だが答えたってことは確定。あの人はりーコン。水ノ柱組の人だ。俺は窓の端から顔を半分出してこそこそと見た。
「盗賊ども。頭からは早う戻ってこいって言われとるがな。早う解放してくれ。」
「今更なにおう。隙あり!」冒険者...まあ盗賊は切りかかるが全く効いてない。「もういい。終わらせる。」
リーコンさんが急に構えだした。何をする気だ?
「水ノ死喜刀 壱の型 潔水...」
何かとんでもな一撃かと思えば、技には魔力をほとんど感じなかった。周辺魔力に少し変化が起きただけ。...
「かっっ...ハア」
っと思ったら盗賊がぶっ倒れた。一体全体どうなってんだと言いたいところだが本当に苦しそうにしている。
「おぇええ」何か吐くと思ったら、3人同時にキレイな水を吐いた。まさか胃に魔力を...いやそれは不可能。炭爺が言ってた。あらゆる生物には魔力のフィルターみたいのが自動でかかっててその内側つまり臓器などの内部に魔法を生成するのは不可能って...
「どうなってんだ?」
俺はもう身を乗り出して見ていた。リーコンさんも俺には気が付いているようで、「おう!アレイ!降りて来いよ!組長に紹介したいんだ!」「組長...?」
ってかあの人酔ってるな。




