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乙女ゲームのSM事情

悪役令嬢の取り巻きは、とても病みやすい

こちらの作品は、「悪役令嬢とか関係なく、とにかく一位になりたい!」の続編です。

前作を見れば、より一層楽しんでいただけると思います。

それから、こちらのシリーズの名前を「強い女と強い女が一歩も引かない話」→「乙女ゲームのSM事情」に変更しました。



「貴方を、監禁することにしたの」


可憐な令嬢から衝撃的な一言を言われて、男は‥‥‥何故だか顔を赤らめた。





──数年前




男と可憐な令嬢の関係は、数年前に結ばれた。


男の名をパラクランという。彼の生家、フォール家は元々商人として財を成していた。

そして、商売が大成功すると、その財力で領地を獲得し、念願の貴族となった、所謂成金だ。

そのため、貴族社会の中で成金貴族として大層馬鹿にされた過去があった。それを憂いたフォール男爵が次に求めたものが、伝統だ。

古くから貴族として、その名を轟かせた由緒正しい家柄。それは、フォール家が逆立ちしたって手に入らない栄光であった。そこで、フォール男爵が思いついた方法が、子供を伝統ある貴族と結婚させる事であった。

フォール家の跡取りとして、長男を婿に出すことは出来ない。だが、フォール家には幸い次男がいた。次男であるパラクランを婿養子に入らせることで、由緒正しい貴族との繋がりを求めたのである。そして、パラクランの相手として白羽の矢が立ったのが、ニル家の長女コルテであった。

ニル家は、フォール男爵が求めていた通りの由緒正しい家柄の伯爵であった。コルテ以外の子供が居らず、跡取りを探していたことも都合が良かった。更に、現ニル伯爵夫人がとんでもない浪費家で、湯水の様に金を使い込むため、金に困っていた。

その情報を何処かから聞きつけたフォール男爵が、金の工面をする代わりに持ちかけた話が、二人が婚約する、きっかけとなった。

そこに二人の感情は一切入っていない‥‥‥はずであった。


ここで、ちょっとした誤算があったとすれば、政略結婚であるはずの相手をもう一方が本気で好きになった事だろう‥‥‥いや、好きになりすぎてしまった事だろう。


初めて二人が会った日、コルテはパラクランを一目見た瞬間好きになってしまったのである。それは正に青天の霹靂であった。

しかし、一方のパラクランはといえば、コルテに対して綺麗だとは感じたが、政略結婚と思うと如何にも好意を持てずにいた。

この気持ちの差が、コルテを歪んだ性格にしてしまった。


コルテの異常さは、直ぐにわかることとなる。二人が婚約発表してから初めてのお茶会で、パラクランは様々なご令嬢に挨拶をした。それに下心なんてものは微塵も無かったし、形式的な挨拶だとコルテもわかっているはずであった。

しかし、その帰り道の馬車の中で、事件は起こった。

そう、あれは事件と呼ぶに相応しい。

二人きりで会話もせず、窓の外を眺めていた時である。迎えに座っていたコルテが、突然、パラクランの隣へ移動してきたのである。そして、徐に膝の上へ乗ったではないか。

婚約してから初めての触れ合いに、パラクランは大いに興奮した。そりゃあもう、ドキドキである。

しかし、それは束の間の平和であった。


「パラクラン、どうして貴方は、私以外の方とお話しするの?」

「えっ? 何でって、そりゃあ貴族として挨拶は重要だろう」

「どうして?」

「どうしてって‥‥‥?」


どうしてと言われても、困る。だって、挨拶するのことは、貴族として以前に人として当たり前のことだ。そこに婚約者の有無は関係ない。

それこそどうして、責めるような言い方をされなければならないのか。理解できないパラクランは暫しの間、返答に困った。

それがいけなかった。

困ったパラクランの顔を見て、コルテは良くない方向に勘違いしたのだろう。瞬きした後には、顔から無駄な表情を削ぎ落としたように、無表情になってしまった。

そして、次の瞬間にパラクランの首は、幼子とは思えないほどの力で、絞められていた。


もう一度言う、パラクランは首を絞められたのだ。


「パラクラン、貴方は、私とだけお話ししていればいいの。他の人なんて、気にしないで」


何を言っているんだ、この令嬢は?


