言われたことが出来た子
どうも。
やる気と勢いだけで書いた私の初めての作品なのでだいぶ意味が分からないと思います。覚悟してください………できましたか?それでは、どうぞ。
僕は小さい頃から言われたことが完璧にこなせた。泣かずに幼稚園にかようように言われれば、そうしたし、小学校に通うようになって、テストで全教科100点を取るように言われたりもした。当然僕は失敗しなかった。そんな僕を見て親は「なんでも出来るすごい子」と言った。しかしある日から僕は「何もできない子」になった。
その日は僕が小学校6年生の夏休みの頃にやってきた。父が出張で遠くに出かけており、家には僕と母だけだった。そんな時、めずらしく母が熱を出した。母はしんどそうだったが、僕に笑って「腰も痛いから病院に行くついでにレントゲンも撮ってもらうわ」と言った。母が何か僕に言うのを待った。母が病院に行く時、玄関で「あなたはなんでも出来るから大丈夫だと思うけど、色々頼んだわよ。」と言って家を出た。僕は混乱した。色々が何を指すのか理解できなかった。僕は何もしなかった。色々以外のことを僕がしてしまうと間違いになると思ったからだ。僕は母の言いつけを守るために、母のために何もしなかったのだ。母は病院に行ったきり丸1日帰ってこなかった。1日誰も家に居ないのは初めてだった。その間僕は母を見送った玄関でずっと立ち尽くしていた。電話が何回かなっていたが1歩も動かなかった。本当の意味で呼吸しかしていなかった。当然お腹も空いていたし、喉もかわいた。ずっとたっているのもしんどかった。寝ていないのだから、途中眠たくもなった。
母が帰ってきた頃には僕は限界だった。そんな僕を見て、母は焦りと不安と心配が入り混じった顔を険しくした。母は心配したと同時に気味悪がった。本当に何もしなかったからだ。理解できないという様子だった。母に言われて風呂に入り、ご飯を食べ、水を飲み、睡眠を取り、次の日の朝になった。そして母と話し合った。母がいない間、僕が何をしていたのか、なぜ何もしていなかったのか、どういうつもりなのか、など聞かれたことに僕は淡々と答えた。「色々」が分からなかったと話した。母は僕のことを更に気味悪がったようだった。何をすれば良いのか分からなかったから何もしなかったことも説明した。その時、母がレントゲンで肺にがんが見つかったことも知った。幸い早期に発見されたためその場で手術して命に関わることにはならなかったそうだ。そのため帰るのが次の日になったと教えてくれた。
母は最後になにか奇妙なものでも見るような眼差しで僕に聞いた。
「あなたは人間か」
と。
僕は答えることが出来なかった。ずっと黙っていた。その答えが分からないからだ。そこから僕はまた何もしなくなった。ご飯も食べないし、水も飲まない。風呂に入らないし、睡眠も取らない。ずっと考えていた。父も帰ってきていたらしいが、いつ帰ってきたのかももう分からない。父は僕になにか叫んでいた。うるさいとしか感じなかった。僕を悩ませた、「自分は人間か」という問題は僕にとってそれほど難しい問題だったのだ。
最初はもちろん「人間だ」と言おうとした。でもその時ふと学校でのクラスメイト達の姿を思い出した。彼らは一人一人まったく違うが、共通していることがあった。彼らは感情や欲求を持っていたのだ。僕はそれが人間である条件だと思った。しかし僕には物心着いた時からそれらがなかった。だから僕は自分が人間ではないようにも思えた。一方、僕が母の体から生まれたのも事実だ。ここで僕は僕が何であるのか分からなくなったので、ひとまず人間でないのだとしたら、一体何になるのだろうと考えた。答えは案外すぐに出た。「ロボット」だ。言われたことはきちんとするが人間のような感情がなく、応用をきかせることができないという特徴は僕にそっくりだと思った。そうやって考えているうちに僕は長い期間家に父と母がいないことに気がついた。家はいつしかとても汚く薄暗くなっていた。僕が母と話し合った時に座っていた椅子が視界に入った。父と母が僕をどうにかしようとして、動かない僕を力ずくで動かしたのだろう。見渡す限り、家から僕のもの以外は無くなっていた。僕を養子に出さなかったのだろうか?とその時は思ったが引き取り手が見つからなかったことがボロボロになっていた固定電話で分かった。その時僕は僕が親に捨てられたと分かった。僕は母が僕にした質問について考えるのをすでにやめていた。初めて自分で家の中を歩き回った。僕はそうやって歩いているうちに僕がもうすぐ死ぬと分かった。歩くのはとてもしんどかった。そのままその場で死んでしまってもいいと思ったが、なぜか直感的に僕は自分の部屋に来た。ほこりを被っているが、綺麗に並べられたいくつものトロフィーと賞状を見ながら、僕は自分の人生で何を成し遂げたかを振り返った。何も思い出せなかった。きっと何もできなかったのだろう。白くなり、ガリガリにやせ細った自分の手を見てそう思った。
気付くと僕は初めて涙を流していた。
とても驚いた。しかし驚きは悲しみに押しつぶされたようだ。元々鮮明ではなかった視界は更にぼやけた。その場に膝を着いて、うずくまって泣いた。涙は溢れて止まらなかった。しかし僕の心臓は止まりかけていた。そろそろ限界だと悟った。僕は死ぬ瞬間、小さく掠れた声で、今までで一番心を込めてこう言った。
「人間だ」と。
どうでしたか?
まだまだ荒削りな点が多いと思いますが、最後まで読んでいただきありがとうございます。私は主にこういう短編作品を考えるのが好きで、これからも投稿していくつもりです。今後の励みになるので、感想お待ちしております。それでは皆さんおやすみなさい。