表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/32

紗那Side:暁

パタリと貴生家の玄関を閉じて、ふと空を仰ぐ。

もう明るい星は空で存在を主張していた。


カタンと扉に頭を預け、ため息を覚えずついてしまった。


「……ちょっと、短気、だったかな?」


一応先程の気配が何かは把握した。

しかし、キオの中で私の存在が軽いモノだと確認できてしまって……、そのまま冷静に問題対処が出来ないと思ったのだ。


心が重くなっている。


「あー、もう!」

普通の少女のような心の動きに、自嘲するしかない。


腕を振り上げ叫び、勢いを付けて扉から離れた。


これからあの竜に関して、どうするか考えなければならない。


ファンタジーな事柄に、キオは当てにならない。


ただ呆れるしかない手腕で、無理矢理解決させてしまうだけだ。

過去にどれだけファンタジーな事件に遇っても、それはもう、見事な手法で現実的に解決していた。


……後始末が大変だが。


余りに見事なので、私も暁も組織や親を誤魔化してしまうのだ。


大事に関わりたくない私達には都合が良い、というのもある。


それに……、私も暁も。

貴生には、出来る限りの期間で良いから。


『普通』であって欲しい。


私達には、望めないから……。



「って。なんか暗いかな」


それにしても、母さまをどうやって誤魔化そう……?



気を取り直し、家の玄関に入った。


「ただいま〜」


「お帰りなさい、紗那ちゃん」


『伝達』の魔導で声が届いた。


……わざわざ魔導を使わなくても。


キッチンを覗くと、鼻唄を唄いながら野菜を刻む後ろ姿。


「ケイトさんから電話があったわ。

紗那ちゃんとお話した後にくれたのよ〜。

心配してくれたのね」

ハートマークを付けて話す母さまに、最早報告は不要と判断する。


「……着替えてくるね」


言い訳を考えていた時間、無駄だった訳ですか?

思わず脱力してしまう。


よろり、と部屋に戻り着替えようとした時。


ピリリ!


暁用の着信が鳴った。


「はい」

「今いいか?」


直に用件を切り出そうとする暁に、ため息をついてからベッドに腰掛けた。


「なに?」


問いかけたが、珍しく暁が言葉を躊躇った。


「? 今家なの?」


後ろで物音がしない。

フラついている以外は、家に戻り家事を手伝うことしかしてないのだ、暁は。


「ああ。……、貴生に会ったか?」


その一言で、暁が竜の誕生の気配に気付いたことを知る。


「さっきまでね」


残念ながら、こういう件は暁とはツーカーだ。

複雑だが、多くの言葉はいらない。


「そうか。

じゃあアイツが、突然竜の食い物について聞いてきたことは?」


「……はぁ」


思わずため息をつく。

そう来るか。


「気配、分かったでしょ」


「今はしないがな」


「消してたもの。

因果関係はわからないけど、貴生、竜の卵拾って孵しちゃったから」

簡潔に伝えると、向こうも疲れたような重いため息をついた。


「よりによって、か」

「よりによって、ね」


「「はぁ」」


思わず同時にため息をついてしまう。


「……それで? なんて答えたの?」


確か龍の血も混じっている暁に、そう言う意味を込めて聞く。


「ゲームでは、として適当に一般的な事ならな。この世界のものならイキモノの法則が違う。

食い物は食わん」


淡々と、もう純血は存在しない、と加えられた。



「そう。

今日の空の異変は、外界の竜渡りらしいわ。

……なんだか嫌な予感がするけど」


呟きバタっと寝っ転がった。


「親には?」


「何も伝えてないわ。

孵化したばかりの小さな竜だったけど、自らの意思で気配を消すことが出来るみたい。

怖いけど、神レベルの存在力だし……。

明日で考えようかなって」


「……分かった。

朝、そっちに行く」


「了解。

わかる範囲、母さまから聞き出しておくわ」


「ああ。こっちでも適当に調べておく」

「じゃあ明日ね」


携帯を切り、腕をパタリと落とす。


また面倒なことになったのを、しみじみと思い知らされた感じだ。


「貴生のバカぁ」



呟かなければ、やってられない。




とりあえず明日、早起きしないとなぁ……。

暁君……。

いつの間にそんな異質な存在に?!


作者も知りませんでしたよ。


キミ、ちょっと面接に来なさい(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