もう正直に言って、パラクランの頭は大パニックである。そもそも、なんで首を絞められているのかが、わからない。

その後、首を絞められて真っ白になった頭で、どんな会話をして、どうやって帰ってきたのかは覚えていないが、家に帰ってきて鏡に写る己の首にくっきりと手形が付いていたことだけは、いつまでも忘れないことだろう。

当時八歳の子供には、少々刺激が強すぎた。

それから、パラクランは、徹底的にコルテを避けるようになった。父親にも、首を絞められたことは話したが、慰められただけで特に対策は取ってくれなかった。当然、婚約破棄も出来ず、パラクランに残された道は、二人きりにならないようにすることしかなかった。この頃から、パラクランのコルテに対する思いは、無関心から嫌悪に明確に変わった。

元々、S気質のパラクランとヤンデレ属性のコルテは、相性が最悪であったのだ。


そしてそれは、学園に入学してからも変わらなかった。


コルテの厄介なところは、外面が良いところである。パラクランと二人きりになれば、暗い顔で抱きしめてきて、私だけの物にしてしまいたいなどと怖いことを言ってくるが、他の人がいる、例えばクラスにいる時などは、その表情を片時も見せなかった。

寧ろ、誰とでも仲良くなれるような明るい性格であった。オレンジ色の太陽のような髪を馬の尾のように、まとめ上げた姿は美しく、慕っている者は山のようにいた。そのため、パラクランは、コルテの様な婚約者がいて幸せ者だと皆に言われた。

その度にパラクランは、本当の事をぶちまけたい衝動に駆られたが、今後のことを考えて必死に我慢した。

だが、婚約者が褒められるたびにパラクランのストレスはどんどんと溜まり、遂に爆発寸前となった時、ある女性と出会ったのだ。


Sの女王‥‥‥リーナである。


リーナは他の人とは違い、コルテの話をパラクランの前では一切しなかった。それどころか、完璧な令嬢が婚約者で大変そうだとまで言ってくれたのだ。

余談だが、これはリーナが相手を堕とす時に使う常套句である。相手の悩みを見抜き、共感する、堕とすには、これが一番手っ取り早いのだ。しかし、それを知らないパラクランは、なし崩しでリーナに堕ちていった。

そして、性癖を曲げに曲げられ歪められ、見事立派なドMになったのであった。

その後は、知っての通り、リーナの取り巻きのひとりとして、マリオネットたちと衝突した。コルテがマリオネットの取り巻きになっており、更に外面を気にする彼女がリーナに向かってきつい言葉を発することには非常に驚いたが、それだけで特に興味も持たなかった。

マリオネットの取り巻きとなった頃から、コルテがパラクランに干渉することも徐々に減っていった。そのせいで、パラクランの頭からコルテの存在はどんどんと薄れていったのだ。



───────────────────




パラクランがリーナの取り巻きとなって暫く経った頃、コルテはマリオネットから取り巻きとしてスカウトされた。以前からマリオネットと話してみたいと思っていたコルテは、直ぐに承諾の返事を返した。ただし、条件付きで。


マリオネットに出した条件はこうだ、一度二人きりでお茶をしたい。それだけ。だが、コルテにとっては大切なことであった。

マリオネットは、拍子抜けしながらも承諾し、二人の取引は成立した。その後直ぐに、お茶の席が設けられて、コルテの願いは叶ったのである。マリオネットの私室で開かれた、そのお茶会はよほど大きな声を出さなければ、他人に聞かれる心配がなさそうで、コルテは酷く安心した。


