第21話 目が覚めた後
(エンジュ視点)
「そういえば、俺はエンジュの王子さまなのか?」
アレクはちょっと照れながら私に聞いた。
私はうなずいた。
「だって、私を神殿から救いだしてくれたもの。それに角を対価に私の命を助けてくれたのでしょう?」
目が覚めたら、アレクの角はなおっていた。
でも、私の為にアレクがしてくれた事はすごく大変な事なのはわかっている。
「エンジュを助けられて良かった」
アレクは嬉しそうに私の頭を優しく撫でた。
「あの魔方陣の効果でエンジュはもう死ぬ事はない。……だから、この先ずっと俺と居て欲しい」
アレクはそう言って私を抱きしめた。
そして、私は思い出した。
あの台詞を言うなら今なのかも。
なかなか発音するのに躊躇う。
アレクもこんな気持ちだったんだろうか……。
「私、……アレクの卵を生みたい」
顔が真っ赤になった。
私はアレクの顔が見られなくてうつむいた。
アレクは私の顔を覗き込み、耳まで赤く染まった私の顔を眺めた。
私はいたたまれなくなり、逃げ出したかった。
アレクは手で私の顎をそっとあげる。
私ははずかしくて、アレクの顔が見れずにぎゅっと目をつぶった。
そっと触れる様に唇が重なった。
私の様子を確認しながら、アレクは段々唇を深く重ねていく。
私はうまく息ができなくて喘いだ。
心臓がどきどきして苦しい。
アレクは貪る様に唇を味わい、唇を離した。
そして、私を強く抱きしめ、私の首筋に顔を埋める。
「大切にする。だから、すっとそばに居てくれ」
熱情をはらんだその言葉は私の耳に甘く響いた……。




