10話 死なない生物は奴隷を見る
さて。王国での買い物だ。俺は今回。奴隷を買う。
奴隷を買うということは家を買うことと同じで、とても大変だ。食費、衣服代、医療費、使い方によってはもっとお金がかかる。俺の場合はもっとそうだ。性奴隷ならまだ金はかからない。ってか服の金が必要ないからな。だが俺が求めているのは戦闘奴隷だ。
戦闘奴隷を探すなら奴隷ショップイケイル。
そんなチラシを頼りについたのがこのサーカスだ。うん。どう考えても奴隷を扱ってはないね。
奴隷ショップはもっとじめじめしてるイメージなのに、普通に獣系魔物を従えてサーカスしてる...
「あの。ここで奴隷を扱っていると聞いたんですが。ほんとに奴隷扱ってますか?」
「へい?ン?客かと思えばガキじゃねえか。帰れ帰れ。知らないのか?15歳未満の平民は奴隷を扱えない法が昨年できたんだ。だから無駄だぞ?」
適当にあしらうつもりだな?こちとら村総出の資金力だ。なめんなよ。
「これで何とか」
そういってギンカを数枚渡す。「いやそんな...」「これはあなた個人の収入です。ほら財布に入れて。苦しい商売ですもんね」「あ...ああ」
なぜギンカを使ったかというとこれからもここは利用する可能性があるからだ。先行投資ってやつだな。
「さて。奴隷を売ってくれ。戦える奴がいい。あまり深く考えるなよ。俺は太客だぞ?」
威張り口調で入ってガキっぽさを演出。完璧だ。
死ぬ思いをしたガキとそうでないガキの違いは半端じゃねえぜ。
「お客様。私の名前はグロス。奴隷商人でこのサーカス団体に勤めさせてもらってます。」
「アレイだ。よろしく」
「よろしくお願いしますアレイ様。ところで今回はどのような商品をご所望で?」
不気味な笑みを浮かべるこのグロスとかいう人間。丸々ってほどではないがそこそこ太った体型。短く太い脚。だが新スキル魔力探知でわかる。こいつだけ周りより魔力が強い。
「ちなみにお予算の方は…?」
「キンカ1枚までなら出せる。戦闘奴隷が欲しいんだが、ならべく戦えて金のかからない...計算ができるやつはいるか?」
「お客まぁそれは無理難題すぎますぜい。」
「そうなのか?足し算だけでいいんだけど。」
「教育を受けられる金持ちは奴隷にはなりやせんよ...」
なるほど。この国の教育は金がかかるから文字すら書けないやつが多いんだな。
ちなみに俺は炭爺に全部習った。
「わかった。じゃあ一番強いやつを見せてくれ。」
「わかりやした。」
男とテントの中へ入っていく。テントは表面はと赤を基調とし、黄色のデコレーション。さらに緑色に光る鉱石の粉末をつけていてすごくチャラチャラしてる。
だが中は薄気味悪く、臭く、そして殺意が飛んでくる。奴隷の世界は表のカラフルとは程遠い世界だ。
そのうち性奴隷と戦闘奴隷のケージの分岐点があった。
「こちらのフルボロスがうちで最も強い魔獣でございます。」
フルボロスという魔獣は牛のような見た目で二足歩行。全身がムキムキなやつ。ん?
魔獣?
「おい。人間じゃないぞどう見ても理性がない。ここは奴隷屋だろ?」
「落ち着いて下せえ。どっちでもあんまり変わらないでやんすよ。お客さん。契約獣の制度を利用したんでやんすよ。」
契約獣?契約獣は人間以外の生物と魔力勝負を行って勝った方が結べる。魔力勝負には特殊な魔法がいるらしい。契約だよな...
奴隷は命令を拒めないが、契約獣はいわば友達なので命令を拒める。だが圧倒的に勝利すればより強い契約になり、命令も拒めなくなる...
まさか!
「外道め。」
「はは。」
こいつら魔獣などに複数相手で魔力勝負を挑んで無理やり下僕レベルまで強力な魔物を下げたのか。
……
いいね。
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「こいつはいくらだ?」
「キンカ10枚でやんす。」
「はぁ?!売る気ねぇだろ!せめて5枚だ!」
「まあいざというときの用心棒ということもありまして...六枚が限界でやんす!」
なるほどな。
「じゃあ次に一番安いやt...
その瞬間俺の背後で強い魔力反応を検知した。多くの奴隷たちがパニックになり暴れている。シンプルに魔力探知を持ってるわけではなくて野生の感だと思う。
「な...なんでやんすか!急に商品が!アレイ様。申し訳ないんですが少々お待ちを」
「待った。」「ヘイ?」
「あっちを見てきてくれ。」
そう言って強い魔力の方向を指さした。
...
「いやお客さん。商品が多いのはあちらなので私は...」
そう言って性奴隷の方へ走っていった。クズ...いや仕事か。
俺は強い魔力を感じる方向へ歩いて行った。
テントの布を開けると、サーカス会場があった。ってかサーカスの選手入口じゃねえか。
っ!
一目でわかる。やばいやつや。
サーカスの天井で飛んでいたその生物は、白い毛並みだが、強靭な歯を持ち、ブレスをはいてきそうで、そのきれいな毛並みとは似合わない悪魔的なツバサを持っていた。
そう。ドラゴンだ。
会場はもちろんパニック状態になっていて、観客は暴れ逃げ、調教師らしき人も道具を振り回してなだめようとしている。
「落ち着け!落ち着くのだ!シオニルド・ドラゴ!落ち着かないなら!こうだ!」
そう言って鞭のようなものを振りかざした。
正直気に入らない。奴隷は奴隷殷と言って逆らえない呪いがかけられる。主に逆らうと呪いが暴発して激痛が体に走るようになっている。だが契約獣はそれができない。おそらくあの魔物は無理やり契約獣にされてサーカスをやらされるんだろう。
「社長!もうあきらめましょう!ドラゴのやつ。ブレスを吐くつもりです。危険です!一度去りましょう!」部下らしきまともなやつがまともな提案をするが...
「黙れぇ!あのドラゴはキンカ350枚で買った大物だぞ!そう簡単に諦められるか!放せぇえ!......」
観客と従業員の避難は終わったようだ。
「キュゥォゥウウ」
昔炭爺に聞いたことがある。ドラゴンが高い声を出すとき、周辺を火の海へと変えると。
やるか...
「お客さん!危ないでやんすよぉ。あのドラゴンもう戦闘態勢です!今軍が到着する予定らしいのでもう逃げましょう!」
「あ。店員さん。いいところに」
「へい?」
「あれに決めます」
そう言って暴れるドラゴンを指さした。
「へい?」




