襲撃 3
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思わず声をあげてしまった紗那は、慌てて口を押さえた。
「失礼いたしました。
まあ、喧嘩でよく襲われているのは知っていますが……」
今までとは違う様子の貴生が目の前にいるだけに、いつものことだろう、とは言えない紗那。
ため息をつきつつ、携帯を確認し、暁からの連絡がないことを知る。
仕方がないか、と一瞬空を仰いだ紗那は、真剣な表情になり屋上に座り直した。
「蒼貴様。
私が知る限り、貴生から魔力が漏れ出ることはありませんでした。
むしろあの両親から生まれながら、一切魔力を持たないハグレ。
そんな立場に彼はいます。
ですが、それらはただのフェイクだった。
そういう認識で間違いはないですか?」
紗那の話に首を傾げた蒼貴は、主である魔力で渦を作っている貴生を振り返った。
ーーふむ?
主は元々壮絶と言ってもよいほどの魔力を持っていたぞ?
だからこそ、まだ卵から孵っていなかった私を引き寄せたのだから。
とはいえ、私が孵化し、自我を持ちつつも主を「主」である、と定めてから数値はさらに激増してしまったようだが。
蒼貴の言葉に、紗那は唇に手を当てて考え込む。
ーーああ、そういえば。
深い思考の海に入っていた紗那だが、思いついたような蒼貴の言葉に意識を戻す。
--かなり厳重に能力の封印がかかっているぞ、主には。
「……え?」
--魔力を含め、多くの能力が顕現せぬよう、注意深くかけられておるな。まあ、力の大きさに、封じが緩み始めておったようだが。
竜の言葉に、封印を施したのが誰か、すぐに想定がついた。
--どうやら、「じゅうとうほう」という法を犯す者どもとの争いに、主の闘争心に火がついてな。今に至ってしまったのだ。
そうですか、と一瞬流しそうになった紗那だが。
「……、じゅうとうほう? って、「銃刀法」のことですか?!」
慌てて問いだす。
--うむ? 魔術でもなく、殺傷能力のある道具で狙われた時に、主が叫んでおったぞ?
「……、はあ」
思わず額に手をやった紗那。
その時、「ふふふ、ゲットだぜ……」という黒い声を聞き、振り返る。
視線の先では、黒い笑みを浮かべつつ画面を凝視している幼馴染がいた。
「……、暁が来るまで、放っておきたいわね、ホント」
空を仰ぎつつ呟く少女に、幼竜が、膝に手をポンと置いてくれた。