プロローグ
山波です。なんとなく新作が書きたい気分だったので投稿しました。
「そしてオタクは夢から覚めた」と並行して頑張っていきます。
俺は失望した。
ーーこの世はこれほどまでにつまらないものだったのか。
高校は通っている。北海道で一番偏差値が高い公立高校だ。
だが、そこに俺がやりたいことはなかった。
だから、籍は置いているが、あまり通っていない。
面白くないのだ。友達とも話が合わない。
自慢話ではない。事実だ。
その証拠に、俺が教室に入ると張り詰めた空気になるのだ。「やつが来た」なんて話し声も聞こえてくる。
まあ、そうしたところで俺は気にならない。
そこで「俺っていじめられている」なんて思うこともない。
前置きが長くなった。つまり、俺が言いたいことはただ一つ。
ーーそこに時間を割くぐらいだったら、ずっと部屋に引きこもっていたい。
俺の切なる願いだ。
ーーなんて、粋なモノローグを頭に浮かべながら
小野倉隆斗は薄野の繁華街を歩いていた。
歩くこと五分。気がつくと狸小路のあたりまで来ていた。人通りが少ない、メインストリートからちょっと外れた通りだ。
特にここまで来てもやることはない。引き返そうと、方向転換する。
その時だった。隆斗はそこにあった電柱の貼り紙が目に留まった。
それは、普通の人から見ればただの落書きでしかない。だが、もう希望も何もない隆斗からすれば、それは神のお告げに等しかった。
そこには手書きで、こう記されていた。
––––夢も希望も失った、この貼り紙を見た君へ。
科学に興味がある人は、ぜひ我が科学研究所へ。
物騒な世の中だ。実際にここへ行ったら、誘拐だのなんだのがやられそうな気がした。
だが、それ以上に、好奇心もあった。
どうせ、何も失うこともないから、なんとでもなれと思ったということもある。
気になった隆斗は、そこの研究所の場所を調べた。
驚いたことに、家から徒歩十分圏内だった。
思い立ったが吉日。早速そこに向かうことにした。
そして彼らのカオスな日々が幕を開ける。