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In the Middle Of Journey 旅の途中で
リフレインしている言葉――〝この旅が終わるまで〟……
「この旅」?
あの時既に、「この旅」というものが意味を成さない言葉になっていたのなら、彼女と約束したあの言葉も、もうよかったってことになる。でも内容は変質していても、紛れもなくこれはあの旅だったのじゃなかったのか……彼女がいる限りは……。
今僕の左には二人の老人。いちばん左の一人はもうくしゃくしゃの顔になって眠っている。いや、死んでいるのかも知れない。すぐ隣で腕を組み目を閉じている独楽出老人にもう聞きたいことなどなかった。そもそも何か意味のあることが聞けるだろうか? ひとりで考えれば十分だ。ひとりで考えたい。
正面にも右にもガラスの向こうには真っ暗い夜空と恐ろしく凍るような光で輝く星々があった。僕はその色になんだか酔ったみたいだった。もう随分時間が経ったんだ。
僕はそれからはもうずっと右を向いていた。
冷たい瞳の一つに、僕は吸い込まれていった。