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6.意外な場所で。~夕貴side~

一部変更しました。


俺は周りに言っていない趣味がある。

まぁ副業になっていきそうで上には勿論報告してある。


それは、作る事。


人と話す事は嫌いじゃないから今の営業も向ていると自分では思っている。ただ休みの日は、何かに1人で集中したくもなり、今はもっぱらビーチグラスや石、貝、流木を使い作業に勤しんでいた。


最近気に入っているカフェで作品を置いてもらえるようになり、売れればそれなりに達成感もでてきていた。


この日は、ストックもあまりなく前回より少ないが、俺なりに納得できた品物を入れた段ボール片手にカフェへ入った。


すぐに胃を刺激される匂いに包み込まれる。

そういえば朝、菓子パン1個だった。カウンターの中に店主、咲さんがいない。どうやら展示、販売エリアの左奥にいるようだ。


彼女は1人ではなかった。お客様さんかな?

咲さんの隣に立つ女性と目が会った。あれ?


「水野さん?」


仕入れ・得意先の会社にいる新人さんがいた。思わず名字を呼んだ俺に対して、確か瑠璃ちゃんは、物凄く嫌そうな顔をした。


おや?


かなりな反応。自分でいいとか馬鹿かと言う奴もいるが、俺は見てくれは悪くない。特に女の子にはハーフのせいか、髪や瞳がきれいだの言われ、自分では短所だと思っている女顔は、意外にも高評価される事が多かった。


そんな中の100%いや、それ以上の嫌悪感をこうもろに出されたのはいつぶりか。仕事で新入社員の頃、得意先を得る為に幾つもの扉を叩いた時かな。


何故か普通なら苛立つ筈が、俺は逆に俄然興味がでてきた。咲さんがランチを出してくれるという有難い言葉に甘え、先にテーブルへ座り1人食事をとろうとしている水野さん、瑠璃ちゃんに近づき正面の席に強引に座った。


空気読めないの?


そんな言葉のかわりに視線がまっすぐに飛んでくる。いや、気づいていてしてるんだよ~。

つい言いそうになるが、寸前でやめた。その視線に気づかないふりをし、丁度ランチが届いたので、食事に集中した。


やっぱり、ここの飯はうまい。


つい口に出していたらしい言葉を彼女、瑠璃ちゃんが聞いて一瞬得意げな表情になった。


なんか可愛い。


そのままその場に居座り、納品する商品をテーブルに並べた。


瑠璃ちゃんが、その中の1点を見つめていた。

視線を辿ると小物を置くトレーだ。

試作品じゃないのに、会計をする彼女にあげてしまった。彼女が去った後、咲さんにそれとなく探りをいれる。


「そういう事は本人に聞いてね。あと、あの子は私の妹みたいなものだから。」


ニッコリ微笑む店主の言いたいことが、手に取るようにわかった。


嫌がる事をしたら許さないわよ。


この言葉に間違いない。


歳も20、三浦から得た情報によると、もうすぐ21の若い彼女にどう近づくかなと思っていたら、運は向こうからやってきた。


その日会社は休日だけど得意先に打ち合わせの為行く予定だったはずが、前日の夜に日時変更の連絡が入り休みになった。


朝、珍しくアラームが鳴る前に目が覚めた俺は、外の天気を見てなんだか部屋にいるのがもったいなくなり車のキーを掴み外へ出た。


人がいない浜辺に降りたち、気持ちいい秋晴れのもと、拾うかと気合いを入れたところに、背後から人の気配がした。1人がよかったのに残念だと振り向くと、そこには、


水野さん、瑠璃ちゃんが目をまんまるくして立っていた。


早起き、いいかも。俺は1人頷いた。



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