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10,000Hours_2

ー3ー




話は戻り、木枯らしの吹き抜ける人気の温泉街で、寄りにも寄って私は着てくる服を間違えました。


いえ…ダサかったとかじゃないんですよ……。


こんなに寒いとは思わなくて、コートも何も、アウターを着てこなかったんです。


すると当然彼にも……


 「え…なんでこんな寒い日にそんな恰好で来たんだ。」


と困った顔をされ、「お前はバカか?」と心の声まで聞こえてくるようでした……。


最悪です……。


正直寒さで死にそうでした……。


もうデートどころじゃありません……。


全身がブルブルとバカみたいに震え、さらに人混みの中で彼との距離もどんどん離れて行きます……。


冷めきって……


もう……


帰りたいな……。


そう思った時でした。


 「大丈夫か。」


彼が戻って来て…手を握ってくれたのは。


 「……。」


私の手は冷たくて。


彼の手はもっと冷たくて…。


そんな冷たい手で握られても、全然暖かくなんてならないよ……。


それでもぎゅっと握られると、なんだかどこかがポカポカ温かくて……。


こんなに近くで、彼の隣を歩いたこと…あったかな……。


驚きと戸惑いと、恥ずかしさと嬉しさで、自分の顔に熱が籠もってるのが解って、もう彼の横顔すらも見れません。


ただ彼の繋いでくれたその手に、そうして引かれるがままに、着いて行くのがやっとでした。


…次の日。


私は風邪を引きました。




ー4ー




 「あ。」


そうしてボーっと空を仰いでいると、星が1つ、流れました。


けれど周りの誰も気づいていない様ですし、もしかしたら私の気のせいだったかもしれません。


 「……。」


彼は今、あの流れる星を見たでしょうか。


そうだったら…嬉しいです。


思わず笑みがこぼれました。


手を繋いで歩く若いカップルさんが、空を見上げて佇む私の傍を幸せそうに通り過ぎていきます。


あの人もこの人も、そして独り身の私にも肩身の狭い、なんだか息苦しくも思えるこんな夜です。


でもいいんです。


私には、もっと、ずっと、何よりも暖かい、かけがえのない大切な時間があったから。


彼との思い出が、これからも毎年、この日に届きますように……。


なんて。


彼も今、想ってくれてるといいな……。


 「ぷっ……」


ん……?


なんでしょう?


気が付くと私の方を見てニヤニヤと憎たらしい笑みを浮かべている田舎者らしき底辺ブサイクカップルが、貧乏くさいイルミネーションを纏った小汚いガリガリの枯れ木の傍にいます。


 「ねぇみぃちゃ~ん? あのヒトさぁ~…可哀想だね~……」


 「ちょっと~、笑っちゃ悪いよタクにゃ~ん♡♡♡」


 「おんどりゃこのクソガキどもがぁぁああああああああ!!

  目ん玉エグられてぇかぁ!! キィィエエエエエエエ!!」


このバカップル共が目ん玉くりぬいて臓物と一緒にツリーに飾ってやるよゴラァッ!!


血のクリスマスによぉ!!


トラウマをプレゼントしてやるよクソ共がァァアアアアア!!

ファーーーーーーーーーーーーーーーック!!!!!!!!

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