「マリオネット様、今日はお招き頂きありがとうございます」

「いいんですわ。私にも益があってのことですから。それより、何か話したいのではなくって?」

「‥‥‥いえ、ただ、マリオネット様と一度二人きりでお茶がしたかっただけです」

「まぁ、貴方がそれで良いなら、私は一向に構いませんわ。でも、この私と二人きりでお茶をする機会なんて、この先、永遠に無いかもしれませんわよ。その貴重な時間を貴方には、有意義に使って欲しいですわ」


それだけ言うと、マリオネットは紅茶を飲み何も話さなくなった。コルテから話を振るまで、話さない気だろう。それを悟ったコルテは、勇気を出して聞いてみることにした。

マリオネットの言う通り、こんな機会は、もう訪れないかもしれないのだ。


「あの、マリオネット様」

「なんですの?」

「私、ずっと聞きたかったのです。その‥‥‥あの、マリオネット様はどうやって王太子殿下の御心を繋ぎ止めているのですか?」

「嗚呼、確か、パラクラン様とあまり上手くいっていないのでしたわよね」

「‥‥‥えぇ、お恥ずかしながら」

「別に恥ずかしがることありませんわ。政略結婚ですもの。そういうことも、珍しくありませんわ」

「でも、マリオネット様は違いますよね?」


マリオネットとリカンドは、国でも有名なおしどりカップルであった。それを聞いて、コルテは秘訣を聞きたいとずっと思っていたのだ。


「そうですわね。でも、私だって、何もせずに仲を深めたわけではありませんわ」

「どうやって! どうやって、あれ程までに虜にしたのですか!」


興奮のあまり、コルテは思わず立ち上がる。


「落ち着きになって」

「あっ、申し訳ございません」

「秘訣なら簡単ですわ‥‥‥相手の望む姿になること。それが、円満の秘訣ですわ」

「望む姿?」

「えぇ、そうですわ。恋愛において、相手のタイプを知り、そのタイプになりきることは好いてもらう為に一番重要なことですわ。コルテ、貴方は一度でも、パラクラン様の理想になろうと努力しましたか?」

「私は‥‥‥」


していない。

いつだって、気に入らないことがあれば、パラクランを責めてしまっていた。それは学園に入ってからも変わらず、二人きりになれば束縛する様なことばかり言っていた。

自由を望むパラクランが、束縛を嫌っていることを、本当はコルテだってわかっているのだ。それでも、やめられなかった。


「どうやら、改善の余地がありそうですわね」

「はい、ありがとうございます、マリオネット様。私、頑張ってみます」

「‥‥‥頑張るのは、良いことだと思いますわ。でも、コルテ、これだけは覚えておきなさい。希望に沿う事と言いなりになる事は、全く別の事象ですわよ。私の(なかま)となる方が、婚約者に言いなりなんて情けない姿を晒さぬ様にね」

「は、はい。わかりました。肝に銘じます」

「ふふっ‥‥‥上手くなさいよ」


この茶会をきっかけに、コルテの我慢の日々が始まった。パラクランが、誰か他の令嬢と仲良くしていても、束縛する様なことを言わないようにしたのだ。でも、二人きりになると我慢が効かなくなりそうだから、コルテはパラクランを出来るだけ視界に入れない様に努めた。

実は、外面を気にするコルテが、マリオネットの取り巻きになった瞬間、人前でもリーナを罵倒する様になったのは、我慢によるストレスのせいであったりした。だが、そのことを知らないパラクランは、大層驚いたことだろう。



我慢をして暫く経った頃、コルテは偶々、パラクランとリーナが二人きりでいる場面に出くわしてしまった。直ぐにその場を立ち去ろうとしたが、無情にもコルテの耳には、パラクランのとんでもない一言が入ってきてしまった。


