表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/21

2.平穏は突然に。

今日は、土曜日の朝。目覚ましの音量をいつもより大きくしスヌーズにして、やっと起きれた。家から歩いて40分の浜辺に向かう。


私の拾い物の活動場所は三ヶ所。

1番好きな場所は、一人っきりで本当に気分を変えたい時に行くそこは、ビーチグラスと石英が採れる砂浜。でも、バスを2回乗らなければいけないので月1回くらい。

普段はもっぱら家から30分の場所で、もう少し歩く元気があれば40分くらいかかる場所へ徒歩で行き、その海の近くにあるカフェSakiに寄る。


海へは毎週出かけるけど、カフェには最近2週間に1回くらいになっていた。

最近仕事の波がきていて残業で疲れて週末は寝坊してばかりだったから。


7時半頃家を出て、今日は熱中し過ぎてカフェに着いたのは10時過ぎだった。


「いらっしゃい」


私の好きな柔らかい声に出迎えられほっと癒される。


「おはようございます。お腹すいちゃった」


かなり歩いた私はお腹がペコペコだ。


「あらあら。時間はまだだけど、ランチプレート食べる?」

「えっいいの?是非! あと食後にカフェモカも飲みたい!」


「ふふっ、ランチは他のお客さん今いないから特別ね。ちょっと待っててね」


私は、まずトイレを借り拾い物で汚れた手を洗い、雑貨スペースへ移動した。


このお店は入ると横に長い。左側は、雑貨の展示、販売。右側はカウンターに人が四人ほど座れその後ろに二人がけテーブルが2つ。


テーブル席からは、庭が見え、季節の花が咲いており、その庭にも出ることができて、そこはテーブルが1つだけ置いてある。今は庭への扉が開き金木犀の香りが微かに部屋に入ってきていた。


私は雑貨エリアで1つのピンキーリングに目をとめた。土台はシルバーで、埋め込むようにまん中に赤が強い色の石英がちょこんといる。


この辺では、薄い橙色のような石英なので違う場所で採れた物かな。そのリングは、埋め込んであるので、石が他に当たらないし、なにより可愛かった。


ズボラな私は色が変わりやすいシルバーは買わない。でも珍しく欲しくなってしまった。


買っちゃおうかな。


「瑠璃ちゃんできたわよ~」


咲さんが私を呼びがてら近づいてきた。


「あらっ可愛いでしょ~最近その人の置き始めたの」

「うん。シルバーはあまり好きじゃないけど、買っちゃおうかな」


シャラン


ドアベルの貝が鳴って私達は振り向く。


「いらっしゃいませ」

「こんにちは」


低い心地いい落ち着いた男性の声。


「いい匂いですね」


「清水君も食べる?まだランチの時間じゃないけど、今日はお客さんまだ来なそうだし」

「いいんですか? 朝食べていないので、お願いします」


咲さんが私に話しかけてきた。


「噂をすれば、このリングを作っている人よ」

「…そう」


茶色いさらさらの髪に眼鏡をかけた、整っている顔のいわゆるイケメン部類の彼、清水 夕貴さんは仕入れ先でもあり得意先でもある営業の人だった。


「あれ?」


彼、清水さんが私に気づいた。


「水野さん?なぜここに?」


それはこっちのセリフだ。


私の癒しの空間が、秘密基地が崩れていく音がした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