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第3歩 転校生、相戸瑠夏

誰だこの女?


みんなは俺ではなく、この女を見て静かにしていたってことか。


しかし何者なんだ……

突然現れてクラスメイト達の注目を集める見たことのない女。


まさか、俺の影響力を恐れたどこかの組織が送り込んできた刺客!?



ってことはだ……


案の定クラスメイトみんなが不安そうな目で俺を見ている。


洗脳か……


この女、俺がここに来るまでの短期間にみんなを洗脳したってことか、さては小野寺先生も?



小野寺の顔もクラスメイトと同じように不安そうな顔をしている、やっぱりか、先生もこの謎の女に洗脳されてしまっている……


「クソっ……俺がもう少し早く到着していれば……」


こんなことに、こんなことになるなんて……


「そ、そうね、窪木くん…… 遅刻してるからもう少し早く登校してね」


小野寺!?

口を開いたかと思えばそんな事を?


それと同時にクラスメイトから笑い声が上がった。


「相変わらず何してるんだよボッキー」


「おいおい、ボッキー早く席つけよ!」


「窪木〜ジャマだから座って〜」


なんだ!? 俺に向けて次々と言葉の矢が向けられている。


俺がジャマ……?

そんなバカなことが、邪魔なのは見知らぬこの女の方じゃ……いや、待てよ。



なるほどな……



この教室内は俺以外全員洗脳されている、生憎だが俺にはお見通しだ。

なかなかの力を持った者のようだがその作戦は通じない。



「窪木くん、転校生に見とれるのもいいけどまずは着席してね……」



小野寺……かわいそうに、俺に向けてそんな言いたくない事を言わされるなんて。


ここはグッと我慢だ、この場で事態を荒げても全員の目を冷ますことは難しい。


「言われなくてもわかってますよ」


ここはまずに席に着き、相手の出方を伺うとするか。



俺の席は教室の一番後ろだ、ここなら全員の様子を確認する事ができる、誰かに変化があればすぐに対応できるから安心だ。



一人一人の顔をさっと確認しつつ、席を向かう。


みんな大丈夫だぞ、俺がついてるからな、すぐにみんなの洗脳を解いてやる、しばらくの間我慢しててくれ……


今のところ、クラスメイトで様子のおかしい者はいないか、心なしかあの女に釘付けになっている奴が多い気がするのは洗脳ゆえのことだろう。



俺が席に着いたのを見て、小野寺が仕切り始める。


「えぇ……っと、なんか変な空気になったけど、気を取り直して、転校生の相戸さんに挨拶してもらいますね」



みんなの視線が一気に女に向かった。


相戸……小野寺がそう呼んだこいつこそが、俺を狙う転校生を偽った刺客。


クラスメイト全員が妙に相戸の発言に興味を持っている、これも洗脳によるものか。

短期間で全員を洗脳するほどの実力を持った奴の発言……要注意だ。


相戸の表情は若干強張っているように感じる、俺のプレッシャーを感じているのかもしれないな、ただ、気を抜いてはダメだ、奴がどんなマインドコントロールを仕掛けてくるのかわからないからな、まずは相手の手の内を見定める事が先決だ。



相戸は小野寺の前に立ち、軽く礼をした。


「相戸瑠夏って言います、よろしくお願いします」


小さい声だ、か細く弱々しい、いきなり宣戦布告でもしてくるのかと思ったらこんなものか、拍子抜けだな。


相戸が小野寺の顔を見ている、挨拶はもう終わりのようだ。


「それだけでいいの? 折角だから他に趣味とか言っておかなくても大丈夫?」


洗脳されている小野寺ですら意外そうだ、ククク……残念だったな相戸瑠夏、いきなり作戦が崩れてきているぞ!


「すみません……人前で話すのは苦手なんです……」


うつむきながら相戸は小野寺にこたえている、白々しい。

ここいる全員を洗脳しているくせにそんなことを言えるなんて、大胆でありつつ、繊細な部分を見せてくる、やはり要注意な相手だ……


「わかったわ……じゃあ席に着いて貰おうかな、あっ」


小野寺の声が止まった、どうした、席に何かあるのか?

何故だか妙に小野寺と目が会う気がする……


「相戸さん……そこの席に座ってもらえるかな……」


何故だか小野寺が申し訳なさすら感じられるような仕草で指を指した。


!?


隣!?



小野寺が指しているのは俺の隣の席だ!

確かに俺の隣は空席だ、だがこんな偶然があるか? 急に現れた刺客がいきなりみんなを洗脳して、俺の隣の席に計ったかのように座ってくるなんて。


偶然……じゃない……?



あらかじめ情報が漏れていることは予想しておくべきだろう、その上で計画的に今日俺を狙ってきたってことだとしたら辻褄があう、隣に来て俺を直接狙ってくるつもりだ。


この俺としたことが、予想していなかった、そこまで大胆な作戦を練ってくるとはな、大胆かつ繊細、言い得て妙な言葉だ、この相手、手強いぞ……




「すいません、よろしくお願いします……」




なっ!!


相戸、いつの間に隣の席に?

そ、そうか……考え事をしていてつい気付かずにいたのか……思わず、大きく仰け反ってしまった……


「ご、ごめんなさい、びっくりさせちゃって」



やられた……! つい隙を見せてしまった……こんな形で先制攻撃を仕掛けてくるとは……っ



何故か大爆笑が起こった。


「おい、ボッキー何いきなりキョドッてんだよ!」



クラスメイトのヤジがまた飛んできた……

俺は断じてキョドッてなんていない! これもこの女が仕掛けてきた罠か……


周りの笑いに合わせて相戸も申し訳なさそうに笑っている、なんて……なんて屈辱なんだ……こいつ、必ず倒してみせる!


いきなり異常な妄想全開ですが、ボッキーの暴走はまだまだ続く予定です笑

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