第十六話 かつての仲間は・・・
一年ほど前にお世話になった安らぎ亭という名前の宿に泊まった。
久しぶりに会った女将さんとその旦那さんは俺のことを覚えていてくれた。
自分で言うのもなんだけどこの一年で外見は少々変わっているから分からないかと思っていたがいらない心配だった。
旦那さんの飯も相変わらず美味しく、レオネにも好評だった。
「ところでソウルさん。これからの予定は大体決まりましたがクロウリアさんの事はどうされるんですか?」
俺はレオネの問いを聞き少し考えた・・・というか戸惑った。
レオネにはクロウリアの事は一応話しておいたがこのタイミングでクロウリアの話が出されるとは思っていなかった。
俺は少し考え込んだ。
「今のソウルさんの強さならクロウリアさんも認めてくれるというかなんというか・・・とりあえず仲をより戻すことは出来るんじゃないでしょうか」
「仲をより戻す、か・・・。まぁ、もしかしたら出来なこともないかもしれないが多分そんな簡単な話じゃないと思う。そもそも会ってなんて話を切り出せばいいか分かんないしそれにクロウリアにも新しいパーティーが出来ている筈だ。その中に突然入りこんでいくのは・・・なんか気が引けるだろ」
「そう、ですね。確かにソウルさんの考えに一理あります。ですが・・・」
「いいんだよ。それに俺は今レオネとパーティーを組んでるんだ。今のところパーティーメンバーを増やす気はないし正直言えばこのまま二人でも大丈夫だと思うしな」
ソウルの言葉にレオネは頬を赤くし顔を下に向けてボソッと呟いた。
「・・・いきなり卑怯ですよ」
「ん? なんか言ったか。てか顔赤いけど大丈夫か? 熱でもあんのか?」
「な、なんでもありません! 大丈夫ですよ。それではこれからの予定はとりあえずギルドのクエストを受けランク上げをし各ダンジョンの情報を集めるということでいいんですね」
「ま、そんな感じだな。よし、飯も食い終わったし部屋に戻って寝るぞ」
「そうですね、ちょうど眠気もきましたし直ぐに寝ましょう」
レオネは可愛い欠伸をしながら返事をした。
うん、周りを見ると今のレオネの表情で食堂にいる大半の人が鼻の下を伸ばしていた。
次の日俺達はギルドのボードにあった常時依頼が出されている討伐クエストを確認した。
(スライム五体、ゴブリン七体、ブラウンウルフ三体、フォレとバット三体、まぁまぁ妥当ってところだな。でも俺やレオネ、ロウキが満足できそうな相手はやっぱいないか・・・んん? イカシンの森にブレットガゼルの目撃情報あり、か。ブラットガゼルって確かそこそこ速さがある魔物だったよな。Cランクの冒険者が三、四人で挑むぐらいの強さがあるって魔物の情報が載ってる本に書いてあったな。俺は昨日一応いろんな意味で楽しめたから二人に譲るとするか)
「ソウルさんどの依頼を受けるか決まりましたか?」
「ああとりあえずは決まった。ところでレオネ、そこそこ強い奴と戦ってみたいか」
「唐突ですね。そうですね・・・今のところそういう気分ではないですね。何か良い情報でも見つけたんですか」
ソウルは口元をニヤッとさせながら答えた。
「イカシンの森にブレットガゼルがいたらしいんだ」
「ブレットガゼルですか・・・そうですね、今回はロウキに譲ってあげたらどうでしょうか。ここに来てから退屈そうにしてますし」
「そうだな。村と違ってこの街じゃ常に一緒にいることが出来ないからな」
そうと決まったら早速ロウキに伝えないとな。
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ところで皆さんクリスマスはどう過ごしましたか?
自分は悲しく派遣のバイトをしてました。