──リーナが、婚約者ならよかったのに。


プツンと何が弾ける様な音がした。それは、コルテの中の我慢という糸が、切れた音であった。

そもそも、ヤンデレとは相手に愛を返されて、徐々に収まっていくものである。我慢で抑え込もうとするのは、最初から間違っていたのだ。

だが、そんな事を考えもしないコルテは、唐突に理解した。


──嗚呼、己がどんなに我慢しようとも、パラクランは此方を向いてなどくれないのだ。


今まで、リーナと一緒にいるところを何度見ても、結局最後は己と結婚するのだからと、何処かで結婚を拠り所にしていた。その拠り所が崩れた時、ヤンデレはどんな行動を取るかわからない。

そして、それはコルテも例外ではなかった。


コルテの瞳からどんどんと、光が消えていく。悪魔もびっくりの速度で、闇落ちした彼女は、ある一つの結論に辿り着く。


──嗚呼、そうだ。パラクランを閉じ込めてしまおう!


とんでもなく飛躍した考えだが、ヤンデレであるコルテにとってはごく普通の結論であった。

そう決意してからのコルテの行動は早かった。まず、大きな愛玩動物用のゲージを買って、私室のクローゼットに押し入れた。クローゼットを測って買ったゲージは、予想通りピッタリと収まる。次にクローゼットの内側に防音シートを取り付けると、鈴付きのオレンジ色の首輪と手錠を用意した。

準備は整った。後は、パラクランを拉致するだけになった。


パラクランの拉致は、案外簡単であった。彼は、一度寝るとなかなか起きない性格であった為、深夜の眠った頃を狙って、窓から部屋に忍び込み、旅行鞄に押し込んで引き摺りながら私室へ連れて帰った。火事場の馬鹿力というものである。

