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美少年せいちゃんと浮浪者よねばあちゃん
散文詩1編です
今回は少し長め
●美少年せいちゃんと浮浪者よねばあちゃん
せいちゃんはとても美少年。
男と寝てお金をもらっている。
今日はどこかのお若い社長さん。
良い服を着て良いお車で
良いホテルに連れて行って、
暖かかった、らしい。
どういうきっかけか知らないけれど
公園でテント張ってるよねばあちゃんと
せいちゃんは仲良くなった。
よねさんは両腕も腰もあちこち痛んであまり動けない。
せいちゃんは空き缶ひろったり汚れものを洗ったり
よねさんのそばにいた。
よねさん、息子がいたんだよって。
せいちゃんと似てとても美少年だったよって
せいちゃんに笑った。
うそ、もう何十年も前に離れたきりで
顔なんて覚えてないでしょう。
とてもとても寒い日、よねさんは死んだ。
仕方ないね。
せいちゃんは笑った。
暖かい場所、なかったんだ。
美少年せいちゃんと
浮浪者よねばあちゃん。