ご飯は?
「うん? おっ! ラッキー」
冷凍庫を覗くと、何かが箱詰めのまま入っている。
医者をしている父さんは、良く謝辞品を持って帰ってきてくれる。
しかし常温放置(その辺に置きっぱなし)にするのだ。
これがまた生物だったら最悪で、悪臭がするまで気付かない。
何度も片付けるうちにキレて、
「もらって冷たいものだったら、冷凍庫に帰ってすぐ入れること!」
と言う至上命令を出したのだ。
この指令は素晴らしいと自画自賛。
アイスが入ってたこともあったのだ。
まあそれはさて置き。
「……ステーキじゃん!」
箱を開けると、凍った分厚い肉が二枚入っていた。
これはテンションが上がる!
早速フライパンとサラダ用のレタス、レモンを準備。
目の端に写る肉が、旨い料理にしてくれと訴えてくる。
自慢ではないが、父さんと母さんに料理や家事を徹底的に仕込まれたので、その辺の主婦より料理は特に上手い。
食い道楽な両親なのだ。
鼻唄を唄いながら父さん用の皿を出した時。
「きゅきゅっ、きゅきゅ〜」
肩に乗っていたヤツが、俺の歌に合わせて鳴き始めた。
……軽いし動かないしで、うっかり忘れていた。
「あ? そういえば」
コイツ、何食べるんだろう!?
「お前、何食うんだ?」
「きゅ〜?」
「飯だよ、飯!」
「きゅきゅ?」
首根っこをひっ掴み、目を合わせて聞く。
しかし、通じているのかいないのか。
小さく小首を傾げるだけだ。
……、肉食か? なんかゲームだとそんな感じだったような気がする。
ひとまず、肉の前に小さな身体を近づけてみる。
「きゅ?」
まばたきをし、目の前の肉(自分の身体より大きい)を一瞥し、こちらへ振り返って鳴く。
じゃあ草食か?
今度はレタスの前にヤツを置く。
「きゅ〜?」
だが返るのは、肉の時同じ反応のみ。
……どーしよ?