第15話 お茶
勇者が剣を下ろすと、アレクも剣を下げた。
沈黙が落ちる。
そして、アレクが言ったのだ。
「エンジュの髪を梳かさないと……」
今、それ?!
エンジュはびっくりしてアレクを見る。
アレクは剣を床に投げ棄て、エンジュを抱えあげる。
「俺は忙しい。こっちに来い」
勇者アレックスに向かって声を掛けると部屋をでて、いつものソファの部屋に向かった。
城の中は戦闘の跡が生々しい。
アレクはソファに座ると本当に私の髪をブラッシングしはじめた。
私は流石に眠くなるどころではなく……。
そこへ、クレバーが剣を構えたまま、こっちに来てアレクに聞いた。
「勇者の対応は終わったのか?」
「終わった」
アレクが答えた。
そして、クレバーは不思議そうに勇者を眺めた。
「城の外に出さなくていいのか?」
勇者は剣を鞘に収めて床に座り込んだ。
クレバーは椅子を持ってきて、勇者に座るようにすすめた。
「ちょっとお茶でも入れてくる」
クレバーはいつも地図を広げているローテーブルにお茶とお菓子を置いた。
そして勇者にすすめて、自分も椅子を持ってきて座った。
その間もアレクは熱心に私の髪を梳かし続ける。
勇者がやっと椅子に座った。