この学園の窓は、コツさえ掴めば鍵が閉まっていても、取り外せるのだ。相変わらず、貴族の学園とは思えぬほどの、ガバガバ警備である。

見事拉致に成功したコルテは、意気揚々と旅行鞄を開けた。すると、その音で流石に起きたパラクランは、驚いた顔で鞄から飛び出して周りを見渡した。


「なっ、此処は何処だ? 俺は、自分の部屋で寝ていたはず!」

「えぇ、ぐっすり眠っていた。だから、本来の居場所である、私の部屋(ここ)に戻そうと思って、運んだの。とっても、重たかったけど頑張ったの」


運ばれても起きないとは、とことん鈍い男である。


「誘拐の様な真似をして、一体何をしようっていうんだ! 説明しろ!」

「貴方が悪いの、全部。だって、私は我慢したの。でも、貴方があの子に、求婚なんてするから‥‥‥私をこんなにしたのは、貴方なの」

「求婚? なんのことだ。俺は、誰にも求婚なんてしてないぞ!」


リーナに言ったあの言葉は、パラクランにとって、ただの軽口であった。本気で言っていないその言葉をパラクランが、覚えているはずがなかった。


「そう、惚けるんだ。ふぅん、なら、もう良い」

「な、何が、良いのかわからないが、俺は、自分の部屋へ帰るぞ」


部屋を出て行こうとしたパラクランを、コルテは腕を掴む事で阻止した。


「それは、ダメ」

「何故だ! 手を離せ」

「貴方を、監禁することにしたの」


さて、話は非常に長くなったが、こうして二人は、不穏な会話をするに至ったのである。

冒頭でも語った通り、コルテの監禁するという犯罪宣言に、あろうことかパラクランは頬を赤く染めた。


それは、怒りからではない、興奮からである。


パラクランは、確かに理不尽な理由で責められる事を嫌っていた。だが、それはSっ気が強かった昔の頃の話だ。

リーナによってドMに作り替えられたパラクランにとって、コルテからの束縛強めの責めは、今やご褒美なのである。

だが、自分の話で精一杯のコルテはパラクランの様子に全く気がつくことなく、クローゼットを開いた。


「見て、クローゼットの中にゲージを作ったの。貴方を入れて飼おうと思って」


パラクランの顔は、更に赤くなる。


「首輪も買ったの。オレンジ色、私の色。貴方に似合うと思って‥‥‥これ付けて」


婚約者に首輪を嵌められる姿を想像して、パラクランの顔は更に赤らんだ。


「そらから、手錠も用意したの。貴方が逃げない様にする為」


パラクランの顔は、最早茹で蛸の様である。


「貴方の全てを、私の物にするの。手も足も顔も、その髪の一本だって誰にもあげない。貴方の体中を流れる血液だって、私の物」


パラクランが限界を迎えた。

敢えて何がとは言わないが、ある場所が反応した。

これ以上ない程の興奮を覚えたパラクランは、コルテの肩を押し倒さんばかりの勢いで掴み、此方を向かせた。


「‥‥‥か‥‥は?」

「えっ? 何? 聞こえない」

「だから! 口枷は!」

「はっ? えっ? く、口枷?」

「口に噛ませて、喋らせない様にするための道具のことだ!」


パラクランの物凄い勢いに、コルテの闇落ちした精神はうっかり正常に戻り掛けていた。


「あっ、えっと、用意してない」

「何故だ! 何故、用意しなかった! 監禁するなら、全ての自由を奪うことが定石だろう!」

「ご、ごめんなさい」


コルテは、訳もわからず謝った。最早、立場は逆転し、監禁されそうな方が、しそうな方へ準備不足を叱るという謎状況に陥っていた。


「いや、謝らなくて良い。全てが悪いわけではないからな。手錠を用意しているところは評価しよう。だが、足はどうしようとした?」

「え、えっと、そのままにしようかと思って、ました」

「足にも手錠をつけるか、それか‥‥‥縄を使って、足と手を背中で縛り上げるのも良いかもしれないな。因みに俺は、縄の方が好きだ。覚えておけ」

「あっ、はい」


婚約者のめちゃくちゃ、特殊な情報を得てしまった。


「コルテ、済まなかった。俺は、逃げるばかりで君のことを、全く知ろうとしていなかった様だな。真逆、君にこんな才能があっただなんて‥‥‥見抜けなかった自分が憎い」


パラクランは、うんうんと納得した様に首を縦に振ると、何かを決意した瞳でコルテを見つめた。


「君はまだ未熟だ。だが、心配する必要はない。俺と共に、成長して行こうな!」


コルテは、何が何だかわからないが、パラクランの初めて見る嬉しそうな笑顔に、釣られて嬉しくなり、コクリと頷いた。すると、パラクランは、また花が綻ぶ様に微笑んで、頭を撫でてくれた。パラクランが、自発的に触れてきたのは初めてで、先程の会話など忘れてコルテは頬を赤らめた。


「では、そうだな。今日はひとまず、俺の首にそれを付けることを許可してやろう」


それと指差した先には、オレンジ色の首輪が転がっていた。


「い、いいのですか!?」

「なんだ、不服か?」

「滅相もございません! でも、パラクラン様は、こういうことお嫌いなはずでは?」

「ふっ、昔の俺はな。虐げられることの気持ちよさを理解していなかったのだ。今思えば、お前が首を絞めてきたのも、一種のプレイだったのだな。それなのに、俺は何年も怖がって逃げてしまって、本当に情けない‥‥‥だが、喜べ! 今の俺は、もう首輪(その)気持ちよさを知っている! さぁ、一思いに付けてみろ!」


パラクランの言葉は、相変わらず理解できないが、己を受け入れてくれたことだけはわかった。コルテは、それが何より嬉しかった。


「‥‥‥パラクラン様、私、この上ないくらい幸せです!」


コルテの指が、パラクランの首に巻きつき、チリリンと鈴の音が静かに響いた。












あれからというもの、パラクランの首には、ずっとオレンジ色の首輪が付いている。歩くたびに鳴り響く鈴の音は、まるでご主人様に己の存在を主張している様だと、一時期、学園で騒がれたとか。

因みに、その首輪を見て何かを察したマリオネットだが、コルテに事情を聞くことは無かったそうだ。


コルテは病むと、口調が子供っぽくなるっていう裏設定があります。

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